善意が善意で
しばらくして、聞き込みにいった二人が帰ってきた。
戻ってきた二人の顔をみて、予感めいたものがあった。
二人が聞き込んできた周りからの証言と意識を取り戻した鏡の話を総合すると予想通りな話だった。
つまり、魔法使いは関係なく、他人からの悪意に堪忍袋のおが切れ、手を出してしまった、と。
そうだろうねぇ。
普通に考えればその答えしかないだろう。
たぶん誰でも始めに思い付く予想。
状況をみれば、鏡がキレる姿を簡単に思い浮かべることが出来る。
私にとっては見慣れた、勝手知ったる状況だし。
凛は、「そんなことをする人じゃない」と言ったが、そんなの他人なのだから、相手の考えなんぞ、わかるわけがない。
あぁ、でも「知り合い」であればあるほど、信じたくないのかもしれない。
知り合いがだれかを傷つけるなんて。
自分がもつ相手のイメージとかけ離れた行動は、許されないのかもしれない。
そして。
この手の話に他人、特に女が入るとめんどくさいことになるのだ。
女をめぐって、もめんどくさければ、引っ掻き回されるのもめんどくさい。
私からすれば、普通に答えにたどり着いた事柄だが、それをどう凛に伝えるかが問題だ。
たぶん、凛はこの事実に納得しないだろう。
相手のことを思っての行動は素晴らしいのかもしれないが、ただただ火に油の時だってある。
それを本人が正しいと、やってやったぜぐらい思っていたときには目も当てられない。
しかも、本人そっちのけで外野の納得を得る答えをだせなんて、愚の骨頂である。
善意が善意でない場合。
「あなたのためを思って」って、自分のためが多いよね。
地獄への道は善意で舗装されている、らしいし。
でも、誰かのためを思って……って言う気持ちを否定するとすぐさま悪になってしまう。
さて、本当にどうしたものか。
別に私は彼女から嫌われようがなにされようが、たぶん特に気にしない。
だけど、解り合えないことが解りきっている相手に説明をするのがめんどうなのだ。
そしてそれは、きっと誰もやりたくない役回りだろうな。
なんといっても相手が相手だし。
誰が猫の首に鈴を付けにいくのだろうか。
もう一個嫌な予想があるのだけど、そっちは当たってほしくないなぁ。
例えば、誰かが鈴を付けにいって、ご都合主義の彼女が勘違いを起こすことだ。
その勘違いの方向性とか。
私の予想は斜め上の悪い方に当たるんだよなぁ。




