三択問題
何が起こったのかさっぱりわからない私は、ただ固まっていた。
周りの人たちも、一瞬の沈黙。
一番先に動いたのは、この空気を作った張本人で。
「くくっ。固まった。こういうのされるのはじめてか?」
その一言に周りが騒ぎ出す。
「何してるのかな?」
「あれ?ノアさんも狙ってました?」
「そういう問題じゃなくて。」
「君はふざけすぎだ。」
「えー。いいだろ。これくらい。」
「いや、たぶん、『これくらい』ですまない気がするんですが……」
「お嬢?おーい。」
「アイナ?大丈夫ですか?」
徐々に頭が働きだし、現状を把握する。
それと同時に、両手で顔を覆う。
恥ずかしい……
「これは……」
「照れ、たのか?」
「泣かしたんじゃ?」
こそこそと話し出す男性陣。
「……。」
「お、お嬢?」
「何?」
冷たい声で聞き返せば、またひそひそと話し出す。
「お、怒ってる?」
「とりあえず、謝れよ。」
「ふざけすぎだろ。」
「あの……大丈夫ですか?」
「別に。」
手をはずしながら、淡々と答える。
「ただ、そういう訳のわからないやつは、滅べばいいと思う。」
「「「「……。」」」」
そうだ。滅べばいいんだ。
よし。
「歯ぁ食いしばれ。」
「いやいやいや。」
「ちょっ、落ち着きましょうっす。」
「目には目を、歯には歯を。やられたらやり返す、倍返し。」
「何をするつもりですか!!」
「何がいい?選ばせてあげよう。」
「何と何を?」
「1、いつぞやの闇落ちに使った魔法(改良版)
2、雪グマと同じ末路
3、物理
さあ、どれがいい?」
「2はやべぇだろ。あれ人間に放った本当にまずいぞ。」
「闇落ちに使ったやつって、シャボン玉のやつっすか?」
「物理が一番よさそうで、中身がわかんないから一番やばそうに聞こえるよ!」
「素直に謝りなさい。」
「どれも嫌だけど、ちなみに謝ったら許してもらえるの?」
「ゆるさん。」
「えー。」
「即答……」
「謝るなら最初からやらなければいい。やるならば、覚悟を持って最後までやり通すことを推奨する。」
「んー。じゃぁ、謝らない。2以外ならどっちでもいいや。」
「「「「はあ?」」」」
「それでチビの気が済むなら。」
またもや楽しそうに笑いながらいい放つジャック。
「……。」
しばらくにらみあった(?)結果。
「まぁ、いいや。今後私に関わって来ない人だろうし。」
ここで手を染めることもないだろう。
周りがほっと胸を撫で下ろすなか、ジャックが残念そうな顔をする。
「なんだ。つまんねーの。」
つまらなくて結構です。
「なので、二度と私に関わって来ないでください。」
そんなこんなで帰ってきたのだが、予想通りというか、なんといいか。
ジャックが私に関わって来ないわけがなく。
それを全部スルーするのが大変だったのは、言うまでもない。




