吹雪のあとに
ノア視点です。
リューンの実について話していると、アイナがコクリコクリと船を漕ぎだした。
そしてそのまま、スースーと寝息をたてだした。
「寝ちゃった。」
「お前、それが狙いだったろ。」
隣に座る呆れ顔のアレンに突っ込まれる。
「まぁ、多少は思っていたけど、これ程とは……だって、なかなかいなくない?」
リューンの実で眠くなる人は、薬の効きすぎる体質の人とか、逆に薬をあまり飲まない人等、体質的なことが大きい。
「あっ、たぶんお嬢は、後者っす。」
「ここ何年も、風邪で寝込んだことすらないって言ってたな。薬なんかほとんど飲んでないだろうな。」
「だろうねぇ。」
すやすやと眠るアイナを見ながら、ウォルターとリアムの会話に納得する。
「頑張ってる子には御褒美がいるんだよ。ってことで、リアムもいる?」
「今の流れでなんでそうなるんですか?」
「眠りこける人が二人になっても大丈夫だよ。もう少しここに留まるだろうし。」
アレンをみれば、頷いている。
「寝る前提で話すのやめてください。」
「寝なくても、疲労回復できればいいじゃん。」
なにか反論をしようとするリアムの口に、ぽいっとリューンの実を入れる。
「!!!」
ごくん。
「あ、飲み込んだっす。」
「あーあ。」
「ごほっ。んん。……あーあ。じゃないですよ!!何してくれてんですか!!」
「眠くなるかどうかはわかんないだろう?」
「分隊長まで……そうですけど……」
あれこれ話していると、外の様子が変わり始めた。
「あれ?吹雪いてきたっす。」
雪が強くなってきている。さすがにこの様子で出ていくのは不味いだろう。
「しばらく、様子見だな。」
アレンの言葉に吹雪いている様子を眺める。
焚き火にあたりながら、しばらく沈黙が流れる。
リアムもうとうととしだして、それがなんだか可笑しくて、くすりと笑っているとブワーっと風が僕たちが座っていた窪みに吹き込んでくる。
視界が雪で真っ白になり、焚き火が消える。
「ぐっ。」
「うわっ。」
「うわーー。」
風が収まる。
「あー、ビックリした。」
「今のなんだったんすかねぇ。」
雪が盛大にくっついて真っ白になった、マントをパタパタと払う。
この騒ぎで目を覚ましたリアムがキョロキョロとしている。
「なんの騒ぎですか?」
「急に風が強まって雪が吹き込んできたんだ。」
「ん?アイナちゃんは?」
この騒ぎでも眠り込んでるってすごいな、と思いながら、先ほどまで彼女のいたところを見る。
しかし、そこには誰もおらず、ただ、雪が積もっていた。




