すべらない話?
あれは、私が小学生の時の夏休みのある夜。
誰もいないはずの部屋から物音がすると、あの人が私に言いに来ました。
怖いから一緒に来て、と。
そして、子どもを盾にして扉を開けさせたんですよ。
まぁ、中には誰もいなかったんです。
もし、泥棒と鉢合わせしたら私は一番に殺されていただろうけど。
物音の出所は窓でした。
窓と雨戸の間に何かが挟まってもがいていたんです。
それがコウモリだったんです。
どうやら狭い隙間に入ったらはまって出られなくなったようでした。
そして、どうにか出ようと暴れていました。
「かわいそうだから助けてあげよう。」
あの人はそう言って窓に手を掛けたんですけど……
「やりたいなら一人でどうぞ。」
私の役目は終わったとさっさと帰ろうとすると、「行かないで~!!」と引き留められました。「いるだけでいいから」と。
何てめんどくさい。
めんどうを避けるために、コウモリは狂犬病を持つやつもいると一言。
え?狂犬病ってなにかって?
えーっと、狂犬病ウイルスっていうのに感染することで起こる病気ですね。
狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれたり、感染した動物の唾液とヒトの傷口か接触すると感染します。
で、コウモリってそのウイルスを持っている可能性があるんですよ。
めんどうだし、感染してもいやだからやめようと言ったんですけど、どうにも助けたいっていうから。
なら、勝手にやってくれ。
見ていてあげるから、一人で何とかしろと言ったんですよ。
で、窓と雨戸を少し開けたり、ずらしたりしながら外側ににがそうとするんですが、まあ、予想通り部屋のなかに入っちゃうんですよ。
部屋のなかを飛び回るコウモリにTHE女子みたいな悲鳴を上げてしゃがみこむあの人、やっぱりそうなったなぁと部屋のすみで無言で眺める私。
絶対この後、捕獲を任されることが目に見えてわかっているので、「それではさようなら」と部屋から出ていこうとしたんですけど、やっぱり止められて。
結局ビニール袋を手袋の代わりにして、床に落ちたところを捕獲して事なきを得たんです。
あぁ、もちろん、私はやってませんよ。「頑張れー」って応援してました。
あの人が半泣きでやってましたよ。
ビニールの上から歯があたったって騒ぐから、「三ヶ月後ぐらいに水が怖くなったら終わりだよ。」って言っておきました。
なんで、そんなにドン引きしてるんですか?
私はどちらかというと巻き込まれた方ですよ。
巻きこんだ代償としてこれくらいなら安いものでしょう?しかも、最初に「いるだけでいい」って言われましたからね。
ね、面白くもない話だったでしょ?




