サトリの能力があればいいのに
私が思うことといえば、「早く話が終わらないかなぁ」である。
さっきまで色々と考えていたのがバカみたいだ。
考えることをやめてしまえば、傷つくことはないのだから。
つまらないから、手のひらの傷口で遊ぼうとしたら止められた。
痛いって思えるのは、生きている実感を確認することができる。
みんなに無視されてると、もしかして自分は存在してないんじゃないかと思っちゃうから。
私にも赤い血が流れていて、みんなと一緒だと思うことができる。
それもさせてくれないんだ……
ぼんやり眺めているとてきぱきと消毒され、包帯が巻かれていく。
終わったら、また部屋のすみに落ち込みに行こう。
早く終わらないかなかなぁ。
一人はいいよ、寂しいけど。
でも、誰も傷つけにこないし、誰も傷つかない。
私の考えをよそに終わったら帰ろうと立ち上がると肩をガシッと掴まれて椅子に押し戻された。
なんだよ。
不服に思って押し戻した相手を睨めば、それはレティシアだった。
「一人にしないって言ったでしょ。」
なんでこの人怒ってんの?
怒っているのはこっちなんだけど?
「黙ってないで何とか言ってみなさいよ。なにも言わなきゃわかんないでしょ?」
「なんとか。」
別にわかって貰おうとか思ってないし。
言えって言うから言ったのにもっと怒ってる……
「ふざけないで!!」
「分隊長、ちょっと」
「止めないで!今私がアイナと話しているの!!」
エドワードが止めにはいるが、却下されている。
私は話すつもりはないけど?
「逃がさないわよ!こっち見なさい!!」
「むぎゅう。」
レティシアに頬っぺたを両手で挟まれて無理やり目を合わせられる。
それから逃れようと、視線を逸らすとレティシアの後ろにいたオリバーと目が合う。
ぐっ。
考えない、考えない。
いま、考えちゃうとせっかく無関心を決めているのに、意味がなくなってしまうよ?
「ちゃんと見て!!私は貴女と話してるのよ!!」
「私にはない。」
「あるでしょ?心配をかけたくないと思うなら、ちゃんと話しなさい!!」
「……わかった。」
「あら?急に引き下がるわね。」
「……で?何を言えばいいわけ?」
「心配」のワードで反応してしまった。
こうなったらやけくそである。
ふてくされたままで返事をする。
「あなたが考えていることがわからないの。」
他人の考えるのがわかるのはサトリの能力者です。
そんなくだらないことを考えていないと勘違いしてしまいそうになる。期待してしまいそうになる。
私は今幸せなのかもしれないと。




