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信用と信頼

アレン視点です。

 食堂へアイナを連れて戻ると先程まで嫌がっていたのが急におとなしくなる。


 食堂に残っていたメンバーが新たに怪我をしているアイナを見て、声をかけてくるがそれよりは先に手当てをしないととレティシアが救急セットを取りに行く。


 アイナは特に反応がなく、座っている。


「アレン、大声出してたけどどうしたの?」

「あぁ、それが……」


 隣に並んだノアに説明をしようかとした瞬間。


 何を思ったのかアイナが自分の手のひらの怪我を反対の手の指で弄びはじめた。


 傷口をグリグリと広げている。


「「なにしてる!!」」


 慌てて怪我をしている方の手を俺が、反対の手をノアが掴む。

 団長が慌てて駆け寄ってくる。

 他の奴らは突然の行動にあぜんとしている。


「なにやってんだ、お前!!」

「ちょっ、傷が広がるよ。痛いでしょ!!」


 アイナは、団長とノアに怒られているのに微動だにしない。

 顔もあげないアイナに俺は床に膝をついて、顔を覗き込む。


 アイナは、初めてあったとき以上に暗い目をして、なにも感じていないような顔をしている。


 まるで、自分のことではないみたいな、興味がない様子である。痛みを感じていないようだ。


『人形みたいな子』


 最初に言われていた言葉を思い出す。表情が変わらない、無表情な子だ、と。


 横から同じように覗いていた団長とノアも驚いた顔をして、自分が怪我をした時のような痛そうな顔をしている。


「お待たせ……どうしたの?」


 救急セットをもったレティシアが帰ってきた。

 俺たちの様子を見て困惑の表情を浮かべる。


「いや、手当てを。」


 レティシアと場所を交代する。

 アイナは、されるがままで手当てをされている。

 副団長とエドワードがタオルや水を取りに動き出す。


 後ろに下がった俺たちは小さな声で話し合う。


「様子が変と言うか、最初に戻った?」

「団長が言ってた様子がおかしいとは違いますよね?」

「あぁ、さっきの様子は、何て言うか……無表情のなかにも後悔とか恐怖とか……一言で言うなら『絶望』だったな。」


 なににそれほど、絶望したのだろうか。

 後悔も恐怖もなにに対してしたのだろう。


「いつものことながら、大事なことほど隠そうとしますね。」

「そんなに僕らは信用がないかなぁ。」

「お前に対しての信用はわからんが、たぶん違うだろうな。」

「違うって何がですか?」

「『信用』の話だ。信用してるしてないの話じゃないだろ。」

「じゃあ、なんですか?」

「団長が言いたいのは、あの子が俺らを信用してないわけじゃなくて、信頼しているからこそ隠そうとしてるんじゃないのか。」

「そんなの……相手のことを思うなら、どんどんぶつけてくれればいいのに。」


 そうだよな。でも、それが出来ないんだよな。


 もとの性格がそうなのか、これまでの経験でそうなったのか。

 それともどちらともなのか。


ここ最近、アレン登場しすぎじゃね?と思っている。

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