コール・アンド・レスポンス
オリバー視点です。
さて、帰るかと歩いていると、突然目の前にどこぞのご令嬢が現れた。
俺は見覚えがなかったため、年齢的にも俺よりアイナの知り合いかと思い、アイナに「知ってるか?」と尋ねても曖昧な反応しか返ってこない。
どうしたもんかと考えていると思い出したらしいアイナが、独特なあだ名で呼ぶ。
見た目で当たってはいるが他にはなかったのだろうか。
話しかけるに当たっても、表情は変わらないのに合った瞳が揺れている。
しかし、俺が助け船を出す前になんだか話があると二人が離れていく。
女同士の会話には入らない方が身のためだ、諦めろ。
なんて思いながら、二人の様子を見ているとなんだか様子がおかしいことに気付く。
急にアイナが距離を取ったかと思えば、令嬢が刃物を持っていることに気づいた。
慌てて駆け出すが、たどり着く前に目の前でアイナの足元が凍っていく。
まずいそ。アイナの動きが封じられた。
こいつの事だから、次の手が斜め上の発想をするに決まってる。
そう思って二人の間に無理やり入る。
令嬢の刃物が避けきれず、腕をかすっていく。
しかし、そんなことは気にする事なく、令嬢から刃物を取り上げようともみ合う。
思いの外勢いよく切ったらしく、ポタポタと血が流れていく。
「……ょいっしょっ。」
もみ合いの末、刃物を取り上げると令嬢は戦意喪失したようでその場に座り込む。
ふぅ、何とかなったか?
一息ついていると異変に気づいた門番がこちらに駆けてきた。
ざっと説明をして門番に指示を出す。
そして、振り返るとアイナが先程と同じように立っていた。
足元の氷は溶けているし、見た感じ怪我はなさそうだ。
「大丈夫か?怪我は?」
怪我をした自分が聞くのもどうかと思ったが、聞かずにはいられなかった。
しかし、反応がない。
「おい、どうした?」
慌てて顔を覗き込む。
顔面蒼白で焦点の合わない目をして立ち尽くしていた。
「おい!!」
肩を掴んで揺らすとゆっくりと視線が合う。
「……」
しかし、直ぐ視線を逸らされる。
そのままフラフラと立ち去ろうとする。
「ちょっ。どこに行く!?」
止めようとしてもまるで、こちらの声が聞こえていないかのように歩いていく。
いつもと様子が違いすぎる。しかも、どうしてそうなったのかがわからない。
血を見慣れない訳でもないだろうし、変な話、命を狙われなれてきているはずである。
いったい、どうしてしまったのだろうか。
こちらの声が届いていないらしいこの状況で無理に話を聞くとこもできず、アイナを追いかけることにした。




