昔話が現実に?
「っていう、昔話があるんだよ。なんだボギーは、知ら……ないか。子どもの頃に聞いたことある話だよな。」
「そうそう。」
「……ふーん。」
なんだかその昔話、聞いていてイライラする。
なんでだろう。マルの語り口調のせいか?
「その昔話に出てくるのは、『黒いフード』、『不安がなくなり、何でも出来るようになる』つまり、『性格がかわる』、『キラキラしたものを取り出す』。全部当てはまるっすよ!!」
興奮気味に話すウォルターに頷くマル。
「その昔話と同じことが起きてるってこと?」
「そうなるっすねぇ……」
共通点を見つけたものの、それが現実となって起こっているというのは、なんともまあ、ファンタジーである。
「そんなこと、ある?」
私的には、普通はないと思うんだけど。
「普通はないっすけど……」
やっぱりそう思うよね。私だってそう思うよ。
はっきりしない返事をするウォルター。
けど、何?
ウォルターがじーっと私を見てくる。
「なに?」
「……お嬢が来てから、常識が変わりつつあるような、ないような。」
なんだそれ。
「闇落ちの大量発生からの終息とか金色の剣とか思い返せば色々とあったっす。」
「まず、勇者召喚からしてイレギュラーだからな。呼ばれてもいないのに……いって。何すんだよ、ウォルター。いてーじゃないか。」
はいはい。どうせ、私は、呼ばれてないのに来てしまった金魚の糞ですよーだ……
どうせ、役立たずだよー、だ……
ふーん、だ……
ウォルターがマルを絞めている。
そして、二人はわーわーとじゃれあっている。
楽しそうですね……
あーあ、いつまでも落ち込んでても、仕方がないな。
……よしっ。
私からすれば「ファンタジー」だからな~、と納得してきたことでも、こちらの人からしても「非日常」だったわけだ。
とりあえず、進展がないよりましだろう。
ものすごく気にくわないけど、情報をくれたことには感謝しなくちゃね。
「その昔話の線もあるかもしれないって思って進めていくことにしよう。頭のすみに入れとくよ。ありがとう。」
マルにお礼を言うと、ピタリと固まったあと、なぜかくちびるを尖らせながら横を向いて「……おう。」と小さな声で返事を返してきた。
そして急いだ様子で机の上の空になった皿を片付けてカウンターの方へ帰っていった。
ん?急にどうした?
マルの謎な行動の意味が解らず、首を傾げながらウォルターを見る。
「お嬢って、他人からの好意に疎いっすよね。」
あいつ、厚意もってたか?言動に厚意を感じないんだけど。
アレン班とかレティの班の話であるならわかるけど。
「アレン班とかレティ班が厚意をもって私に接してくれてることは知ってるよ?」
「……」
「何か違った?」
「……いえ、なんでもないっす。」
なんだ?結局よくわからなかった。




