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あの人、再び

「あの悲鳴をあげてた彼女さんは?」

「悲鳴の彼女?」

「ほら、いたじゃん。バルコニーに。」


 同意を求めてウォルターを見るが、ウォルターは覚えていないらしい。

 難しい顔で考え込んでいる。


「たぶん、バルコニーの彼女が悲鳴をあげて、私たちが駆けつけたと思うので、彼女の方が詳しいと思います。」

「どんな人でしたか?」

「え?」

「特徴です。髪の色とかドレスの色とか。」

「は?」

「……なにか覚えていませんか?」

「なにも覚えていません。」

「自信満々に言わないでください。」


 だって、あの時それどころじゃなかったし……

 ウォルターはなにか覚えてないの?


「うーん。ちらっと見たぐらいっすからねぇ。」

「強いて言えば、私と一緒で特徴のない、地味な人だったとしか……」

「「え?」」

「え?」


 なに?どこに引っ掛かっているわけ?


「特徴やら個性やら結構ありますよね?」

「地味……は、そうかもっすが……え?」

「とにかく、どこにでもいそうな人としか言えないです。」


 それで話は終了し、迎えに来たアレンに回収される。


 話はそれで終わりだと思っていた。





 数日後。借りた本を返そうと廊下を歩いているとひとつ先の角で自分の尻尾を追いかけて回っている仔犬のようなことをしている人がいた。その人は、前回の事件の犯人である凜だった。


 何をしているんだろう、と思ったが、もしかしたら何か大切な儀式かもしれないので、黙って横を通りすぎることにした。


 しかし。


「ちょっと待ちなさいよ。こんなときは、「どうしたの?」とか声かけなさいよ。」

「どうしたの?」

「棒読みすぎよ。私はせっかくあなたを待っていたのに。」


 貴女に待ちぶせをされるなんて嫌な予感しかないんですが。



 実は、前回の事件の後、凜が性格が丸くなったと聞いたのだが、特に交流がなければ気にすることではないと思っていた。


 しかし、凜は、私と交流を持ちに来た。


「いろいろと迷惑かけて悪かったわね。でも、最後のあれは謝らないわよ。貴女だって私のこと、刺したんだから!!」


 性格が丸くなったと言うか、ツンデレ?

 ちなみに私はそこに萌える人ではないので、あぁそう。としか思えない。


 そして。


「私のことは「凜ちゃん」って呼んで。もしくは「おねぇちゃん」でもいいわよ。」


 とよくわからないことを言っていた。


 とりあえず、関係は悪くなくなったらしいのである。



「で、何か用?」

「そうそう。この前の夜会にいたでしょ?なんで私に教えてくれなかったの~!同じデザインで双子コーデとかしたかったのに!!」


 言わなくて良かった~!


「もっと可愛い格好で全面に押し出していけばよかったのに。次行くときはぜっったいに声かけなさいよ。」


 次はありませんよ。

 ってか。


「それを言おうと待ってたんですか?」

「違うわよ。本題はこっち。最近変な事件が起こってるの知ってる?」

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