優しき世界
「どこら辺で私が未練があるんじゃないかって思ったわけ?」
「ちょっと前に「親子の会話がしたかった」とか「自分の立ち位置がどうなっているのか」とか気にしてたでしょう。」
……。
あー。思ったかも。
「それを気にして今回の夢に繋がる、と。」
「はい。その通りです。」
「なるほど。じゃあさ、この夢を優しい対応の夢にすれば、私は「帰りたい」って言ったかもしれないじゃん。」
「でもそれは、事実じゃないわ。これは夢だけど、夢じゃないの。もしあなたが戻ったら起こるであろう未来なの。」
おふぅ。
帰ったらこれなのか。
ほんとに優しくないな。
「まぁ、もし私に優しくなった世界でもお断りだけど。」
それはもう、並行世界の別世界だよ。
世界をまたにかける気はさらさらないです。
「ごめんなさい。」
「なんで急にしおらしく謝ってんの?」
「だって、勝手にかっさらって、さらに傷つけて……ごめんなさい。」
ペコリ、と頭を下げる女神様。
「違う。私がお礼を言わなきゃいけないの。ありがとう。こっちの世界に飛ばしてくれて。」
同じようにペコリと頭を下げる。
「っで、でも」
「あ~。でもじゃないの。チートもなければ、役職もなしで、事件ばっかり起こるし、お花畑の人たちばっかりだけど、私は楽しいよ。元の世界だったら簡単に死んで、はいおしまい、だっただろうし。」
魔法が使えるっていうのも楽しいし。
「なんか、最初の方に棘があるような気がするけど、本人がそう言うなら良かったわ。」
「そうそう。」
「……ちなみに、今、あなたの存在があちらでどうなっているか知りたい?」
「うーん。別にいいかな。あれが未来なら私のことを思ってくれる人は、いないみたいだし。」
「そ、う。じゃあ、こっちの世界で、いい?」
まだ不安そうにまゆ毛を下げながら話す女神。
「もちろん。」
私が首を縦に振るのをみて、破顔する。
「よかったぁ!!じゃあ、戻すわね。」
急に元気を取り戻したな。
「あ、私の巻き込まれ頻度を少なくするとか出来ないの?」
女神が宣言した瞬間にキラキラ光だした世界を見て、慌てて質問をする。
「あら?さっきも言ったけど、どちらかと言うと「首を突っ込んでる」よ。あと、体質的なものよ。」
「は?体質ってなに?」
「言うなれば「トラブル体質」みた……感じかしら。あとは……だから、……なのよ。……な……頑張……てね。」
だんだんと声が遠くなっていく。
「何て言ってるかわかんない。」
私の声も届いていないのか、ニコニコと手を振っている。
「ちょっと、待って!!」
私は一生懸命手を伸ばすが、それが女神に届くことはなかった。




