胡蝶之夢
私の夢の中の話なら、また寝れば夢を見られるかと思ったら、そうではないらしいことは、入院中に分かっていた。
もう、夢にすがり付かずにこの世界で生きていかなくちゃいけないんだなぁ。
それかもう一回、車に引かれて死ねばいいのかな。
「あーーー。死にたいなぁ。」
「本気で言ってます?」
返事が返ってこない事を前提にこぼした言葉に、まさかの返答があり、びっくりして声のした方を向く。
そこには、ギリシャ神話に出てくるような女神がいた。
薄い布みたいなの巻いてるし、金髪の長い髪はキラキラしてるし、明らかに人間じゃないのは見てとれた。
しかも、今まで学校にいたはずなのに、今は真っ白な空間で……
は?
「はじめまして。ミューズです☆」
「ここどこ?」
「んー。あなた方風に言えば、天界?」
「私、今死ぬ状況じゃなかったと思うんだけど。まぁ、いいや。で?この状況はなに?」
「説明するからそんな怖い顔しないで~。」
ふ ざ け ん な ! !
「はい。真面目にやります。どこから説明しましょう?」
「あなたは何に関わってるの?」
「えーっと……今回の件全て、かな。」
「は?全てって……」
「異世界にとんだところから。私ね、あっちの世界の神様なの。で、召喚するって話をしてたから、巻き込んでみたの。」
こいつが原因か。
「なぜに?」
「だって、そっちの神様があなたに対して酷いから。しかも普通なら、もっっとひねくれてもいいのに真面目だから。そんなにいじめるならこっちの世界にちょーだいってかってにかっさらってみました☆」
あれ。この人もお花畑の住人?
「でも、お気楽に暮らせばいいのに、事件に首を突っ込んでいくから~。」
「違う。それこそ巻き込まれた。」
「そう言うことにしておくわ。」
「で、なぜこっちにまた戻ってきたわけ?」
「それがねー。私の勝手な一存で勝手に引き抜いたから、もしかして未練があるんじゃないかって思って。もし、あんな世界でも少しでも帰りたいと思うのであれば返してあげなくちゃいけないんじゃないかと。」
女神は、人差し指同士をチョンチョンとしながら、目を泳がせている。
「そんなことできんの?」
「できるわ!!私の力を全て使えば!!」
それ、ダメじゃない?神様が消えちゃう感じじゃない?
「で、やってみた、と。」
「やってみたというか、夢を見せてるだけどね。」
「こっちが、夢だったんだ。」
「そう。で、もしあなたが「戻りたい」って言うのなら、戻してあげようと思ったの。」
「そしたらどうだった?」
優しく微笑みながら、問いかけてやる。
「すみません。やらなきゃよかったです。」




