三月十七日【後】
「ちょっ、お土産じゃないんだからっ。そこはむしろ残る物じゃない!?」
「……でも、迷惑になったら」
「みつる、考えすぎ!」
ビシッと指を差されて言われたが、性格はそうそう変わらない。むしろ、プレゼントをしようとするだけで自分的にはいっぱいいっぱいなのだ。
「そういう時は、ネット検索よ!」
「パソコン、リビングにあるし……わたし、ガラケーだから画面が小さくて、検索にはちょっと」
「あたしの家でやればいいじゃない。行くわよっ」
今日も気合い全開の亜美に引っ張られ、みつるは亜美の家に行った。
それから、亜美の家のパソコンで並んで検索をして――二人で、顔を見合わせた。
「……わたしみたいな人って、いるんだね」
「んー、ただ皆で買うんだって人も、多いかな。ペンとかだと、ちょっと高いよね」
「ツッキーは体育系じゃないから、トレーナーとかジャージもちょっと、ね」
先生へのプレゼントは、どんなものが良いか――求めていた質問への回答を見ながら真顔で言う亜美に、思わず笑ってしまった。似合わなくはないが、やっぱり少しイメージとは違う。
とは言え、回答を見て参考というか安心した部分もあった。
「使うものなら、困らせなくて済む……かな?」
「うんうんっ」
ためらいつつも口にした疑問に、亜美が頼もしく頷いてくれた。
※
そんな訳で本日、十七日の土曜日にみつるは駅近くの百貨店へとやって来た。
駅直結のショッピングモールもあるが人が多い分、もし同じ学校の生徒にあったらと思うと緊張する。
その為、みつるはもう少し大人の客層のイメージであるこの百貨店を選んだ。
何を買うかはまだ決まっていないが、ここなら大抵のものを見て選ぶ事が出来るからである。
そう、百貨店なだけあって、色んな選択肢がある。
……ただし、各階を回りながらみつるはだんだん気が重くなってきた。
築島の、スーツから連想するネクタイやタイピンは却下――趣味に合わなければ大変だし、あまり高価だと相手に気を使わせてしまう。
かと言ってハンカチや靴下だと、ネットでは概ね好評だが消耗品だ。いや、元々がお菓子と考えてはいたのだが。
(残るなら、残って欲しい……って、欲張りだよね。形ある物は、いつか壊れる訳だし)
考えすぎて、何だか大袈裟な事になってきた。
(重い。重いよ、わたし)
そして肩を落とし、もう最初に考えた通りにお菓子にしようかと思って下りのエスカレーターへと向かった瞬間。
みつるの足は、いや、目はある場所で止まった。




