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空貝 ~うつせ貝~  作者: 渡里あずま


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12/16

一月四日

 そんな訳で築島とは年賀状、あと高校合格の連絡の後は暑中見舞いでのやり取りがその後も続いた。

 最初のみつるからの手紙、あと自分の誕生日を知らせる時は手紙にしたが、それ以外は葉書で送った。築島も葉書で送ってきた。

 だから、みつるは築島に送る為の暑中見舞いと年賀葉書を買う為に、大通りにある文房具専門店に行って予算内で、出来るだけ素敵だと思うものを選んで送っている。

 ……正直に言えば他の季節、それこそバレンタインやクリスマスのカードも気になったが、あまり頻繁に送ると相手の負担になる気がしたので、そこはグッと我慢する。

 とは言え、家族と暮らしている以上、そんなやり取りを隠し切る事は当然ながら不可能で。


「親としては、何書いてるか解るから安心出来たけど……あんた達、本当に付き合ってないの?」


 築島からの葉書は、母としては好感度が高いらしい。仕事始めの父を送り出した後(今までのやり取りも、父には内緒にしてくれている)食後のお茶を飲みながら、そんなことまで言ってきた。


「……先生、だよ?」

「中学の時だし。あんたももう、三月には高校卒業するじゃない」


 母親からの言葉に、何と返していいか解らずうっと返しに詰まる。

 そう、築島が転勤してから四年――あの時、切った髪はまた同じくらい長くなり、少しだが背も伸びた。

 母の言う通り、みつるは今年の三月に高校を卒業する。

 まあ、その前に受験があるのだが――母、そして今も同じ高校に通っている亜美からは、築島に告白しないのかと言われていた。


(……だけど)


 中二の時、築島を好きになって。その後も彼以上に、そして彼以外に好きになった相手はいない。

ただ、一方で。


(好き、だとは思うけど……相手は、大人の男の人だし。この四年、会ってないし)


 アニメキャラとまでは言わないが、芸能人に憧れるのと同じなんじゃないだろうか?

 そう思うと、下手なことを言って(というか書いて)今の葉書のやり取りが終わるのも嫌で、みつるは高三ここまで来たのだった。

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