やさしやさしい気持ちになる時 つどい (2篇)
やさしい気持ちになる時
ピアノの軽やかな音が
私の心を優しく愛撫して
通り過ぎていく朝
夏はサラサラと
光を散らし
高く透明になりつつ空へ
吸い込まれていく
静かに打つ心臓は
私の生きている時間
胸に手を当てると
手のひらに
命の音が
刻まれる
やさしい気持ちが
ゆっくりと
潮が満ちるように
心を満たすと
それが
涙だとふと
気づく
幸せと平和
夏の朝に
よりそって
光の襞の間を
そぞろ歩き
目の前で薄れていく
朝に腰を屈める
*** *** ***
つどい
夏の午後
時間は暑さの中に解けたように
ゆっくりと過ぎていく
白いドレスに帽子
赤いパラソルが爽やかに
若緑の公園に夏の花を咲かせている
木漏れ日だけがちらちらとまぶしく
芝生の上を休むことなく
踊り続ける
世間話は終わることなく
婦人たちの刺繍針は
白い午後に新しい模様を刺していく
そんな絵の前に立つ
ガランとした美術館
時間が止まる