表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー登録編
6/114

第6話:アカシックレコードの闇

###


 今から2年前程の話、その時も山口飛龍の時と同様に新人アーティストが選ばれた。しかし、その数日後に事件が起きる。


【新人アーティストが受賞辞退。受賞者は――】


 ネット上でも取り上げられたこのニュースは、想像を絶する程の早さで拡散していく事になった。


 その後、複数人がネットにアイドルグループAのファンが起こした襲撃事件である……とつぶやきサイトで拡散した事で、事態は悪化する事になる。


 それに加えて、この事件の真相を探ろうとした人物もいた。今回の事件が本当に超有名アイドルの仕業であるという証拠を発見する為に。


【芸能事務所A、今回の事件を受けて解散を決定】


 真相を探ろうとした翌日、このニュースが再びネット上をにぎわせる事になった。そして、今回のコンテストに関しては受賞者なしと発表、事件は急スピードで解決したのである。


 この急スピード解決に関してはネット上でも疑問の声があった。アカシックレコードを探ろうとして気づかれた、芸能事務所側が政治家と手を組んで裏取引をしていた、その他にもさまざまな説が浮上する。


 しかし、それでも真相を探ろうとしないのには理由があった。それは、当時の日本が超有名アイドル商法を成功させ、それによって不況を脱出していたという現実があった為である。 


 この状況を崩壊させる事で、経済不況を生み出した張本人として叩かれてネット炎上する……それを周囲が望まなかったのも理由の一つと言われているが、これもまとめサイトで取り上げられた仮設の一つであり、真相は不明のままだ。



 それから2年後、今度は同じ番組ではないが別のコンテストで山口飛龍が選ばれ、同じように何者かによって襲撃される。


 しかし、これを阻止したのは南雲と名乗る人物だった。彼の正体はミュージックオブスパーダの開発者と言われているが、真相に関しては不明な個所が多い。


 これに関しては、あえて調べようと言う人物が現れることはなかったと言う。過去の前例を踏まえ、同じような事を起こしたくないと考えたのが大多数とみるべきか。


【結局、超有名アイドルが金の力で報道を封じた……と言う説が大きい】


【しかし、それだけの事をやればリスクは大きい】


【一方で別の勢力が起こした事とネット上で拡散させれば、あっという間に信じるネット弱者は多いだろう】


【これによって夢小説勢等を潰した経歴を持つのが、今の超有名アイドルファンと言う事か】


【まとめサイトやマスコミを利用し、巧妙なトラップを仕掛け、自分達は無尽蔵と言う富を得ようとする。そして、彼女達は全ての次元を制圧しようとしている】


【全ての次元とは?】


【我々のいる世界、このアカシックレコードを見ている読者、この記録をアーカイブで目撃している人物、まとめサイトと言う形で周囲に拡散している勢力――】


【どちらにしても全ての次元の地球で、超有名アイドル無双が起きているのは変えられないのか?】


【それを変えられる可能性は、ゼロではない】


【その可能性を秘めた存在こそが、封印されているリアルチート……トップランカーとアガートラームだ】


【トップランカーは音楽ゲーム絡みと分かるが、アガートラームは――】


 このまとめサイトと思われる記事は、ここで途切れている。


###


 4月2日午後3時30分、大和杏はセンターモニターで別の動画をチェックしていた。その動画は山口飛龍の物ではなく、別の上級者プレイヤーによるプレイである。


「そう言う事か。ここまで巧妙に仕掛けられていたとは……やってくれる」


 その動画を見ていた大和は、思わず歯ぎしりをしていた。その動画の上級者プレイヤーは一見するとチートを使っていないように見えるのだが、実は公認ガジェットと見せかけた違法ガジェットを使用していたのである。


 運営の方でもチートや外部ツールに関しては厳しい罰則を設ける等の対策を行っており、アカウント凍結だけではなく一歩間違えると国家予算クラスの賠償金を求められるケースも……。


 賠償金に関しては外部ツールに手を出す事に関しての忠告的な意味もあるのかもしれないが、


「あの上級プレイヤーもなりすまし……大方、評判を落とす為の超有名アイドルファンが仕掛けた罠と言うべきか」


 この一言後には、大和はフィールドへ乱入、アガートラームを使用することなく……別のARガジェットを準備していた。


「すみませんが、ミュージックオブスパーダではサブアカウントの使用は不可と――」


「これは別のゲームで使用する試作型ガジェットだ。本来のガジェットは、こっち」


 スタッフが別ガジェットを取り出した場面を目撃して制止を――と思われたが、大和は本来のガジェットでプレイするだけだと説明する。


 大和としては、アガートラームを見せびらかして安易に敵を増やしたくないという考えがあるのだろう。ただし、大和はアガートラームだと自覚はしていないが。



 30分後、大和はアガートラームなしでもあっという間にチートプレイヤーよりも上のスコアで撃破に成功した。


「上級者と思わせてのなりすまし……と思ったが、金で買収されていたとは」


 イースポーツでも耳が痛い話題だが、今回撃破したプレイヤーは上級者ではなく中堅の実力者だった。しかし、その実力は上級者と見分けがつかない。


 一部の上級者やトップランカーに代表されるプレイヤーであれば、その癖や特徴を見破れるのだろう。


「どちらにしても、超有名アイドル商法まがいのシステムがARゲームに浸透する事だけは……」


 大和の一番懸念している事、それは超有名アイドル商法がARゲームのシステムに導入される事である。


 これによって、一部勢力が絶対正義であり、他の勢力を排除するような展開が起こってはいけない――これは、過去に起こった事件からも読み取れる事だ。


「超有名アイドルがミリオンヒットを飛ばし続ける事で、日本経済が上向きに見えるような世界は既に終わっている」


 大和の最終目的、それは音楽ゲームのイースポーツ化で間違いない――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ