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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー激戦編

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第45話:世界の真実(前篇)

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 6月18日午後2時10分、大淀おおよどはるかは違和感を感じる事になった。


「あえて音楽ゲームでリリースした事の意味……」


 大淀は音楽ゲームとしてミュージックオブスパーダをリリースした事に関して、楽曲の宣伝と言う説も考えた。


 しかし、それは超有名アイドルの楽曲を力押しする音楽番組等と変わらない。


 こうした仮説は既にアカシックレコード上にも記されており、今更と言う気配もする。


「3曲全ての理論値を出せる人物が、最初から出ない事を考慮するはずもないか。南雲蒼龍に限って、そんなミスをするはずは――」


 南雲蒼龍なぐもそうりゅうが最初から3曲の理論値を出せないように仕組んだとも考えるのだが、そんな事をして何の得があるのか。


 しかし、初日から理論値を出した人物は非公式で存在する。結局はチートで失格処分になったというオチが付く。


 そうした事を百も承知で理論値が出せないようにするのは、音楽ゲームのシステムを熟知した彼ならば不可能ではない。


 ネット上でも和尚と呼ばれる不正プレイの一種、別のプレイヤーによる身代わり、サブカードの作成等……そうした不正プレイの実態は暴かれている。



 同刻、大淀の目の前を通り過ぎたのはビスマルクだった。しかし、大淀はビスマルクに気付いていない。


 彼女は何かを考えているようであったが、それを周囲には全く悟らせない。それに加え、歩きスマホをせずに周囲のARゲームを見ているような行動をしている。


 そして、大淀から数十メートルほど離れた場所にある音楽ゲームをベースにしたARゲームの筺体前で足を止める。


 筺体はDJテーブルを模した機種――それをARゲームの仕様に変更したと言えるもので、バーチャルモニターや特殊な拡張映像で展開される7鍵盤のコントローラが特徴だった。


 この機種自体はミュージックオブスパーダのプランとして検討されており、いち早く導入された機種でもある。


「南雲の狙い、それは音楽業界の闇を公表する事ではない。逆に、そんな事をすれば芸能事務所から暗殺部隊を派遣されかねない」


 ビスマルクは南雲がミュージックオブスパーダのシステムを作った理由を考えていた。


 しかし、単純な理由はネット上でも考察されており、そんな単純な物とは違うと思っていたのだが……。


「音楽ゲームの全てを知っているからこそ、別のアプローチを考える必要性があった。それがミュージックオブスパーダ。しかし、あの課題曲3曲には何の共通点があるのか」


 3曲を担当した人物が、別の同人音楽ゲーム出身なのは既に把握している。しかし、本当に共通点はそれだけなのか。


 ビスマルクが他人のプレイを観戦しながら考えるのだが、余計に分からなくなってきた。


「仕方がない。ここは――?」


 ふとスマホを取り出し、つぶやきサイトをのぞこうと考えていたのだが……そこでビスマルクは何かに気付いたのだ。


「理論値が出ないようにした理由、そう言う事か」


 チートをおびき出す為という理由が一番有力と思われた理論値が出ないようにした件、それはもっと別な個所にあると結論付けた。



 同刻、別の草加市内にあるARゲーム専門のアミューズメント施設、そこでは大和杏やまとあんずが2曲で理論値を叩きだしていた。


 しかし、理論値を出したと言っても同じ曲であり、残り2曲の攻略には程遠い。


 ゲーム終了後、汗のしみついたインナースーツを脱ごうとも考えたが、それはシャワー施設のある所で着替えるべきだろう。


 そう判断した大和は、アミューズメント施設を後にする。


「理論値をあえて出せない仕様にしたのではなく、そう言う風に仕向けたという事か」


 持ってきたタオルで汗を拭きとり、近くのアンテナショップへと足を運ぶ。そこではシャワー施設もある為、そこで着替えようとも考えていた。


「それに、つぶやきサイトの方も臨時メンテナンスで投稿が出来ない状態になっている」


 大和がタブレット端末でつぶやきサイトを閲覧しようとしたが、トップページでは臨時メンテナンス中と言う事でログインが出来ない状態になっているようだ。


 稀にサーバーの過負荷等でメンテに入る事があるのだが、こうしたタイミングで臨時メンテが入るのは珍しい。


 ソーシャルゲームではないので『詫び石』等と言われる事はないのだが、ネット上では別サイトで臨時メンテの一件で炎上しているのは言うまでもない。


 しかし、臨時メンテに入ったとしても大和はつぶやきサイトのアカウントを持っている訳ではなく、いわゆるROM勢である。


 それを踏まえると、特に困ると言う様な事はない。それに加えて、スコアトライアルに参加するには『ある条件』に同意しなくてはいけないのだが――。



「つぶやきサイトのメンテが、このタイミングで?」


「ありえないだろう」


「政治的な発言を削除する為に運営が動いているのか?」


「政治的なものであれば、前々から動くはず。今のタイミングで動くと言うのは――」


「どうした?」


「この発言、アキバガーディアンに見られている可能性があるぞ」


 このログは別の会話系アプリでのやりとりだが、つぶやきサイトのメンテは色々な所で影響しているような発言である。


 しかし、この発言があったのは埼玉県の草加市内近辺――遊戯都市奏歌の近辺だった。


 これが何を意味するのか、まとめサイトで一連のログを見ていたネット住民には一定の理解をしている者もいる。


「南雲が潰そうとしていた勢力――そう言う事か」


 バウンティハンターを名乗っていた加賀かがミヅキは、南雲が何を仕掛けようとしていたのか把握していた。


 加賀の方もミュージックオブスパーダへは参加しているが、初期に数度プレイした程度で小休止し、バウンティハンターの方がメインになっていたと言ってもいい。


「まさか、つぶやきサイトのユーザーが大規模なネット炎上に無意識で加担――。政治関連だと、よく使われる常套手段とも言えるが」


 真相が分かったとしても、それを事実かどうか確かめる手段はない。南雲の方も、あっさりと答えを言うようなタイプではないだろう。


「この世界の真実を知る為にも――本選に残るのが最優先と言う事かもしれない」


 南雲がハンティングゲームに音楽ゲームの要素を入れた理由、コンテンツ業界に暗雲が見えた事……それらを全て把握した上での、ミュージックオブスパーダだとしたら?

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