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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー激戦編
44/114

第40話:木曾あやねという人物とは?

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 話は2018年1月辺りまでさかのぼる。ミュージックオブスパーダの先行稼働に関するニュースも出ておらず、憶測による情報で混乱していた時期だ。


 この時期の草加市は奏歌市との中間に位置していたと言っても過言ではない時期であり、後にさまざまなARゲームタイトルがリリースされる事で決定付けられたイメージが確立する前でもある。


 それでもARゲームが全く置かれていなかったと言うと、それは間違った認識だ。実際、東京でしか見ないようなARゲームが率先してロケテストを行っていたのが埼玉であるという認識もあった。


【炎上ブログや炎上を誘導するサイトが儲かると言うセミナーがあるらしい】


【そんな馬鹿な? その系統のセミナーや講義は行うべきではないと警告メールが流れているのでは……】


【確かに。下手にセミナーを開けば、アキバガーディアンが駆けつけるとい噂もある】


 非常に長いやりとりがあったが、それを三行のつぶやきでまとめると、こういう感じになる。


 1月~3月辺りにかけて、このようなつぶやきまとめが拡散していたのだ。何故、この時期に炎上ブログの話題を……と言う謎もあるが。


「炎上ブログか……。どうせ、それらを影で操っているのは超有名アイドルに決まっている」


 木曾きそあやね、この当時はアキバガーディアンに興味すら示さない、音ゲーマーだった。


 音ゲーマーと言ってもピンからキリまで存在するが……彼女はランカーと呼ばれる上級者を越えた何かと言える存在。


 ランカーという言葉がARゲームで浸透し始めた頃という時期にランカーになったという事もあってか、ARゲームのランカーと勘違いされる事もあったが。


「超有名アイドルの芸能事務所から金をもらい、それ以外のコンテンツを終了まで追い詰める――そうした印象操作を平然と行う」


 木曾は谷塚駅近くのコンビニで焼きそばパンとコーラを購入、焼きそばパンを食べながら器用にタブレット端末を操作していた。


「芸能事務所が自分達の利益を得る為であれば、殺人やテロ行為以外は何でも行う吐き気を催す邪悪と言うのは……今に始まった事じゃない」


 焼きそばパンを1個食べ終わると、今度はコーラのペットボトルに口をつける。そして、ある記事を発見した。


「1年前のパルクールをベースにしたARゲーム、あちらはロケテストと言うかトライアル段階で色々と動きがあったらしい」


 木曾の視線はコンビニを通過する市民の方を向いていた。ジーパンを穿いている関係で、パンチラ等は期待できないのだが……何故か視線は木曾に集まる。


「見世物じゃないんだ。あっちに行ってくれないか」


 ギャラリーの方は木曾に集中していた訳ではないが、何人かは木曾から離れて行った。一部の隣にあるモニターに集まっている人物は離れる様子がない。


 木曾は、そこで初めてARゲームと言う存在を知ったのである。



 そして、現在。彼女はプルソンというHNでイースポーツにおける上位ゲーマーの地位を獲得している。


 それに加えてARゲームの一部でも進出しており、ミュージックオブスパーダへの参戦も興味があったというのが理由の一つだ。


「普通は驚きますよ。プロゲーマーとして海外からも声がかかっていた木曾あやねが、まさか――と」


 ガジェット倉庫へと案内した男性スタッフは、木曾が来た事に関して驚くしかなかったのである。


 周囲の木曾を知るスタッフからはサインを求める事もあったが、今回は別件がある為にパスと言う流れに。


「こちらもあまりに名前が有名になり過ぎた弊害と言うのもある。有名音楽家が超有名アイドルの新曲を担当しただけで、サイトが炎上する時代もあった事を考えると――」


 木曾の方はARシステムを切っているらしく、現在はインナースーツのみの状態である。この辺りはARゲームの機種によって異なる部分があるようだ。


「超有名アイドルのコンテンツ支配も魔女狩りという側面があった以上、周囲からは不満が出てくるのは当然の話です。それに、向こうがやっている事は悪い言い方をすれば、戦争を行っているも同然の手段を――」


「無暗に戦争と言う単語を使うべきではない。あくまでも、ARゲームは『ゲーム』と言うカテゴリーで運営されている。疑似化されている状態だとしても、その単語を使うのは望ましいとは言えない」


「すみません。色々と焦り過ぎました」


 スタッフの失言に対し、木曾は強くは言及せず、やんわりと対応する。下手に抑圧的な態度に出るのは戦端を開きかねないと考えているからだ。


「そう言えば、アカシックレコードに記された封印されたガジェットがあると聞いているが」


 2人が歩いている方向、それは本来の在庫管理している倉庫とは異なるルートであり、それは木曾の方が逆に怪しんでいる。


 このスタッフ、もしかするとなり済ましの可能性も……。



 5分は色々と回っただろうか。木曾とスタッフはあるゲートの前にいた。素の扉は厳重封印されており、第3者が開く事は許されていない。


「貴女であれば分かるでしょう。この扉の先に封印されている物に」


 スタッフがゲートに設置された謎の装置にカードを見せると、そのゲートは開き始めた。そして、そのカードには驚くべき名前が書かれていた事も。


「DJイナズマ――だと?」


 木曾の方も彼の名前は知っていた。DJイナズマと言えば、音ゲーランカーではないが隠れた実力者と言われている人物だ。それが、どうして……。


「自分としては現状打破する為にも、アガートラームと別に封印を解くバランスブレイカーが必要だった――」


 木曾の目の前にあった物、それはガンブレードと言うにはビームサーベルが3本合体しているようにも見える。それに加え、パイルバンカーにも思えるギミックも――。


「まさかと思うが、これはレーヴァテインか?」


「レ―ヴァでもなければ、レ―バでもない。この武器の名前は――」


 その武器の名前を聞いた木曾は別の意味でも衝撃を受けた。自分のHNがソロモン72柱を由来にしていたのも――驚いた理由の一つである。


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