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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー激戦編
43/114

第39話:音楽ゲームランカー(後篇)

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 6月13日、昨日の理論値スコアに関しての裁定が公式ホームページで発表された。


《理論値を達成した一部プレイヤーに、ARゲームでは認められていないアプリが使用されていた事が判明し、該当プレイヤーを失格処分にした》


《それとは別に理論値を達成したプレイヤー1名に関しては、違法アプリやガジェットの使用は確認できず、こちらは認定する》


 これによって、課題曲の1曲で1位が確定した事になる。そして、2位以下も98%まで到達しており、理論値が複数人出るのも時間の問題だった。


【1名のプレイヤーネームを見たが、本当に彼女なのか?】


【ARゲームでスカイエッジと言えば――イースポーツでも有名なプレイヤーだ。なりすましもあり得ない】


【なりすましがあり得ないと断言できるのは?】


【スカイエッジは、ジャイアントキリングされやすいプレイヤーとしても有名だ。それを踏まえても、なりすましして得をする人物がいるとは思えない】


【評判が悪い人物になりすまし、更に評判を落とすという事も考えられるが……彼女に関しては既に底辺まで落ちている】


【つまり、現状の評判がなりすまし1名が現れたとしても、変わる事はない。そう言う事か】


 スカイエッジに関しては色々な伝説があるのだが、あまりにも想定外の事が多すぎてネットに書ききれないという逸話もある。


 つまり、なりすましが1名だろうが10名だろうが彼女の評判を落とすのは不可能に近い。それ程の人物なのだ。



 午前11時、自宅のテレビでニュース番組を見ていた大和杏やまとあんずは、何か重要な事を忘れている気配を感じた。


「超有名アイドル、政治家、フジョシ、夢小説勢が撤退、別の反抗勢力も一斉摘発の対象に――」


『次のニュースです。芸能事務所がまた不祥事です。今度はARゲームで使用する違法アプリをアップロードしたとして――』


「違法アプリ……まさか、弱小芸能事務所がそこまで追い込まれていたとは」


 大和も思わず驚いたニュース、それは一部の弱小芸能事務所が有料アプリをアップロードし、その売り上げを事務所の運転資金にしていたという物。


 バラエティー番組で所属アイドルに貧乏ネタを自虐的に話すよう指示しているのでは……という話題がネットに上がるようになっていたのは最近に限った話ではない。


 しかし、こうしたニュースがあからさまに報道されるようになったのは、ここ最近に加え、超有名アイドルがARゲームから撤退した時期と重なる。


 まさか、芸能事務所がアップロードしていたアプリがアイドルの情報アプリと見せかけ、その中身は特定のARゲーム専用のツールアプリという事実には驚きを隠せない。


 テレビのニュースではARガジェットの外部ツールと言う事は伏せられている。何故、伏せる必要性があるのかは明らかになっていない。


 国営テレビのニュースと言う事で報道しないだけかもしれないが。



 その一方、同じニュースを見ていたのはゲーセンでタブレット端末をチェックしていた南雲蒼龍なぐもそうりゅうも同じだった。


「ARゲームでチートが蔓延する事によって、賞金制度を導入できなくなる弊害だけでなく、賞金が犯罪に悪用されるのは明白」


 南雲はチートが賞金制度を導入したARゲームで使われる事が非常に危険である事、それに加えて……。


「この状況が続くとすれば、更に別の勢力を引き寄せる事になる」


 もう一つの懸念、それは未確認の別勢力を呼びよせる可能性だった。ネット上で挙げられているような勢力とは全く違う――。



 翌日午前10時、スカイエッジと同様にARスーツを着た状態でアンテナショップへやってきた人物がいた。


「そこの方、申し訳ないですが顔を隠した状態で入店はできませんが――」


 男性スタッフに呼びとめられた人物は、少し困惑気味だった。アキバガーディアン専用ガジェットを持っている訳ではなく、どのように状況を説明するべきか。


『犯罪者でもないので、素顔を見せても問題はありません。しかし、店の外で混乱させるのも本意ではない』


 この人物はアキバガーディアンではないのだが、スーツのデザインはFPSで使用される物と類似している。


「これは、もしかして……!」


 男性スタッフは渡された名刺を見て、思わず声を上げた。これが周囲に聞こえていたら一大事。それ程の有名人だったのだ。


『私の名前はプルソン――イースポーツでは有名人と言ったところか』


 声の方はボイスチェンジャーで男性になっているようだが、体型を見る限りでは女性のような気配すら見える。


 体型がぽっちゃり系のソレと思われる箇所もある為、スタッフは疑問を持っているようだ。


「分かりました。その話を信じましょう」


 一応、男性スタッフの説得には成功したようで、プルソンは裏口と言うよりも搬入口からショップへと入る。


 これに関しては、ARウェポンやアーマー的な意味もあるのかもしれないが。



 同日、大和はネットの掲示板である情報を発見した。それは、音ゲーランカーしても知られる木曾きそあやねについての記事である。


「謎の音楽ゲームトップランカー、木曾あやね。その正体は音ゲーマー以外では不明だったが、イースポーツにも名前を残しているのか」


 格闘ゲームではないが、FPSゲームで木曾は一定の実力を持っており、プロゲーマーとしてのオファーを受けた事もあると描かれていた。


「プロゲーマー契約を蹴り、音ゲーマーとしての地位を維持――?」


 しかし、途中の記述が文字化けしていて判別不能になっていた。その先の文章はアガートラームを使用しても文字化けが戻る事はない為、相当なプロテクトがかけられている可能性もある。

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