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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー激戦編
32/114

第31話:目指せ! ミリオンカスタマイズ講座

>9月30日午前2時39分付

誤変換修正:ファンタh時―が融合したような曲→ファンタジーが融合したような曲

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 6月1日午後1時、大和杏やまとあんずがグングニルでミュージックオブスパーダへ参戦している頃、山口飛龍やまぐちひりゅうはある動画をチェックしていた。


「メンテナンスも重要なファクターの一つと言うらしいが……」


 現実のゲーム筺体でもメンテナンスは重要になる。このメンテナンスに不備があるだけでスコアが変動し、ゲーセンへクレームを付けると言うケースも存在する。


 格闘ゲームでも対人戦で、わずかな動作ミスが致命的になる事もある。イースポーツの大会では違法改造がされていない限りはジョイスティックの持ち込みを認めるケースもある位だ。


 それらを踏まえると、ARガジェットのメンテナンスも重要な要素となるのは間違いない。



 山口が発見した動画、それは『ミリオンカスタマイズ講座』と言う物。ミリオンと言う単語には大きな意味はないが、これを抑えておけばカスタマイズの基本はフォローできるというのが動画説明文にも書かれている。


『まず最初に、ARガジェットを動作するのに重要なギアのカスタマイズから――』


 動画の人物は女性であり、科学者を思わせる白衣を着ており、何故か髪の色は黒。特に気にはならないが、微妙に貧乳が強調されているようだ。


『ギアのカスタマイズは公式ホームページにもあるが、こちらで調整する必要性は特にない。しかし、微妙なパラメータ調整に関してはオプションが設定されており――』


 次に画面に表示されたのは、《スピード》、《タイミング》という項目。スピードは音ゲーで言う所のノーツが落ちてくる速度、タイミングは音ゲーで言う所のラインを意味している。


 スピードを速くする事でターゲットが早くなる訳ではなく、曲のスピードによって速さが異なると言う物だ。超高速でターゲットが動き、何もさせてもらえないままにゲームオーバーと言う事はない。


『スピードに関しては、特に1で固定していても問題はない。最大で3まで調整できるが……敵に囲まれては適応できないという場合、3辺りにすると重装備でも囲まれにくくなる』


 囲まれにくいという事は、それだけフルボッコになる事も少ないという事らしい。スピードタイプではない場合、スピードを3にした方が有利になるとも言及していた。


 ただし、自分のスピードが上がる訳ではなく……逆にリスクを伴う事も言及された。軽量タイプだと、速度3で速過ぎて対応できないというケースもある。


『タイミングは……これも最大3まで調整できるが、基本的には1でも問題はない。ギアのタイプやガジェットのタイプを見極め、それから調整してもよいだろう』


 タイミングはノーツをタッチするタイミングを任意で調整出来る物。本来、音楽ゲームはボタンやパネルをタッチすると言う行動をとるのだが、ミュージックオブスパーダは自動照準というシステムも実装されている。


 つまり、ガジェット側でタイミングを勝手に調整してくれるというありがたい物……にも見えるのだが、マニュアルでタイミングを調整するという人物もいる。


 慣れればオートよりもマニュアルの方がスコアが出るとの事だが……そこまでは解説動画でも言及していない。


『それと、ひとつだけ注意しておくが……アンテナショップや公式サイト以外で配布されているようなアプリは実装しない方がいい。ARゲームのアプリは公式で認められている物以外は、基本的に外部ツール扱いをされる――』


 この他にも外部ツールを使った際のペナルティ、ARガジェットの調整方法なども動画では説明されていたが、最後は決まって……。


『ARガジェットの解体を行うのは、違法改造と同義として運営に見られる場合がある。その場合は、アンテナショップへ事情を説明するなりして調整をして欲しい』


 どうやら、清掃目的でもガジェットの分解は認められていないようだ。厳密には、ブラックボックスの解体に限定されるが……あの言い方だと分解しない方が良いという言い方だろう。



 結局、山口は下手に触るよりもアンテナショップで見てもらった方が早いと判断し、アンテナショップへガジェットを持っていく。


「これはパーツの消耗ですね。ARガジェットとはいえ、半永久的に使えるユニットもあれば、定期的に入れ替えが必要なパーツもありますので」


 シールドビットと言う特殊ガジェットと言う事もあり、ビットのスピードが通常の半分以下に落ちる事もある。そうした不具合は、基本的にパーツ交換の合図となっているらしい。


「何処かのゲーム機みたいですね……」


 山口は半分あきれ返りつつも、シールドビットをスタッフに手渡し、自分は別の動画をチェックしようと考え、センターモニターへ向かった矢先……。


「あれって、アガートラームじゃないのか?」


「アガートラームって、あのチート武器としてブラックリストに入りそうだった、アレか?」


「いっそのこと、禁止武装にして欲しかったが」


 周囲からは、そんな声が聞こえていた。どうやら、アガートラームに関する話らしい。そして、山口がセンターモニターの中継映像を見ると……。


「あれは、大和杏?」


 そこに映し出されていたのは、大和杏やまとあんずがグングニルでターゲットを的確に撃破していくという映像だった。しかも、この曲は寄りにもよって……。


「この曲は、南雲飛龍の――」


 ドラマティックトランスと言う名のSFとファンタジーが融合したような曲、3倍アイスクリームの空耳、ラストの連弾、イントロのボーカル……。


 このパターンのトランスを得意とするのは、南雲蒼龍なぐもそうりゅう。彼は、さりげなくだがミュージックオブスパーダに別の音楽ゲームで収録された自分の曲を移植していたのである。

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