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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー激戦編
28/114

第27.5話:南雲蒼龍、音楽ゲームを語る。

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 5月30日午後1時、DJイナズマはテレビのニュースでも相変わらずの超有名アイドル特番ばかり……その中で、あるネット記事を発見した。


「南雲蒼龍、音楽ゲームのイースポーツ化を考えている勢力の一人としては、そのカリスマ性は文句なしか」


 彼の見ていた記事、それはエンターテイメント系のサイトで掲載されていたコラムの一種だった。


 その内容は、南雲蒼龍なぐもそうりゅうが音楽ゲームの現状について語る物であり、どうやらミュージックオブスパーダの特集に付属するような形で掲載されたらしい。


『自分がミュージックオブスパーダで運営のポジションにいるからと言って、トップランカー確定と言う話も浮上しているが……それは間違った認識でしょう』


『トップランカーになるにはスコアも条件に入りますが、それ以上にトップランカーとしての実力が伴わないといけない。心技体が揃っていないと、ランカーになる事は出来ない』

 

『楽してランカーになろうと考えている発想、それは止めておいた方が良いと思います。そう言った人物が、違法チップやガジェット、外部ツールに手を出し、優越感に浸ろうとする――』


『格闘ゲームと違い、攻略法がある程度は縛られてくるのも現実にありますが……それをチートでカバーしようと言うのは間違っています。リアルチートは別格ですが』


『攻略法の情報交換は自由としていますが、さすがに外部ツールや違法なチートは犯罪行為に等しいです。そして、そうした勢力に限って……反ARゲームを訴え、コンテンツ業界を混乱に陥れる』


 他にも様々な事が書かれていたが、イナズマにとって有益な情報はごくわずかだった。


 ミュージックオブスパーダプロジェクトの立ち上げ、アカシックレコードとの関連、そう言った物を探っていた彼にとっては空振り――。


『……自分としては、一時期流行したソーシャルゲームのカードバトルみたいなテンプレとしての音楽ゲームは、ちょっと違うと思うのです』


 イナズマは、このやりとりに対して別の驚きを抱いた。音楽ゲームであれば、流行するのは歓迎ムードというような思考を持っていると思ったのだが、実際は違うようだ。


『確かに、ここ最近と言うか数年前のリズムゲーム大流行は驚きました。しかし、それはカードゲームの様な課金要素やコンプガチャ等が問題視され、それを回避する為の手段として……』


『リズムゲームが流行するのは、こちらとしても歓迎すべきなのですが……あの時の様な一種のテンプレ作品が流行してしまうのは、こちらとしても歓迎するべきではありません』


『自分としては夢小説の流行テンプレがブームになり、それが一斉に叩かれるような状況に音楽ゲームが置かれるのは我慢ならない』


『自分が目指す音楽ゲームは、格闘ゲームやFPS、MOVAに代表される様なイースポーツのメジャージャンル入りする事です。テンプレ化されたリズムゲームが一過性のブームとして存在するような事では、それも実現できない』


『自分は、そうしたコンテンツ業界のお約束と言うかご都合主義、大人の事情を打ち砕く……その為に奏歌市の町おこしにも参加し、今回のミュージックオブスパーダを計画しました』


 

 この記事が掲載されたのは、ミュージックオブスパーダのオープンロケテストが行われた辺りとされているが、日付改竄の可能性もあって……その詳細は不明である。


「南雲蒼龍、あの人物の考えは別の意味でも本物だ。自分があのコンテストへ応募する事にした時とは……」


 山口飛龍やまぐちひりゅうはふと考える。あの時に見た南雲の目は……確かに何かの覚悟を決めているようでもあった。


 それに加え、彼が使用していたARガジェットも今を考えるとワンオフ系であり、大和杏やまとあんずの使用する物と類似するものの可能性もある。


 しかし、山口は大和の使用しているガジェットがアガートラームとは気づいていない。おそらく、本人とアカシックレコードを見たごく少数のみが知っているという事だろう。


「ミュージックオブスパーダの本当の狙い、それは何だろうか」


 山口はアカシックレコードの詳細を知らない為、一部の事では知らない事が多い。南雲の真相を知る為にも、情報が足りないのだ。



 大和の方はミュージックオブスパーダの作られた理由はどうでもよいとまでは言わないが、あまり興味はない。あくまでも、音楽ゲームのイースポーツ化がメインである。


「トップランカーの長門……それよりも、警戒すべきは魔女狩りの連中か」


 大和はアガートラームを見つめ、自分が背負った運命の重さを感じていた。ただし、ガジェットの重さは1キロ未満であり、物理的な重さは皆無と言ってもいいだろうか。


「一つの敵を倒せば、更に強大な敵が出てくるのはバトル物でもお約束。次に出てくるのはビジュアルバンド系のBL勢力か、それとも反ブラウザゲーム勢力か……」


 半分は冗談に聞こえない大和のつぶやきだが、当たらずも遠からずだったのは……本人も敵に遭遇するまでは分からなかった。

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