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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー登録編
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第10話:直面したもう一つの現実(前篇)

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 西暦2017年7月、最終的には5機種全てがロケテストを開始する事になった。あの場に残った5機種は最終審査を通過した機種というのもあるのだが。


「音楽ゲームも多種多様になってきたが、格闘ゲームと似たり寄ったりになる現状を見過ごすべきかどうか……」


 奏歌市内にあるビルの一室でパソコンをチェックしていたのは、南雲蒼龍だった。普段は背広と言う訳ではないが、あまり目立たない服を着ている。



 ここ最近と言うより、2年前程から版権作品をテーマにした音楽ゲームが量産されているような状況があった。


 一部ではヒットしている作品もあるが、簡単に便乗してヒットするような物が存在するのか……と言われると南雲には疑問が残る。


 カードバトルやパズル系と言ったソーシャルゲームでもクローンが多数あるジャンルであれば、百の鉄砲数撃てば当たるの法則が該当するだろう。


 しかし、音楽ゲームで他ジャンルと同じ事例が当てはまるとは思えない。音楽ゲームの場合は楽曲の完成度、今のユーザーに人気のある楽曲の有無なども影響する。


 過去に超有名アイドルが自分達の楽曲を音楽ゲームにしたのだが、ユーザー数が伸びずに運営終了に追い込まれたという事例がある。これは、芸能事務所側の力推し戦略があったのだろう。


【超有名アイドルに政治家との裏取引疑惑がある】


【実際、そのような事例があると言う週刊誌はあるのだが……ガセネタだとな?】


【本当のネタだった場合、政党単位で握りつぶす……とでも言いたいのか?】


【それも一理あるが、他の芸能事務所が超有名アイドルを潰す為に炎上させようとしているとも考えられる】


【そちらの方があり得ないだろう。単純に炎上させるならば、夢小説勢が自爆をした一例がネットのまとめサイトに書かれているだろう】


【夢小説勢は自分達のやっている事を棚に上げていた事が自滅の原因となった。超有名アイドルの夢小説を堂々と載せている勢力が、違う勢力のフジョシや夢勢を炎上させるように誘導したのが仇となった】


 様々な事がつぶやきサイト上にアップされているように思えるが、それらの記述があったのはつぶやきサイト上でもなければ、まとめサイトでもない。


「アカシックレコードの更新履歴を見る限りでは、ごく最近の項目も含まれているように見える。しかし、それらが事実かどうかを見定める方法は我々にはない」


 南雲はアカシックレコードの更新履歴が今年の日付になっていた事に関して、リアルタイムの更新が行われているのでは……と考えるのだが、更新者のハンドルネームだけでは偽名かどうか見破る事も出来ない。


 こうした部分を踏まえると、アカシックレコードを鵜呑みにする事は出来ない結論に至る。これは、他の人物にも当てはまる物であり、アカシックレコードを閲覧する者にとっては当然の義務だった。



 しかし、その中でアカシックレコード上の暗黙のルールとも言える部分を破るようなルールブレイカーが存在していた。


 それがアガートラームと呼ばれる存在、武器、記述である。ありとあらゆるチートを許さず、正々堂々を掲げる存在とも言われている。


 その理由の一つが、この伝説であった。


【アガートラームの力は、ありとあらゆるチートを無効化出来る】


 実際、一部の世界で運用されたアカシックレコードの事例が書かれている。しかし、その記述は解読が不能と言う状態だった。


【アガートラームを解き放とうとすれば、ありとあらゆるチートを扱ったゲームは無意味となる。そのゲームの種類は、ありとあらゆるもの――】


 この一文は、各地で起こっている事象もゲームの一種と捉えているようで、一部のユーザーからは不満も出ている。


「馬鹿馬鹿しい。世界で起こっている紛争もゲームの一種と考えているのか?」


 ある政治家の一人が、このようなつぶやきをして炎上、その後にアカウントを削除すると言う騒ぎになったのは、記憶に新しい。


【アカシックレコードの記述、それが表面化すれば国が傾くのが分からないのか?】


【所詮、政治家は超有名アイドルが稼ぎ出す無尽蔵とも言える大金にしか興味を示していない……】


【超有名アイドルが稼ぐ量は、印税だけでも国家予算に匹敵、更には経済効果だけでも国を100年は動かせると聞く】


【しかし、そうした理想論とも言えるような他のWEB小説事例を持ち出し、ネット炎上をしようとするのがフジョシや夢小説勢という別の有名アイドル関係の小説で利益を――】


 一部のつぶやきに関しては文章が途切れたような物がある。それは、この文章が現実世界で言及された際、流血のシナリオが起こると考えられていたからだ。


「アカシックレコードは流血のシナリオを望まない。それらの技術を使い、全ての世界が消滅すれば、銀河系は虚無の空間と化す」


 アガートラームの使用警告とも言えるプロテクトを興味本位で解除していたのは、大和杏だった。


 この当時の大和は、自分の周囲で起こる事を『超有名アイドルの仕業』と思いこんでいる被害妄想の高い人物であり、ネット上からは危険思想の持ち主とも警戒されていた。


「それでも、超有名アイドルの仕業であるチートを滅ぼせれば……」


 興味本位でアガートラームの情報を閲覧した大和は、後にアガートラームを完成させるのだが、それは、若干先の話となる。


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