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2nd sweets:死体(?)発見現場?!

ジリ…ジリリリリリリリン!!


目覚まし時計特有の騒音が、奇妙な館<甘味処>を駆け抜けた。


それも束の間、地響きが起きる程のとてつもなく激しい銃声によって、目覚まし時計のあの騒音はピタリと途絶え、その命を終えた。


たった今目覚まし時計と銃声の活劇が起きていた、部屋の錆び付いたドアが開く。

そこから、14、5歳位の上半身に何も纏っていない少年が欠伸をしながら現れた。

「ふぁ…眠…。」

腰まで届く絹糸のような、透き通る金髪。寝起きだからか髪が乱れておりなんとも艶かしい。

肌は雪の如し。瞳は、深いエバーグリーン。見つめていると吸い込まれそうだ。


一見、少女のようにも見えるのだが、年頃の少女が上半身裸で歩き回るわけがなく。しかも、平原のような真っ平な胸板が少年であることを主張している。

しかしながら線が細く、美少年の部類に入るであろうその少年がまどろみながら右手で目を擦る仕草はさながら小動物のようでなんとも可愛らしい。


一方、華奢な肩には<KANARIA>と刻印が入った大型のバズーカ砲が担がれていた。

不気味に黒光りするその銃口からは真新しい硝煙が溢れているのを見ると、目覚まし時計を亡き物にしたのは彼らしい。


「なぁんで誰も起きないワケ?謎だよ。謎。世界の三大ミステリィなんだよ。」

と、意味不明なことをブツブツ言いながら古い長い廊下を歩いている。ギシギシと嫌な音が響くが気にせず進む。


『にゃあぁ。』─ チリン

「ん…?」

突然の猫の鳴き声と鈴の音に、少年は立ち止まる。足元を見ると首輪に大きな鈴がついた、灰色の体、少年と同じエバーグリーンの瞳の猫がいた。


「メビウス!オハヨ。」

少年は、バズーカを放り、猫─メビウスを抱き上げた。

顔同士を擦り付けじゃれあう少年と猫。

「散歩、行こっか??」

『にゃあー。』

メビウスは嬉しそうに鳴く。

「よしよし。」

少年はメビウスを抱いたまま玄関まで歩き、耳を塞ぎたくなるような嫌な音がする金具が錆び付いた玄関の扉を開ける。


『に…あ』

メビウスは柔軟な動きをして、スルリと彼の腕から抜け出した。


「あっ!メビウス!ちょっ…え?」

メビウスが走って向かったそこに目を向けた。長い沈黙。


「…人…?」

甘味処の玄関先に人がうつ伏せに倒れている。メビウスはその人の手を舐めているが気が付く気配は…ない。


「えっ!?どうしよ…誰か…!」


考えた末…


渾身の力をこめ、息を吸い、溜ったところで一気にはきだし、呼んだ。

「ぐーーーみーーーー!」


少年の上司。

この<甘味処>の主の"ぐみ"を。

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