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小序──琴の琴というもの
琴という楽器がある。
太古の昔、神農、或いは伏羲が作ったとも、炎帝が作ったともいう。その頃は、絃は五本であったという。伝説によれば、帝舜、五絃琴を弾き、南風を歌ったという。
周の文王、武王、二絃加え、以後、七絃になったという。故に、七絃琴とも称す。
十三の徽あり。柱なし。箏とは構造異なる。
左右四本の指で弾く。左右の小指は禁指と呼ばれ、これを用いることは許されず。
古い物には、表面に断紋が生じることがある。形によって牛毛、蛇腹等様々。最も珍重されるのは梅花紋。製造より千年経たなければ、浮かび上がらないという。
孔子、琴をこよなく愛する。以後、君子の精神修養のための必須科目となる。士大夫、教養として皆励む。
大唐の時、遣唐使、これを持ち帰り、わが国に伝えられる。
わが国では、絃楽器は皆、琴と呼ぶ。箏の琴、琵琶の琴……等。琴は、琴の琴と呼ばれる。貴族達、大いにこれを愛する。
平安京遷都よりしばらく後の世に、天は大学頭行実朝臣という人を生まれさせる……




