第二話『王都に着いたが何をしよう』
登場人物
主人公 斎牙
受付の男性 カウィージャッド
平原にある家を出てからおよそ6時間くらいだろうか、ようやく王都の城壁らしき物が見えてきた。俺は息を切らしながら声を上げる。
「着いたぁぁぁぁぁぁ!!!」
そう叫んだ後、ゆっくり深呼吸をして切れていた息を整えて城門の前まで歩いて行く。そうして城門の前にできている列に並び衛兵であろう人物による確認を待っていて俺の番が回ってくると衛兵は俺に声をかけてくる。
「身分証をこちらの魔道具に翳して血を一滴垂らしてください」
そう衛兵に言われた俺は顔をポカンとさせる。
「へ.....?」
そうしていると衛兵が疑念に満ちた顔をこちらに向けてくる。
「身分証をお願いしたいのですが、お持ちでないのですか?」
流石にまずいと思った俺は咄嗟に。
「す、すいません!実は身分証を持っていなくて!」
そう正直に答えると衛兵の方は少しため息をつきながら
「でしたら、早く言ってください。身分証がないのでしたらそちらの番所で少し検査を受けて仮の身分証を受け取ってください」
そう衛兵の方に言われたので番所に移動して用意されていた椅子に座りしばらく待っていると、門の前にいた人とは違う衛兵の人がやってきたその人も机を挟み反対の椅子に座り机に透明な水晶?のような物を置くと質問が開始された。
「名前と住んでる場所あと身分証を作ったことがあるかと犯罪を犯したことがあるかどうか、この4つに答えてくれ」
そう衛兵さんに言われたので俺は、苗字が珍しい世界の可能性も考えて名前だけ名乗ることにした。
「名前は斎牙と言います。住んでる場所はアバダン平原で、身分証は作ったことがなくて犯罪を犯したことはないです」
そうして質問に答え終わると衛兵さんが驚いた顔でこちらを見ていた。
「ア、アバダン平原?消失の森に1番近いあの?もしかしてずっとそこに居たのか?」
と言われたので俺は。
「はい、そうですけど」
と答える。衛兵さんは俺がそう答えると。
「そりゃあ、身分証も持ってないわけだ」
と衛兵の人はハハハと笑う。衛兵さんは先程と打って変わって柔らかい雰囲気になっていた。
「いや、だがそうかならお前さんギルドに行ったりするのも初か」
と言われたので。
「はい!王都に来るのも初なので色々楽しみにきたんですよ。まさか身分証が必要だとは思いませんでしたが」
そう話すと衛兵さんは。
「そりゃ、悪いな。でもこっちも仕事でよ。身分証持ってないやつを通すわけにもいかなくてな」
そう衛兵さんに言われたので。
「いや、仕事ならしょうがないというか身分証持ってないやつ通さないのは当たり前ですよ。俺も俺で何故すんなり通れると思ってたのか謎ですし」
そう言うと衛兵さんは少し笑い。
「ククッ、確かにな。まあでも今の質問でお前は問題ないことが分かったから、ほれこれが仮身分証だ」
と言って衛兵さんに仮身分証を渡され、こう言われる。
「その仮身分証、身分証としての効力は3日くらいしかないからとっととギルドに行って身分証発行しちまった方がいいぞ、ちなみにギルドはこの先の広場を真っ直ぐ行ったらあるぞ、あとその仮身分証は身分証を手に入れたら早めにどの城門でもいいから衛兵に渡してくれ」
そう衛兵さんに言われ番所から出されると城壁内に入ることができ衛兵さんにお礼を言って早速王都を歩き回ってみる。
「いやぁ、捕まらなくてよかった〜」
捕まらなかったことに安堵しつつ、どこを目指すかを考え始める。
「でもとりあえずは衛兵さんに言われた通り身分証は取りに行くべきだよな、となるとギルドに向かわないと行けないんだよな」
そうして次の行動を考えながらも、王都の景観を楽しもうと見渡すと、なんと表現すればいいかもわからないが、地球じゃ見ることの出来なかったであろう景色を見れて柄にもなく感動していた。
「なんと言うか城壁見た時から思ってたけど実際にこういう異世界建築物見ると圧巻だなぁ」
そう、小声で言いながら人々が行き交う道を進むと少し道がひらけて噴水がある広場のようなところに出ると、今まであった少し背が高い建物が減っていき視界が開けると王都で1番大きいであろう建物が現れる。
「これがいわゆる城ってやつか、実物見るのは初めてだけどマジでデケェな、この広場からも少し距離あるはずなのにこんなにデカく見えるのかよ」
そう言ったあと、衛兵さんに教えてもらった通り広場を出て真っ直ぐ進む、そうすると看板に冒険者ギルドと書かれた建物を見つける。こういう時、異世界物だとならず者に絡まれるとかありがちだよなと、そんなことを考えながらギルドのドアを開けギルドに入る。
そうしてギルドに入ると中にはたくさんの人がいて、俺は少しワクワクしていた、ひとまず身分証を手に入れようと俺はワクワクしつつ、受付からできてるであろう行列に並ぼうと思い受付に向かうと3箇所ある受付のうち1つが閉まっており空いてる2つの受付のうち1つに行列ができておりもう1つの受付に閑古鳥が鳴いているかの如く並んでる人がいなかった、とりあえず早く身分証を手に入れたいので空いてる受付の方に向かい受付の人に声をかける。
「すいません、ちょっといいですか?」
そう俺が声をかけると白髪の4、50代くらいだろうかその男性は新聞に落としていた目をこちらに向けこう言う。
「なんだ、ギルドの癒し受付嬢は向こうだぞ」
と行列の方の受付を指差す。まあ別にそんなこと関係ない俺はその男性に。
「いやあの俺身分証が欲しくて」
と言うと、受付の男性に。
「いやだから、向こうでやってもらわなくていいのか?」
と言われたので俺は。
「なんで?身分証欲しいだけなんだからどこの受付でも変わんなくね?」
と言うと、受付の男性は。
「アッハッハ、確かにそりゃそうだ。ギルドは娼館じゃねぇ、女に飢えてんなら娼館に行けって話だよな!まったく」
受付の男性が唐突に笑い始めて少し困惑していると。
「いや、悪い悪い、当たり前のことなんだが久々にそんなこと言われておかしくなっちまって」
ハァーと男性は一呼吸置くと。
「そんで身分証の発行だったか?ちょっと待ってろ魔道具取ってくる。っとその前にお前さん冒険者登録はするか?」
そう聞かれて俺は少し考えて。
「うん、一緒にできるならお願いしようかな」
俺がそう言うと受付の男性は。
「じゃあ、身分証発行ついでにギルドのシステムとかについても一緒に話しちまうか、そうだ忘れるとこだった、この紙に名前と年齢だけ書いといてくれ」
と言って男性は、1度魔道具を取りに行き俺が紙を書き終わると戻ってきて身分証の発行方法の説明とギルドについて説明してくれた。
「いいか、まず身分証はこの水晶みたいなのに今お前が書いた紙と血を一滴垂らしてお前さんの情報を読み込ませる。そんで身分証としては完成だ、んでお前さんは一緒に冒険者登録もするって言ったから、今度はこっちの魔道具に身分証を入れてくれ」
と言われたので身分証を入れてみる、そうして少し待ってると身分証が出てきて恐らくランクと思われるであろう表示が追加されている。
「よし、それで冒険者登録も完了だ。」
そう言われ身分証兼ギルドカードを確認するとこう表示されていた。
〜表示〜
名前 サイガ ランクE
年齢 15歳
犯罪歴 なし
そうして、カードを確認していると受付の男性に声をかけられる。
「どうだ、問題なさそうか?名前とか年齢間違ってたら今のうちに頼むぞ」
と言われたが、特に問題はなかったので。
「いや、大丈夫」
そう言うと、受付の男性がギルドのシステムについて説明してくれる。
「そんじゃあ、ギルドについてだが基本的にギルドは掲示板で依頼を取って受付で受ける依頼の受諾をして成功したら報酬を渡したり今みたいに身分証を発行したりするぐらいのことしかしない、冒険者は基本的に自己責任で依頼を受けてもらう感じになる。
そんでお前さんのカードにも表示されてたであろうランクについてだが、下から順にE、D、C、B、A、Sって順番になってる、まあE側が弱くてS側が強いって感じだ依頼にも同じようにランクが付いててEだと安全
Sだと超危険って感じだな、ちなみに、受けれる依頼のランクについてだが現在のランクの1つ上のランクの依頼までなら受けれることになってる、って感じでギルドの説明はこんなもんだが何か質問はあるか?」
俺はここまでの説明を聞いて2つほど思ったことについて質問する。
「2つ質問があって、1つは依頼に失敗した時のペナルティーみたいなものはあるのかと、もう1つはランクの飛び級などの制度は存在するのか。この2点を聞きたい」
受付の男性は、その質問に対して少し笑いながら答える
「ああ、まず1つ目の失敗した時のペナルティーだがランクがD以上になったら存在する、基本的には魔物の討伐依頼失敗時にだけだが罰金って形でな、ランクが高い依頼になればなるほど罰金額も高くなるから気をつけろよ。
そんで2つ目だが端的に言うと飛び級はできるが、飛び級をした奴は今まででも数えられるくらいしか居ないからあんま現実的じゃない、ちなみに飛び級の基準はギルドマスターが決めるから飛び級の条件なんかは分からん、でも結局地道に進むのがなんだかんだ早かったりするぞ。質問への答えはこんなもんで大丈夫か?」
ひとまず知りたいことが知れた俺は。
「一旦大丈夫かな、ありがとう。早速依頼を受けてみたいから掲示板行ってくるよ」
と言って受付を離れようとすると受付の男性が。
「おい、待て待て、どの冒険者も初依頼はギルド側で指定された依頼に行って欲しいんだ、ランクEの薬草採取、採取場所はここのまま東の城門を出てすぐにある恵みの森で取れてポーションの材料に使われる薬草だ、いつもこの薬草は不足してるから集めれば集めるだけ報酬は加算されるぞ」
なるほど、どの冒険者も初依頼はこれなのかと思いつつ集めれば集めるだけ報酬が加算されるのはいいなと思いその依頼を受け取ることにした。
「よし、その依頼受けさせてもらうわ」
俺がそう言うと受付の男性は、その依頼を受諾して俺に渡してくれた。
「じゃあ、とりあえず取れるだけ取って戻ってこいそしたら換金してやるからよ。そうだ、どうせこっち側の受付は暇で顔馴染みになるかもだから名乗っとくか、俺はカウィージャッドって言うんだカウィーでもジャッドでも構わん好きに呼んでくれよろしくな」
ジャッドにそう言われ俺も自己紹介をする。
「俺は斎牙って言うんだ、よろしくジャッド」
そう言い自己紹介をした後、俺は依頼に向かった。




