王妃キャサリン・ハワード
ヘンリー8世は、アン・オブ・クレーヴズとの結婚の頃には、ノーフォーク公の姪で、アン・ブーリンの従妹かつ侍女であったキャサリン・ハワードに心を移していた。
1540年、ヘンリー8世は前王妃アン・オブ・クレーヴズと離婚してキャサリンと再婚した。
キャサリンはアンの侍女の一人だった。
ヘンリー8世は年の離れたキャサリンを「私の薔薇」「私の棘のない薔薇」と呼んで可愛がった。
しかし、キャサリンは遠縁のトマス・カルペパーや以前に恋人であったフランシス・デレハムらと関係があったと国王の側近に訴えられた。
カトリックのキャサリンは、家臣のうちプロテスタントの者に疎まれていた。
ヘンリー8世に姦通を疑われ、逮捕された。
キャサリンとデレハムが婚約の上で関係を持っていたのであれば、ヘンリー8世との結婚は無効となり、キャサリンは無罪とされるはずであったが、キャサリンは婚約を否定し、デレハムに強姦されたと証言した。
一方でデレハムは、国王との結婚後はキャサリンと関係を持っていないと主張したが、キャサリンとカルペパーの関係を証言した。
キャサリンからカルペパーに宛てて愛を告白した手紙が証拠として発見され、従姉の元愛妾アン・ブーリンの義妹で、キャサリンの侍女となっていたジェーン・ブーリンが手引きをしていたことも明らかになった。
キャサリン本人は姦通を否定したが聞き入れられず、事実は曖昧なまま捕らえられた。
「おいっ! 妃が他の男に想いを寄せた。
まさか、それで処刑、ってことはないよな。」
「余を軽んじたことは万死に値する。」
「正気か?」
「其方は誰ぞ! 黙っておれ!」
「元々、バカ王のことなど好きでもなんでもなかったのに!
権力でお前がものにしただけだろう?」
「それの何が悪い!」
「前の王妃様も可哀想だよな。」
「黙れっ!」
「他の国に嫁がされて、直ぐに離婚!
可哀想に卒倒して……。」
「黙れ! 黙れ! 黙れっ!」
「バカ王は側近たちも処刑。
何人殺すんだ? え?」
「黙れぇ―――っ!」
「戦争で兵を殺し、側近も王妃も殺すんだ……。」
「黙れぇ―――っ!」
ヘンリー8世の頭の中の声が酷くヘンリーを罵倒した。
ヘンリーは部屋の中で剣を振り回した。
振り回したつもりだった。
だが、ベッドの中だった。
汗びっしょりでシーツも汗で濡れていた。
悪夢を見たくない一心でヘンリー8世は、王妃キャサリン・ハワードの処刑は見送った。
この件に関する者たちを一人も処刑しなかった。
それぞれ別の場所に幽閉したのだ。
幽閉の前にヘンリー8世は、王妃キャサリン・ハワードと離婚した。
結婚は愛が二人を結び、離婚は愛がなくなれば二人は別れることとしたヘンリー8世の宗教改革がこの時活きた。
キャサリン・ハワードはキンボルトン城に幽閉され、そのままキンボルトン城で人生を終えた。
離婚後、余り時を経ずに病死したキャサリン・ハワードの死を、「処刑されたのだ」と噂する者が居た。
キャサリン・ハワードは、その死に際して「私は国王の王妃になりたくなかった。トマス・カルペパーの妻として死にたかった。」と言ったと噂された。
史実は、デレハム、カルペパー、キャサリン、手引きをした侍女のジェーン・ブーリンは、1542年および1543年に処刑された。(Wikipediaより引用)




