俺は三田清史郎
さぁ、今度のお話は日本ではありません。
どこでしょう。
お楽しみ頂ければ幸いです。
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目が覚めると見慣れぬ部屋だった。
⦅ここは、どこだ?
なんか豪華だな……俺の家じゃない……。
どこなんだ? ⦆
「どこなんだぁ―――っ!」
「殿下っ! 如何なされましたか?」
「へっ? 殿下? 殿下って?」
「殿下……何を仰せで……?」
「否、だからぁ……⦅目上の方に失礼な言葉使いだったな。⦆
あの、申し訳ございませんが、殿下って何方の事ですか?」
「殿下っ! 殿下のことでございます。」
「へっ? あの……それは、もしや私のことですか?」
「殿下……嘆かわしいことを仰せになられて……。」
⦅あれっ? この人、髪は白いけど……顔はアングロサクソンだよな。⦆
「あの……貴方はイギリスの方ですか?」
「殿下! 私をお忘れで?」
「あぁ……泣かないで下さい。失礼なことを申したようで……
申し訳ございません。」
「殿下がお謝りになられるなどと……。
殿下! 直ぐに医師を呼びます。
お待ちください。」
「あ……あのぅ………行っちゃったなぁ……。
イギリス人みたいだなぁ……ってことは……
ここはイギリス………イギリスぅ~………。
なんで? なんで俺、イギリスに居るんだ?
会社は? あれっ? 出社したよな、したはずだ……ぞ?
どうなってるんだ?
………あれっ? 言葉……通じてたよな。
俺、日本語しか話せないぞ。
どうなってるんだぁ―――っ!」
老人が部屋から出て行った。
訳が分からないうちに、その日は終わった。
分かったことは、俺がイングランドの王子でアーサーという兄が居て、両親がヘンリー7世とエリザベス王妃の次男だということだった。
名前はヘンリー。
⦅なんで、勉強が全く出来ない俺がイングランドに転生したんだよ!
それに、俺……子どもじゃん。
……ご両親は……心配されてたな。
……あのアーサーとかいうお兄さんも……。
自分が病弱だから、弟だけは……って言ってたな。
……本物は何処へ行っちまったんだよ……俺が代わりにはなれないじゃん。
………俺は……俺は、なんでここへ来たんだ?
俺にも家族が居るのに!
家族が……妻が居るのに……高齢の親だって……。
菫……こんなことになっちまって……ごめん。
父さん、母さん……傍に居れなくて……ごめん。
親不孝だよな……ごめんなさい。
………………戻りたい………戻りたい!⦆
「戻りたい! 戻りたいんだ! 俺を戻してくれぇ―――っ!」
涙が溢れて止まらなくなった。
急に大声で泣き出したヘンリー王子を案じて、大人たちがやって来た。
その中には乳母も教育係も居たそうだ………後になって知った。
泣くと大騒ぎになった。
何といっても「全く自分が誰なのかを忘れてしまった王子」だからだ。
⦅俺は……俺、三田清史郎は必ず戻る!
だから、待っててくれ。父さん、母さん……菫、待っててくれ。
それまでは、こっちの家族を悲しませないよ。⦆
そう心に決めた。




