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修羅を与える方

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

役割が変わっただけですよ。

一番抵抗がない方に廻っただけですよ。

「今日はとっても良い日だったけれど、明日からはきっと修羅場だよ」

遠くに行って帰ってきた彼女はそう言って、静かに笑った。覚悟を決めた目だった。そして宣言通り、彼女は延々とデスクにへばり着く事になった。


「なんで分かったんだ? 明日から修羅場になるって」

「遠くに行ったから」

何時よりも数時間遅く帰ってきた彼女は、俺が出したココアをちみちみやりながら、薄ぼんやりとそう返した。

昔ながらの不思議ちゃん。時折、情人には分からない思考回路で物を話す。まるで現世と幽世の両方を見据えたかのように。

「前までは違かったの。敷居を跨いだら、私を殺す場所がそれを担っていたの。嫌いだからきっと天職だと思うんだ。でも行かなくなっちゃったから、今は遠くの神様が担っているの。その場所に訪れると、必ず試練が待っている」

「……その場所に行かなければ良いとは……ならないのか」

「そしたら別の神様が私に試練を与えるよ」

そう言って、彼女はくてんと首を曲げた。残業終わりのせいか、少し疲れた顔だった。


私が遠くにいた時に、それはもうお世話になった神様がいらっしゃる。精神的に病んで、鬱になるのを踏みとどまれたのは、その神様のお陰だった。

その神様は優しいけれど、逃げる事をお許しになることは無かった。どんなに苦しくても、歩みを止められる事はなかった。絶対許しては下さらなかった。

「あのね、どんなに嫌な事から逃げようと思っても、人間は逃げられないの。例え逃げても、絶対に他の誰かが試練を与えるの。でもね、ずっと修羅場なだけじゃないんだよ」

私が苦しくて泣きそうな時に飴を与える神様は、試練を与える神様に変貌した。もし仮にわたしがその神様から逃れても、きっと別の懇意にして下さる方が試練を与えるだろう。

「苦しいだけの人生も、楽しいだけの人生も、ないの。必ず何処かで困難に当たって、其れを乗り越えて幸せが待ってるの。だからもう、逃げないよ。……逃げませんよ」

最後に零れた言葉は、きっとその神様に向けてだと思う。優しいけれど、厳しい方だった。助言を多くなさったけれど、その辛さから逃げる事はお許しにならなかった。

それはまるで、試練のない人生はなんの成長もないと仰るように。

皆様もよく知る場所の敷居を跨ぐと、死にかけるんです。人とも、場所とも、物とも相性が悪いので、行かなくなりました。

そしたら今までご利益特盛に渡して下さる場所が、試練を与える場所に変化しました。


気質的に物凄い理性的。

可愛がってるからって、甘やかす事は絶対しない。

どんなに辛くても、逃げる事も死ぬ事も許さない。

そんな方な気がするので、まぁ、適任かなと。


試練を乗り越えないと、君はずっと甘ちゃんのまま。そんなのは僕の好きな人間じゃない。

そんな事を遠くで仰られてる気がします。


だからもう少し立ち向かいます。

それでも駄目なら、ちょっと考えます。

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