圧倒
「今、どんな状況だ?」
ゴードは操縦士に冷静な態度で訊く。
「銃弾が不足しています‥‥!このままだと‥‥」
操縦士は汗だくで険しい表情を浮かべる。
「そうか、なら俺が殺してくる。安全に着陸しておけ」
「はいっ」
ゴードは槍を手から生成し、戦闘態勢を整える。
一方のウェポンだが、攻撃する手をやめることはなくヘリコプターに何度も突進する。
そのため機内は揺れに揺れて、立つことすら困難な状況に陥っていた。
「高度を下げます‥‥!残り百五十メートル‥‥百二十メートル‥‥」
ゆっくりと飛行高度を下げ始めるヘリコプターは攻撃を躱すことが困難になってくる。
「仕方ない‥‥俺はここで降りる。邪魔にならないところで着陸しろ」
ゴードはヘリコプターの小さな窓から飛び降り、ウェポンに槍を投擲する。
投擲した槍はウェポンの目に刺さり、よろめく。
「雑魚がっ」
よろめいた隙を狙い、ゴードは槍を生み出し、ウェポンに切りかかる。
「‥‥ハッ!」
勢いよく振り下ろされる槍はウェポンの羽を切断する。
しかし、切断したはいいものの槍の刃こぼれは酷かった。
「斬撃一発でこれか‥‥まあいい‥」
ゴードは刃こぼれした槍を放り投げて、新しい槍を生成する。
「さぁ、飛べなくなったらあとは核を狙えば終わりだな」
ゴードは極限の極限まで集中し、槍に異能の火を纏わせる。
すべてがそろった瞬間、足に貯めたエネルギーが爆発した時の地面がえぐられる音とともに核が破壊される音が重なる。
ゴードが目を開ければ、ウェポンの体は真っ二つに切られ、即死している。
「‥‥よし、帰るか‥‥」
ゴードはウェポンを一蹴した後、槍を消す。
「今終わったぞ?嫁!」
ゴードはヘリコプターに搭乗し、私に得意げに言う。
私はそんなゴードの得意げな顔については意味が分からなかった。
「別に‥‥私でも‥‥やれた‥‥すごくない‥‥」
「そんな体で何ができる?」
「いや‥‥これは‥‥服が‥‥ずたずたに‥なっているだけ‥‥」
私の服は見るもみすぼらしい程に破れていた。
右肩はむき出し、流血の痕が見えていて、ズボンは太ももやふくらはぎの素肌がちょくちょく見える程度に。
「ふはははは!肩の流血の痕はなんだ?それと腹部は赤く染まっているが?」
「‥‥‥‥痛くない」
私は左手で肩を隠すように押さえる。
「痛くなくても、完治までとは言わないが、戦闘は控えろ。嫁」
「で、でも‥‥」
「‥‥‥それともう戦闘は終わった。この話は終わりだ」
「‥‥‥」
私は何も言わず窓のほうを向いた。
「‥‥‥もうこれ以上、気を遣わないで‥‥」
私はそれだけ言って後は本部につくまで何も言わなかった。