第3話 初めての任務
あれから二日後、また月光浴に向かった。
「アール。お待たせ!」
「では、今宵もお願いします」
いつもの儀式をする。
「月光の力・・・・・・」
22回唱え終わる。
「明日は仕事休みだからマタタビ王国に行けるよ!」
「では、参りましょうか。 聖なる月よ、我らに道を開たまえ! 」
また光に包まれる。思わず目を閉じてしまう程の光だ。
ワイワイガヤガヤ・・・・・・
そっと俺は目を開けた。そこに広がる風景は、やはり城下町。マタタビ王国だった。
「俺、この世界好きだな〜」
「ですが、貴方様は、人間界を護らなくてはなりません」
確かにそうであった。怨念達が人間を襲っているということで、俺が『化け猫戦士』となって戦わなくてはならないのだった。
「ベルトの方は完成したとおじ様から聞いてます。 鍛冶屋に向かいましょう」
「オッケー」
人通りの少ない裏通りを歩き鍛冶屋へ向かう。
コンコンコン
「おー!『化け猫』様、お待ちしておりましたぞ!」
「早速なんですが、ベルト見せて貰えますか?」
後ろの棚から取り出した。
「こちらでございます!」
「おー! 思った通りの良い感じです!ありがとうございます!」
「喜んで頂けて光栄です」
「ところでフォレスト様、結局なぜ二つとも右側に?」
俺はベルトを着けて話した。
「氷の短剣を上側、氷の剣を下側にする。 で、敵が剣で攻撃して来たとする、氷の短剣を右手で逆手に持って攻撃を受ける、敵を自分の間合いにもってきて、左手で氷の剣を抜く!そしたら、ほぼ確実に攻撃が当たると思ってさ!」
「なるほど!」
「アールにも、ちょっとした物を作ったぞ」
おじさん猫はなにやらパーティーカラーの色をしたグローブ?であろうか、取り出した。
「これは癒しのグローブにゃ!」
「これを、私にですか?」
「これから『化け猫』様と戦うのなら、回復も必要じゃにゃいか!にゃははは!」
「おじ様、ありがとうございます!」
アールは嬉しそうに言った。
「それじゃ、俺たちは城に行きます!ありがとうございました!」
「お気をつけくださいませ」
俺とアールは鍛冶屋を後にした。
お城に着く。
「フォレスト様、今日は広場に向かいます」
「なんで?」
「どういった技を使えるかを試さなくてはなりません」
確かに、属性が氷と分かっただけで、どーやって使うのとかはサッパリ分からない。
広場に着いた。
「どーやって技を出すの?」
「イメージです。 どういう形のものにしたいのかを強く思ってください。」
俺は目を閉じて考えた。
「氷の盾!」
出来た!ちゃんと思ったところに思った大きさ、思った形で出す事が出来た。
「フォレスト様、流石でございます!」
これは、凄く良い。両手で剣を持ってたとしてもシールドを好きな所に出せる。もう一つイメージした。
「氷の壁!」
氷山のような氷の壁ができた。どうやらイメージ次第でどうにでもなるらしい。
「フォレスト様、あとは、戦いの中で新たな技など発見して行きましょう!」
「オッケー!」
「それでは参ります。 人間界へ!」
「怨念の位置とか分かるの?」
「はい。すぐに向かいましょう!」
「分かった。」
「聖なる月よ、我らに帰る道を開たまえ!」
パーーーッ!
「あれ、ここ、さっきの神社じゃない!」
「怨念が暴れるすぐ近くの神社でございます」
すると、どこからが悲鳴が聞こえた。
「うわー! 誰か助けてくれ!!」
明らかに男性の声だった。 声のした方に急いで向かった。すると、そこには襲われている男性と、妖怪の様なオーラを放つ人が斧のようなものを持っていた。
「死ね!」斧を振りかざした!
「氷の盾!」
カーンッ! 危機一髪だった。男性は気絶している。すると、妖怪の様なオーラを放つ人が言った。
「なぜ邪魔をする?」
「なぜ人間を襲う!」
すると、妖怪の様なオーラを放つ人は怒りと哀しみに溢れた表情で言った。
「俺はコイツにペットとして飼われた猫だった。 だが、コイツはいつものように俺を投げたり蹴ったりして、ご飯もろくに与えてくれなかった!そして俺はコイツを憎く思いながら死んだ。」
なんという話しだ。悲惨すぎると俺が思った。
「アール、俺が倒さないといけないのはこういう想いで死んでいった猫たちなのか?」
アールは涙目になりながら答えた。
「はい。 左様でございます...」
なんて残酷な話しだ。それは、悪いのは人間じゃないか!そんな人間を助ける価値なんてあるのか。と俺は物凄く思った。
すると、妖怪の様なオーラを放つ人が言った。
「俺は死にあるお方に出会った。そして、復讐のため、怨念となり人間の姿となってコイツを殺しに戻って来た」
「それでも、殺すなんてのは見過ごせない!」
「貴様、猫の格好をしているが人間だな? 噂に聞く『化け猫』か?」
「そうだよ、俺は『化け猫』だ!」
「邪魔する奴は猫だろうとなんだろうと殺す!」
物凄い殺気だ。そして、勢いよく突っ込んで来た!
斧を振りかざしなが言った。
「死ねー!」
「氷の短剣!」
キンッ!
上手く相手の斧を止めた。そして、すかさず左手で剣を抜く。
「氷の剣!」
ザクッ
「グハッ!」
血が飛び出した。
「ウッ、人間に二度も殺されるとは...」
パタッとそのまま倒れた。アールが駆け寄って行った。 なにやら怨念に手をかざす。
「聖なる光!」
アールが続けて言う。
「怒りと憎しみを捨て、ゆっくり眠りなさい。」
ふわふわとした、あたたかい光が怨念を包み込んでいる。
「俺は、まだ...」
怨念は最期にその言葉を残して消えて言った。
意識を失っている男性に俺は物凄い怒りと哀しみの感情が心の底から湧き上がってくる。
「なんてことを..........」
俺はとても哀しかった。
「フォレスト様、あの怨念は浄化致しました。 近いうちにマタタビ王国の住人として、生まれ変わるでしょう」
「そっか、辛かっただろうな.....」
「とはいえ、フォレスト様、早速怨念を1人倒したじゃないですか!流石です!」
アールは喜んでくれている。
「これが謎の事件の正体?」
「左様でございます。怨念は、前の飼い主に殺された猫たちなのです」
つまり、怨念の数が多ければ多い程、人間がせっかく飼った猫を殺しているということになる。人間に対する怒りが湧いてくる。
「ねぇアール、君や戦士達は、人間を怨んだりしてないの?」
悲しげな表情でアールは応えてくれた。
「私や、戦士の皆さんは、人間に物凄い愛情で、家族のように育ててくれた方々なので、人間に対する怨みなどはありません。 ただ、同じ猫としては、哀しいです」
「ごめん.......」
「なぜフォレスト様が謝るのですか? 私達はフォレスト様に感謝しています」
「・・・・・・ありがとう」
「では、フォレスト様、次の現場に急ぎましょう」
「どーしたら場所が分かるの?」
「今、フォレスト様は獣人猫の姿です。 猫の聴覚は、人間の3倍です。 それですぐに場所は分かります」
俺は目を閉じて、色々な音を聞き分ける。すると、誰かが何かに追われている足音が聞こえてきた。
「アール、行こう!」
「はい!」
距離としては500メートルはあるだろう。普通に人間の状態だとかなりしんどいが、『化け猫』の姿だと、屋根の上を走れたりジャンプ力がとても上がっていたりと、すぐに現場に辿り着いた。 ナイフを持った怨念と、鉄の棒を持った怨念。
「怨念が2体もいる......」
「2匹も殺されてしまったのですね.....」
フォレストが泣いている。
あまり人間を助けたくないが、助けなくてはならない。可哀想なのは殺された猫達の方だというのに...。
「おい人間!よくも俺たちを殺してくれたな!」
「絶対に許さない・・・・・・・・・」
男性が腰を抜かして倒れた。そして、こう言った。
「誰なんだ、君たちは!俺が何したって言うんだ!! 俺は誰も殺してなんかない!」
「自覚症状なしか。 なら、死ね!」
鉄の棒を持った怨念が殴りかかる。
「氷の盾!」
カーンッ!
男性は気を失っている。
「誰だ!!」
鉄の棒を持った怨念が言った。
「俺はフォレストだ!」
「『化け猫』か!」
ナイフを持った怨念がこちらに気づいた。
「邪魔をするな!俺たちはこの人間に俺はこの棒で殴られ、コイツはナイフで刺されて殺されたんだ!」
なんて酷い殺し方だ。この2匹に罪はない。
「だから、そこをどけ!」
ナイフを持った怨念がこちらに突っ込んで来る!
半身を切ってナイフを交わす!
「ヨッ!」
「くらえ!」
鉄の棒を持った怨念が後頭部目掛けて殴りかかってくる。
「氷の短剣!」
キーンッ!
俺はまた、右手で逆手持ちをして短剣を抜いた。すると、ナイフを持った怨念が言った。
「は、刃物!!」
凄く動揺している。どうやら自分以外で刃物を持っている人を見ると恐怖感が湧いてくるのだろう。
「ハアっ!」
俺は鉄の棒を持った怨念の棒を手から飛ばした。そして俺も氷の短剣をしまった。
「フォレスト様、なぜしまうのですか?」
「アール、この怨念達にブレードは使わない! これ以上、物で傷つけたくない!」
「では、どうするつもりですか?」
一か八かで試してみる。 イメージだ!そして、俺は思いついた!両手を前にする。
「大吹雪!!」
俺の手からトルネード状の吹雪が出た。
「うわー!」 「くそー!」
2つの怨念を吹き飛ばした。
「アール!!」
「聖なる光!!」
俺の吹雪をアールの光が包み込む。
「あたた、かい」 「ファー」
そして、怨念達は消えていった。
「ふぅー、だる〜」
「フォレスト様、お疲れ様です。 今夜はこれ以上、怨念は動いてないみたいですね」
「1晩で怨念3匹か〜」
「今宵はここまでにしましょう!」
「そーだね」
「聖なる月よ我らに道を開たまえ!」
〜〜〜〜パーーーーーー!〜〜〜〜
城下町、マタタビ王国に着いた。
「それでは、戦士の方々に報告に参りましょう」
「炎魔さんとアンさんね!」
広場に向かうと2人ともいた。
「炎魔様、アン様!」
「アール、フォレストじゃにゃいか!」
「あら、2人とも何か良い事でもあったの?」
「はい、フォレスト様が先程、怨念3体を倒されました!」
「アールが、浄化してくれなかったらダメだったけど...」
すると、アンさんが言った。
「浄化は私達、純粋な猫じゃにゃきゃ出来ないからね!」
どうやら、『化け猫』は、あくまで戦うだけで、浄化はこの戦士達か、アールにしかできないのだと知った。
炎魔さんが言った。
「それにしてもフォレスト、凄いじゃにゃいか! 初仕事で怨念3体は大したものだ!」
「ありがとうございます!」
「フォレスト様、今日はもうお休みになりましょう。 城内に、お部屋を御用意致しております」
「炎魔さん、アンさん、失礼します」
俺とアールは2人にお辞儀をして部屋に向かった。
「こちらが私とフォレスト様のお部屋でございます」
中に入ると鏡やら棚やら、なんとも高そうなベッドまである。だが、ベッドは1つしかない。俺は質問した。
「ねぇアール、ベッド1つしかないけど、2人で寝るの?」
アールは少し残念そうな目をして言った。
「左様でございます。 嫌、でしたか?」
「いやいやいやいや、そんな事はない!」
「良かった〜。 それでは寝ましょう」
「お、お休み」
こうして、初めて人間を護り、怨念を浄化することができた。
「フォレスト様、明日も任務頑張りましょう!」
「えっ!」
どうやら、自分自身に休みは無いようだ。今のうちに寝よう。
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