だいぶはしょられた異世界転生してからと旅立ち。
こんにちは!俺の名前はアレン!実は異世界転生を果たしてこの世界に来た転生者!前世の名前なんてもう意味がないから言わないでいいよね!
ここに来る前、神様に、
「異世界転生してくださーい!もちろん記憶引き継ぎありの転生特典付きでーす!あ、でも、選べるポイント制なんでー!」
なんて言われた。
「なんで俺なんですか?というかなんで異世界転生なんかさせてるんですか?」
「特に理由はありませーん!強いて言うならテキトーに呼び寄せたらあなたが来ただけでーす!あと、上からの命令でノルマが課せられてるんでーす!死ね!」
「そうですか大変ですね。じゃあもしかして特に何かしろってわけじゃないんですか?」
「そうなりまーす。あなた転生しただけの特段特別な存在ってわけじゃありませーん。」
「なんかそれ聞いてホッとしたような気もしますよ。じゃあ早速ポイント制の特典選びを…。」
貰えるものはなんでももらう。ずるいとか言われてもまあ否定はできない気もするけど。
「こちらになりまーす!」
その言葉の後に何かモニターっぽいインターフェースが目の前に表示され、何か書かれている。
Status bonus point 50
STR:5
VIT:5
INT:5
RES:5
DEX:5
AGI:5
LUC:5
SKILL
それを見て思った。
「MMORPGかなんかですか!?」
「知ってる人はみんなそう言いまーす。この方式の理由はぶっちゃけその方がいちいちこっちがやらなくてすむからでーす。文句も言われないし。じゃあ私次の転生者に説明してくるから終わったらそのボタン押して呼んでくださーい。」
といって何処かへ行ってしまった。
一人残された俺は取り敢えずモニターを改めて見てステータス振りを決めることにする。
「MMORPG式ならとりあえず万能よりも役割分担制の特化型がいいよな…。」
取り敢えずスキルの方も見てみると、色々と分類で分けられている。そのうちのおススメを見てみると、インターフェース持ち込みなどのスキルがあった。ひとまずそれらを取得すると今度はレベル制のスキルを習得。
しばらく悩んだ後、とったスキルは、マップ探査、エネミー探知、トラップ探知&解除、解錠、気配遮断などのシーフ系スキルと錬金術スキル、アイテム鑑定、ポーションピッチャー、などのアイテム関係スキルを取得。
そして残ったポイントでAGI、DEXを重点的に、次にINT、LUCに割り振って残りをSTRに。
そう、俺はシーフポジションのステータス割り振りをしたのである。
モンスターは倒せなくても、ソロでも生き残りやすい感じにしておいたのだ。これならもしパーティが組めないぼっち状態でもまだマシだろう。
ステ振りを終えると終了ボタンを押す。するとさっきの神様が出てきて
「ステータス振りは終わりましたかー?じゃあ早速冒険の世界へ、レッツゴー!あ、あと言い忘れてましたが、スキルはあくまでも素養とかの類であって、別になくてもきちんと学習すれば魔法とかも使えまーす。頑張ってね。」
そういうといきなり現れた大きな扉が開いた。その扉をくぐるとそこは既に異世界。俺は流されるままに新たな人生をまた歩み始めたのである。
〜最初の街、ダンジョンシティ・フリークス〜
最初に見た光景はまさしく異世界という雰囲気だった。
獣人的な人に、エルフっぽい人にやたらとカラフルな髪の色をした人々。
しばらくその場で辺りを見回しているといきなり頭の上に何かが落ちてきた。どうやら袋のようだった。中を見てみると、通貨っぽいものや本が入っていた。といってもパンフレットみたいなものだが。
『必読!わくわく!異世界ガイド!』
というタイトルだ。どうやら神様から送られたものらしい。中を見てみると、通貨のことなどの、この世界での一般常識的なものが書かれていた。それと俺が取得したスキルのうち、インターフェースの使い方も書いてある。
なんともサービスのいい話だ。インターフェースを開いて地図を開く。マップ探査のスキルと連動してマップを表示してくれるという仕様だ。
「しっかし、なんっていうか異世界転生っていうよりデスゲームVRMMORPGやってる気分になってくるなこれ…。」
思わずそんなことをこぼすレベルの便利さである。
地図の通りに、まずは古着屋に服を買いに行った。現代の服のままだったのでクソ目立っていたのだ。
ちなみに現代の服はとってある。着心地いいし、寝間着程度ならそこまで目立たないだろうし。
次にテンプレートな冒険者ギルドへと向かう。
「どうもいらっしゃいませ冒険者ギルドへ。登録ですね。それでしたらステータスチェックとカード作成をしますのでどうぞこちらへ。」
さっくりと何事もなく登録をすませると、早速冒険に…とはいかず、二階にあるという図書館へと足を運ぶ。アイテム系の知識とか、モンスターの知識を得るためだ。受付の人が教えてくれた。
持ち出し厳禁だが誰でも利用できるらしい。魔法による厳しい管理でセキュリティはバッチリだそうだ。
しばらくはここと、ギルドにある教習所に通いながら日銭稼ぎ程度のアルバイト的なクエストを受けつつ過ごすことにする。
そして一ヶ月後、基本装備程度を購入して、街にあるダンジョン…ではなく、街の外、ひとりでもある程度は安全なところで、モンスターの観察と討伐、それと図書館で得た知識を使い、鑑定のスキルを磨くために採取を繰り返していた。
スキル磨きは裏切らない、と思いたい。神様もいっていた通り、素養は素養。努力して磨かなければならない。
「えーと、これが傷を癒す薬草で、これが麻酔効果のある薬草、こっちがどぎつい毒草と…。」
「ここに落とし穴を仕掛けて獲物を誘い込む…。よしっ、うさぎがかかった。今日の飯はウサギ料理だな。」
錬金スキルには料理も含まれている。これも修行のうちだ。
また別の日には討伐を請け負う。
「トウテキ!トウテキ!トウテキは投げた数がものをいう!一心不乱のトウテキ!そこのゴブリンに向かって!イヤー!」
「グギャー!?」
「イヤー!」
「グギャー!?」
毒投げナイフはゴブリンの眉間に突き刺さりアワレ!ゴブリンは死亡!ショッギョッムッジョ!
倒した後は解体。といってもゴブリンは肉もまずく、素材としては不人気なので、取り敢えず倒した証拠として耳を切り取って袋に入れてあとでギルドに提出。
換金してもらう。
街の外で採取した薬草は納品の他にも、自分で購入した器具を使って独学で錬金してポーション的な薬品を作成する。これも数をこなして修行あるのみだ。
失敗作はちょっとした怪我に使って瓶を使いまわし、成功作は格安で販売して資金の足しに。
ちなみに、これ全部、基本的なやつはインターフェースくんのガイドラインの補助の通りにやっていきながら修得した。素養があっても、教えてくれる人がいない。独学で修得するのにも限界がある。特に基礎中の基礎なんてものは一番大事なものだ。独学で身に付けるようなものじゃない。
だからまずはサービスでインターフェースが教えてくれるとインターフェースを通してメッセージが送られてきた。
本当にサービスがいいっすね。
そんなこんなで一年はこの修行の毎日で、基本的にずっと一人で頑張っていた。
そして、ある程度気配のコントロールや投擲術、錬金術などのスキルの基本をを身につけたと感じた時点でいよいよパーティを組んでダンジョンの探索をしようと決めた。
「固定パーティを組んでダンジョンを探索したいんですか…。申し訳ありません、ただ今希望者ゼロの状態でして…。」
がーんだな、出鼻をくじかれた。いいもんいいもん!こうなったらソロで頑張るもん!
それに今日は組めなくても別の日にパーティを組めればいいもん!
ギルドを出るとダンジョンへとソロで潜る。
マッピングをしながら、敵が一体だけの時を狙ってトラップや毒や麻痺などのデバフを駆使して弱らせた隙に仕留めていく。
しばらくすると、毒投げナイフや麻痺薬が3分の1にまで減った上、少し疲れも感じてきたので戻ることにする。
その道中、同じくソロで戦っている少年がゴブリンと戦っているのを見かけた。
ただし、三体に対して一人というとても不利な状況だ。
見たところレザーアーマーにショートソードという軽装のオーソドックスな装備をしている。俺と同じ駆け出し冒険者といったところか。
一体が盾を持って攻撃を防ぎ、もう二体が石を投げて攻撃というかなり嫌な戦法をとっている。
少年は避けたりしてかなり疲れがたまっているし、少なくない怪我も負っている。
その様子を見て一斉に襲いかかろうとゴブリン達も距離を詰めている。このままじゃやられるかもしれないし、目の前で死なれても目覚めが悪いので助けに入ることにしよう。
まずはナイフを後ろのゴブリンどもの首にシュゥーー!
「「グギャア!?」」「え!?」「ギャギャ!?」
超!エキサイティン!
いきなり味方がやられて動揺している盾役ゴブリン。
しかし、少年も動揺している。声をかける。
「今がチャンスだよ!さっさと倒しちまいなー!」
「あ、うん!」
その言葉で正気に戻った少年は剣を構え直してゴブリンに斬りかかる。ゴブリンは盾でとっさに防ぐものの盾ごと切られ脳天に剣がめり込んで即死した。
ほう、盾ごとですか、なかなかやるものですね。
周囲に敵はいない。どうやら終わったようなので声をかける。
「やあ、無事か?」
「ああ!ありがとう!君がいなかったらやられてたかも。」
近くで見るとなかなか中性的な美少年であることだなあ。
そんな感想を抱きながら、
「どういたしまして。何故ソロで潜ったんだい?」」
「実はパーティーを組んでくれる人がいなくて…。ギルドの方でもさっきまでいたけど一人でさっさとダンジョンに行ってしまって今はいないって言われたし…。」
「なんだ。実は俺も同じなんだ。というかそれは多分俺だな。ここであったのも何かの縁、俺とパーティーを組まないかい?」
隙あらば勧誘。出会い頭に助けて『やだ、頼もしい…この人とパーティーを組もう…いいえ、組ませてもらおう!』という吊り橋効果を狙った巧妙な作戦だ。
「え?!いいの!こちらからお願いしたいくらいだよ!」
計画通り。偶然だがうまく事が運んだようだ。
「決まりだな。ただまあ、ひとまず戻ろうや。君も疲れてるだろ?俺もこれから戻るところだったし。」
「そうだね。そうするよ。」
「じゃあついてきてくれ。出口まで敵のいないルートを通っていくよ。」
道中、一体の敵とも戦わずに出ると、
「本当に敵に出会わずに済んだ…。すごい!」
「ま、修行したからね。…そういえば君の名前を聞いていなかった。俺はアレン。君の名前は?」
「僕はユウ。よろしく、アレン!」
これが俺とユウの出会いだった。
パーティーを組んで2年が過ぎた。この世界に来て三年ということだ。
俺とユウはまだパーティーを組んで冒険している。新たに人員を入れることも考えたが、なかなか機会が訪れず、今だに二人旅だ。
それでも問題はなかった。何せユウは無茶苦茶強くなっていった。剣も魔法も使いこなすのだから。
攻撃面で不足している事がなかった。
俺とユウは一応固定パーティーではあるが、ほかのパーティーに応援としてお呼ばれする事があって、そこでの活躍により名声はさらに高まっていく。
ユウは『万夫不当の魔剣士』という二つ名がつき、俺は…。
「サンキュー!ポッピー!助かったぜ!」
「マジックポーションありがとう!ポッピー!ファイアストーム!」
「ポッピーさん!ありがとうございました!ポッピーさんがいなければ死んでたかもしれません!」
「こないだは新人研修に付き合ってくれてありがとう、ポッピー。君の担当した研修は大変評判がいい。これからもよろしく頼むよ。」
「ポッピー!」「ポッピー!」「ポッピー!」
「ダンジョントラベルガイド・サポーターのポッピー」が俺の二つ名である。いや長いわ。
ちなみにポッピーというのはポーションピッチャーの略である。
錬金術で作ったふりかけるだけで効果のある様々なポーションを敵に味方に正確に投げつけて回復、バフ、デバフを掛けることを繰り返していたらいつのまにかそう呼ばれるようになっていた。
今ではユウを除いて俺の本名のアレンで呼ぶ奴が誰もいない。
なんでさ!
「いいじゃん、僕は好きだよ、ポッピー。」
「そういう問題ではなくてだな…。」
2年で更に美青年っぽさを増したユウとギルドでそんな話をする。
「うーん、このケーキ美味しい!更に腕を上げたね、アレン。」
「そりゃどうも。」
今日はユウと俺がパーティーを組んで2年のお祝いに休みにしてただギルドに併設された食堂でダベっているだけだ。厨房の設備を借りてスイーツを作り、紅茶を入れて優雅なティータイムを楽しんでいた。
すると唐突になんか装飾の入った場違いな服装の人が入ってきた。そして、
「ユウ・サカザキという冒険者はいるか!」
とよく通る大声でそう告げた。すると隣に座っていたユウが立ち上がり
「僕がユウ・サカザキです。」
と言った。突然の展開についていけない俺。
「今まで黙っててごめん。実は僕、大昔にこの世界を救った勇者の末裔なんだ。それでこの街に修行に来てた。
…いつかこの日が来ると思っていたけど、それが今日だなんてね。
ごめんね、僕、復活した魔王を倒しに行かないといけない。だから、ここでお別れだ。」
そう言って貴族っぽい人についていこうとするユウ。
「ちょっ、ちょっと待てよ!だったら俺も冒険についていく!」
「それはならない。大昔の勇者が定めた法でな、勇者のパーティは四人と決まっているのだ。最初の勇者のパーティが五人の時、魔王と戦った際に勇者の恋人がが犠牲となり四人となって帰ってきたことからそう決められたのだ。」
なにそれモンハン?モンハンなの?それよりもその説明なら…。
「その口ぶりだともしかしてもう三人決まってるってことですか?」
「そうだ。若手ながら王国騎士団最強の男、ブルーノ、王立魔法学院首席卒業の魔女、アリシア、そして聖女、ミカエラ。この三人が同行する。よって貴様の出る幕はない。」
そっかー。まあそんな大層な称号を持った人たちがいるなら直接戦闘はクソ雑魚ナメクジな俺の出る幕はないかなー。
それに国が選出してるから無理に入ろうとしても色々と不都合も出るし変えられないだろうしメンバーに入るのは諦めるしかないかー。
貴族の人についていくユウを見送ることしかできない俺。
だがその目は何かを決意したような目だったと一部始終を見ていたものは言った。
そしてユウの出発の日。盛大な儀式の後、大勢の見物客から声援を送られながら城門を潜り、街道を進んでいく四人。
そして、誰も気づいていないが、その後をついてくる影があった…。
同じ頃、冒険者ギルドのパーティ募集の張り紙にとある紙が貼られていた。
『旅に出ます。探さないでください。アレン』
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ユウは基本的に動物の狩りとか採取とかしたことないとか言ってたし俺に任せてあまり覚えようともしないし
不安しかないですぞw
もしかしたら騎士の人や魔法使いの子や聖女の人ができるかもしれないけどそれだって未知数で不安ナリw
第一馬車も無しに長旅とかありえないwなんで全員徒歩なのかw
幸い、この街道の先にある二つの分かれ道の片方には馬で有名な街、ホースランドがある。彼らの進行方向とは別の道だが、なんとかホースランドへ進むようにしつつ先回りして貯蓄から金を下ろして馬車を調達するのがベストだろう。
そう判断した俺は取り敢えずホースランドへと進む…前に、事前に把握しておいたユウたちの食料の量と進行スピードから計算して野営をするであろうところのちょっと前の場所に宝箱を置いて、その中に食料を入れて、ユウに餞別として送った、ダンジョンの鍵のうち簡単なものだけを開けられる魔法の鍵でのみ開けられる類の鍵を宝箱にかけて今度こそホースランドに先回りするのだった…。
俺の冒険はこれからだ!