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月立淳水の科学カタログ  作者: 月立淳水
2.基礎科学
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相対性理論

 相対性理論と言うのはアインシュタインが提唱した光の速度が云々。

 とかいう話は後回し。

 そもそも、相対性理論の「相対性」って、何のことでしょうか。

 「対称性」になんとなく字面が似ていることから、対称性や保存則に何か関係がありそうな気がします。

 もともと、相対性と言うのは、物理学における原理原則だと思われていました。

 つまり、Aさんから見たCと、Bさんから見たCは、お互いに同じ法則に従ってるように見えるよね、と。

 もっと言うと、Aさんから見たBさんとBさんから見たAさんはお互いに逆方向に動いて見えるはずです。

 重力も空気も地面も何もないところで、誰かがAさんに向かってボールを投げました。

 じつはAさんは目を瞑っていてその投げる瞬間を見ていませんでした。そこで、ぱっと目を開けます。

 ボールが飛んできているように見えるでしょうか。自分が止まっているボールに突進しているように見えるでしょうか。

 この二つの出来事は厳密に物理学上区別不能です、というのが、「普通の相対性理論」です。

 ここに、「でも光だけはなんかヘン」という条件を付け足したのが「特殊相対性理論」。

 「まてまて、重力もなんかヘンだぞ」という条件を付け足したのが「一般相対性理論」です。

 ということで、相対性理論の一番の原理原則は、「どんな動きをしていても物理法則は変わらないよ」という部分なんです。つまり、物理法則自身の保存則ともいえます。

 じゃあ、特殊相対性理論、光のどこがおかしいと思ったのか。それは、光を表す方程式そのものの形に問題があったからです。光は電磁波。電磁波を表す式は、電場の保存則と磁場の保存則の二つの方程式を連立して解いたところ現れたものでした。ところが、その式をよくよく見てみると、「見ている人の位置や動き」という要素が一切含まれていません。もしこの方程式が普遍的なものだとすると「普通の相対性理論」が破綻します。Aさんが止まった光に向かって突進しているのか止まったAさんに光が飛んできているのか区別できないのが相対性の原則ですが、光の方程式は、どのパラメータをどういじくっても「光は止まらない」ということを示していたのです。さあ大変。「Aさんが止まった光に向かって突進している」という解釈ができない。

 ここで凡人なら、「あ、光の方程式になんか間違いがあるんだよね、なんだろ」となりますが、天才は、「間違ってるのは相対性理論のほうじゃね?」と考えちゃうわけです。ということで、出来上がったのが特殊相対性理論。内容は省略。

 一般相対性理論のほうも、似たような話です。重力を感じない大きな箱の中にいて、光を見ています。特殊相対性理論が完成した結果、光は等速直線運動をしなければなりません。確かにそうなりそうです。ところが、その箱を外から見ていた人。じつは、その箱は、超でかい惑星の超高いところからからまっさかさまに落下中でした。箱はぐんぐん加速していきます。となると、光は等速直線運動(=加速しない)ですから、いつかは箱に取り残されて箱の外に出てしまわなきゃなりません。あれれ。箱の中の人と外の人で、光の運動について違う見え方になってる=相対性が破れてるジャン。

 天才は、「加速運動(による見かけの力)」と「重力」が実は同じものなんじゃね? というところまで洞察を深めた上で、おかしいのは重力だ、とひとくくりにして一般相対性理論をまとめました。いや、特殊相対論についてはいろんな人が同じ結論にたどり着いていたんですが、こっちだけは、もうほんと、アインシュタインの頭がおかしい。なんでそこで「加速と重力は同じもんやで」という結論にたどり着くのか。絶対頭おかしい。

 というのが、相対性理論のあらまし。

 SF書きが妄想を深めるには、どうすればいいか、見えてきましたね。単に特殊・一般相対性理論の結論をいじくっていろんなパラドックスを楽しむよりは、そこからさらに一歩進める、「光だけなんかおかしい」「重力もなんかおかしい」に、さらに「○○もなんかおかしい」、そこから導かれるいろんな不思議な現象、そんな妄想をすると、おおっ、相対論を良く理解してるなあ、なんて読者をうならせられるかも。

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