突撃隣のゾンビ家
みんなー☆
1ヶ月毎に先輩が消えてく職場ってどう思うー?
ごきげんよー☆
ゾンビちゃんだよー!
今私は、自宅で寝ていた所を騒音に叩き起こされちゃったの!!
騒音野郎には悪魔の左手が唸るぜ!
さて、寝る時は下着の私ですが、朝からパンパン途轍もなく煩いですね。
盛った猿ですか?
ああ、擬音は同じですが違う音ですよ、パンパン鳴るのは恐らく爆竹でしょう。
私がやった事があるゾンビゲームでも使いました、あのゲームはゾンビが強いので、高台を駆使して移動するゲームでした。
メインストーリーでは、爆竹でゾンビの気をそらしてる間に車のバッテリーか何かを修理した記憶があります。
最終的には主人公がニンジャになってましたけど。
ちらりと窓の外を見て見ると、爆竹でゾンビが集まっており、階段を上がる音から目的はこのアパートらしいですね。
閉鎖空間でゾンビと一緒になるデメリットはありますが、アパートの住人ならば囲まれる程|家庭≪ゾンビ≫が居ないと考えたのでしょう。
確かにお隣さんも、ゾンビ一人暮らしでしたし。
私は取り敢えず足音を立てない様気を付けて、鍵やチェーンの確認をしに玄関に行くと。
「この部屋が開いている」
「油断するなよ」
「ああ、中にゾンビが居ても窓の方に行っている筈だ」
あら、お隣さんの家に突撃する様子ですね。
題して『ヤラセなし、突撃隣のゾンビ飯!』辺りでしょう、食べてるのか不明ですし、飯になるのは自分になりそうな番組ですけれど。
声から察するに男2人、ゾンビアイ(今命名)から見える未感染者も・・・2人?にしては、片方の色が薄い気がします。
しかーし!
その部屋には、出待ちしているお隣さんがいるのだ!
貴様らの冒険もここまでだぁ!!
「よし、ベランダに出てる!」
「落ちろ!」
男達の走る音に続き、何かがベランダから叩き落とされました。
お、お隣さぁーん!
し、しかし、お隣さんを倒しても、第2、第3のお隣さんが・・・。
「これで此処は安全だ」
「暫くは此処が拠点だな!」
居ませんでした。
にしても困ったなぁ、私はゾンビだけど乙女独り暮らしですものー。
襲われちゃったら怖いなぁ。
近所迷惑考えずに大音量で映画見ようと思ったのになぁ、お隣さんから永遠に借りたアメコミ実写。
というか、電気がいつまで保つかわからないし早く見たいんだけどー。
よし、今日はヘッドホンして動画見よ。
私は蜂蜜リキュールを炭酸で割り、買いだめしておいたお菓子開き、PCを起動。
え?女子力?ゾンビにはリミッター振り切れた馬鹿力しか無いよ!
バイオハザードが起きた当日から更新が止まっている、有名実況者等の動画を漁る。
片手間に調べてみると、バイオハザードが起きたのは静岡であり、主に中部にゾンビが溢れたみたい。
道路や交通手段を封鎖し、感染者は隔離して一応日本という国は崩壊してないみたい。
東京の親友の生存もメールの返信から確認出来たけど、私の家族は音沙汰も無い。
多分、手遅れなんだろう。
私の実家には電車で1時間近く掛かるし、勤め先の老人ホームは田舎だし。
確認に向かうにも、とても大変だ。
なら、私が私である内は、自堕落な生活を楽しもうと思う。
動画を見ていると、ふと日差しがオレンジになっている事に気がついた。
既に夕方らしい。
チラリと新たな隣人に目を向ける。
ゾンビアイが写すのは、朝よりも色が薄まった未感染者の彼。
いや、未感染者って言い方は正しくないかも、だってそういう事だろうし。
明日起きたら、新たな第2、第3のお隣さんが増えているのだろう。
ゆらゆらと、気持ち良い気分で私はシャワーを浴びて布団に潜る。
水や電気が止まらない事を祈りつつ、微睡みに身をまかせる。
何処かで、野太い悲鳴が聞こえる気がするけど、私の意識は闇に沈んだ。
みんなー☆
新入社員がダンス踊らされる職場ってどう思うー?
勿論ダンス練習は休み時間や、時間外で手当ては出ないんだー☆
みんなも福祉施設っていう言葉には気を付けてネ☆
ゾンビちゃんとの約束だゾ!