命の雫
女の子と言ったらお買い物。
女子力高いお買い物回です。
ヤッホー☆ゾンビちゃんだよ!
私は今、田舎の大型スーパーに来ています!
大型スーパーで衣類を取り扱ってたら田舎な気がしない?
私の偏見かな?
いや、田舎を見下してる訳じゃないのよ。
だって、私は今田舎住みだからね(ドヤ顔)。
さてさて、皆様の命の雫と言えば何ですか?
ビール?チューハイ?日本酒?
私は蜂蜜リキュール!!
と言う訳で、この大型スーパーはお酒の種類が豊富なの。
私が蜂蜜リキュールと、運命の出逢いを果たしたのもここなのよ!
そう言えば、同僚に噛まれた左手だけど、爪の伸びが右手の2倍くらい早いのよね。
よくゾンビの設定で異常な代謝によって、皮膚がズル向け食欲が上がり人間を襲うなんてあるけれど、もしかしてそれなのかしらね?
あの設定って、ゾンビ同士の共喰いで速攻数が減りそうな気がするのよねー。
まぁ、伸びた爪は出掛ける前に切りましたけども。
料理をする女の子にとって、伸びた爪は大敵なんだゾ☆
うーん、話が脱線しちゃうわね。
これはきっとゾンビになったせい、そうなの。
さてさても、それは兎も角も使い過ぎて、お前語弊力ねーなとか思われちゃうわ。
でも、ゾンビだもの!キニシナイ!
オレオマエクウ、マルカジリ、カミエシノチカラテニイレル!
なんて適当に1人寂しくふざける私ですが、大型スーパーの駐車場をぶらぶらしてるだけです。
ゾンビになり損ねたのか死んでるみたいな人もいますけど、多分寝てるゾンビでしょう。
ゾンビだって睡眠が必要ですよ、お酒もね。
大型スーパーは先程のドラッグストアとは異なり、バリケードが無く、立て籠もってる未感染者は居ないみたいですね。
ああ、生存者なんて言わないですよ。
ゾンビ差別なんて、炎上しちゃいますもの。
大型スーパーの自動ドア等、客寄せにガラス張りの壁が多かったのが災いしたのか、複数の車が突っ込んで来ており。
レジ台と車の間から、寝てるゾンビさんの足が覗いています。
「アー」
多分今のはいらっしゃいませ的な意味。
凄い、私ゾンビ語がわかって来てる!
「アーアー」
うんうん、成る程。
超特売ですって、全品10割引!!
あ、電気が生きてるうちに肉とかは塩漬けとか干し肉にしてみようかな、やり方わからないけど。
少し痛んでもゾンビだし。
あー、でも寄生虫とかはゾンビでも御構い無しな気がするなぁ。
あれこれ考えながら、他のお客さんゾンビに会釈して私は命の雫の元に向かいます。
ちらほら見た限りでは、先客がいたらしく、ある程度持ち去られている様でした。
ですが、私の蜂蜜リキュールは無事に残っており、有るだけ詰めようと考えて、ふと気がついたのです。
倉庫にまだ有るんじゃないの?
そう、関係者以外立ち入り禁止。
スーパーでアルバイトした事がある人なら知ってる、広い様で狭い入荷在庫置き場。
私はスーパーの中を歩き、店員さん達が消えてゆく、関係者以外立ち入り禁止の扉の前に立ちました。
けれども、そこにはバリケードが敷かれていて、未感染者達がいる様子。
あ、充血した左目ですが、先程のドラッグストアの店員さんを見て気がつきました。
この目、壁越しでもある程度の距離なら未感染者達が朧げに見えるんですよ。
温度なのか、赤外線的なのかわからないけどですし、私はそんな事詳しくないし、ゾンビワカンナイ。
白目を剥いてるゾンビさん達は、そもそも見えているのか不明ですが、しっかり未感染者達を捉えている様子ですね。
だって、バリケードの前に集まってますし。
「うーん、頑張ってくださいねー」
「アーー」
とりあえず今の私はゾンビ側なので、ゾンビ仲間にサムズアップしてからその場を離れます。
未感染者とか関わりたくないですし。
きっと、熱いドラマが繰り広げられている事でしょう。
関係無いけど。
私は残っているだけの缶詰めやサラミ、炭酸水、蜂蜜リキュールを売り物だった鞄などにも詰め込みました。
まぁ、詰め込んでから液体って重い事を思い出したのですけれど。
前の会社で若さ(今もピチピチ)のままに、重い合板(接着剤等で木を合わせた物)を動かそうとして腰を痛めた私。
皆様も気を付けてくださいね、腰に若さとか関係無いから。
重い物を持つときは覚悟が必要なのですが、ふと“ゾンビなら痛みも無いから腰痛の心配も無いのでは?”と気がついたのです。
全国の腰痛持ちの皆様、ゾンビ、ゾンビになるのです。
「どっしゃーっ!」
大声で気合いを上げ、一気に持ち上げると割と軽々持ち上がりました。
どうやらある程度ゾンビになった事で、身体のリミッターが外れ始めているのかも知れません。
更に、同僚に噛まれた左手は重さすら感じない程で、どうも他の部位よりゾンビパワーが強いみたいです。
漫画のキャラみたいに、左手を主体に戦うなんてできたらかっこいいですが、私は一般ピーポ。
更に右利きなので、ぶっちゃけ無理です。
ゾンビちょっと便利くらいにしか生かせない、悲しき設定になりそう。
私が持ち上げた事で、周囲のゾンビさん達も声を上げて褒め称えてくれました。
え?音に反応しただけ?
私は自称文学少女・・・いえ、文学レディなので、春が来たら雪が泥水になるんです!
さてさて、女の子らしく優雅な買い物も終了したし帰りましょう。
所で皆様はチョコミントアイスは好き?
私は大好き!
折角まだ電気が生きているので、ついでに丸ごと貰うことにしようかな。
「おい急げ!」
「わかってる!!」
「死ねクソゾンビ!!」
やっぱり帰りましょう。
怒鳴り声とが響いているので、未感染者達がお買い物に来た様です。
関わると殺されちゃうし、女の子だし、こそこそと背景のゾンビ様に移動して何とか脱出に成功。
重い荷物を持って、えっちらおっちら自宅に帰って来ました。
ついでにお隣さんのインターホンを押して、お出迎えしてもらい、お土産をあげました。
置くだけの消臭剤。
「アー・・・」
凄い喜んでくれてますね、やっぱり同類の私はわかってるんですよ、うんうん。
私は彼にサムズアップして、うちに帰って蜂蜜リキュール飲んで寝ました。
おやすみー!
主人公は蜂蜜リキュール飲みすぎて、缶のチューハイはジュースみたいに感じるので飲みません。
カルーアミルクは好きだけども。
だって女の子だもん☆