エピローグ
―――エメセシル王女を旗頭に、隣国のアレクス様とお父様率いる王国軍の連合部隊は数日の内にクーデターを鎮圧した。さすが国境を越えて頭脳明晰で鳴らす殿下と名将と呼ばれるお父様。軟禁されていた国王陛下も大事なく救出され、その後の大きな混乱もなかった。
ただし、国王陛下は今回の事をご自分の責任と考えられているようで、1年後のエメセシル様の婚姻がなされたら早々に王位をエメセシル様とアレクス殿下に譲り、共同統治体制にすると発表されている。
今後は女王陛下となられるエメセシル様の警護を強化しなくては。お世継ぎが生まれる前に、あのお方に何かあっては今回以上の王位継承問題が勃発するだろう。
―――え?・・・私達?
えーっと、そう、私達の事だ。
エメセシル様を無事にアレクス殿下の元に送り届け、国の危機を回避した功績を買われて、私達は二人とも出世した。特にエリックは彼の若さでは考えられないが、姫様付き近衛騎士から一騎士団の団長に抜擢されて将来は私の父に並ぶ将軍の地位を手に入れる日も遠くないと言われている。・・・本人は格段に増えた仕事量にげっそりしていたのだけれども。
そして私は、王女、いや未来の女王陛下を守るため増員された近衛騎士隊の責任者になっている。何と、今回の公募に女騎士の登用もあり実際に数人の貴族令嬢が立候補し、現在私が訓練している。
・・・そんなわけで私達は日々の業務に忙殺され、結婚の準備もままならず泣く泣く半年タイミングをずらすこととなってしまった。
まあ、私の怪我の治療にも専念する必要があったことも理由の一つなのだけれど。
結婚までに、きちんと部下を育てておくことを条件に、アレクス殿下に結婚前後に長期休暇を頂くことを約束して頂いているので、目下そのために頑張っている。ええもう、エリックなんかは以前の穏やかな雰囲気はどこへ行ったのやら、そのがむしゃらな仕事ぶりから鬼のような上官だと噂されている。
そんな彼も業務の合間の二人で過ごす時間は、人が変わったように甘えてくるのは、彼の名誉のために私だけの秘密である。
―――結局のところ、個人的な感情で業務にあたっている私達はやっぱり、不真面目な騎士だ。
今回で完結です。時間が出来たら、エリック視点の補足ストーリーを書けたらいいなと思っています。ご覧頂き、有難う御座いました。