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プロローグ2 マイナーな神様に・・・③

「実は転生自体は昔から割りと多く行われて来たものなんだ」


ナポレオン、チンギス・ハン、織田信長や坂本龍馬など歴史を動かした人物には転生者が結構いたらしい。


神は、人間の世界に直接は介入出来ないからね・・・と肩を(すく)める仕草を見せる。

直接人間の世界に介入は出来ない。が、物事には抜け穴がある。

自身の代理として、加護を与えた転生者を送り込むことで、間接的に人間世界への介入し、戦乱を治めたり、時代を神自身の都合良く変えたりする神は多く存在し、時には神の代理戦争のようなものも起こった。


「最近、人の歴史や戦乱に神が関わることは良いことではないという風潮が、神々の間でも出てきてね・・・」


神が人間界に関わって多くの人間の生死を動かしてはならない。というのが、現在の神論なのだそうだ。


「・・・ところが、人間界に介入しないというのは、それはそれで退屈でね・・・」


退屈が我慢出来なくなると、より深く人の世に関わり、大きな戦乱を起こして退屈を凌ごうとする神が増える・・・


「神々といえど、退屈には勝てないからね!」


神々の暇潰しで、大戦が繰り返し行われてきたが、ある神の一言で神界が変わった。


それは、束の間の平和に退屈を口にする神々が増えだし、そろそろ大きな大戦が起ころうかといった時だった。


「うひゃ〜。俺が加護与えた奴凄くねえ?」


人間界を指差し、自慢気騒ぐその神に、神々は始めは白い目を向けていたが、ある神があまりの騒ぎようにその神の見ている先に目を向けると、そこでは、あるスポーツの試合が行われていた。


「ほらコイツ!俺が加護与えてやって育てたんだよね」


その指差した選手は、凄いスピードでドリブルしゴールを奪っていく。


「それ、どうやってやるの?」


その試合を見ていた神々の中から、そんな声が上がった。



始めは頭のイカれた神のふざけた遊びだと全ての神々が思っていた・・・


「低級の神は暇なのだな」


とか、


「こんなレベルの低い遊びを考えるとは・・・」


と、鼻で笑われていたのだが、ある日、面と向かって罵声を浴びせる神が現れた時だった。


「ふん。貴様そんな低俗な遊びに(ほう)けるとは、余程暇なのだな!」


そう言われて、その神は面倒くさそうに立ち上がり睨み返し言った。


「高尚に何百年もかけて、人を殺すだけの遊びに呆けるとは、あんた余程暇なんだな!」


その一言に神界は揺れた。


無礼な低級の神め!

と、怒りを露にする神々。


確かに一理ある!

と、その神に興味を持つ神々。


どちらも働いていない神々ではないか。神の仕事を呆けているから、そんな遊びを考えるのだ。

と、どちらにも憤る神々等々。


しかし、その頃には、少なからずの神々の間に、その遊びは広がっていたのだった。




「・・・まあ、感覚的にはダ○スタの通信対戦に近いかな?」


納得した顔で頷いている神を見て、俺は頭を抱えてしまった・・・何がダビ○タだ!

人間の一生を、競馬シミュレーションゲームと一緒にするな!

その揉め事の後、この遊びにハマった神々は、大会等を開催し、後に神界で加護ゲーと呼ばれるこのゲームを広めていったそうだ。

現在では世界中の神々が行うようになり、サッカーW杯の時などは、神界でも大いに盛り上がるらしい。


「別にサッカーだけが流行っている訳じゃなく、バスケや野球が好きな神はそっち選手を育てているけどね」


古代ローマの剣闘士や、日本の力士など、昔からスポーツ選手に加護を与える神はいたが、サッカーW杯やオリンピック等200を越える国の代表が競い合う大会に神々はハマった。

現在、神界では、スポーツ選手を育成することが流行し、育成ブームと言っていいほど多くの神々がスポーツ選手に加護を与えているらしい。


そして、前回のW杯だ。


「前回のサッカーW杯での日本の惨敗に他国の神々から、日本には八百万の神々がいるが、大した加護も与えられない駄目な神々しかいないようだ」


海外で活躍する選手が多く、神々も期待を超え増長していたらしい・・・

大会前に散々今回の日本は良いだとか、優勝候補だとか吹いて回る神々が多数いたため他国の神々からの日本の神々への風当たりが強いらしい。


「まるでマスコミみたいだね」


大会前は散々持ち上げ、手のひら返しにバッシングする日本のマスメディアをつい想像し、思わず口にすると、怒られるかなと思いきや。


「そんなもんさ」


と、神様は意外にも苦笑しながら、同意していた。


「・・・と、まあそういうことだからよろしく頼むよ!最高の環境を用意しておくから・・・」


神様の声は段々と遠くなっていき、俺の意識は薄れていった。








「おかしい・・・こんなはずじゃなかったのに・・・」


一人グラウンドでキツいメニューをこなしながら、俺は首を傾げた。

神様の言っていた”最高の環境“は、俺の想像していた“最高の環境”とは遠くかけ離れたものだった。


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