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辺境伯の娘の武勇伝  作者: 茅野紗凪
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1歳

1歳始めです。

1歳です。歩けるようになりました。トイレももう一人で行けます。そして、行動範囲が広くなりました。いつも、父さまの執務室から本を持って来て部屋で読んでいます。この国の言葉は始めから理解していたけど読めるとまでは思っていませんでした。本当は執務室に閉じこもって本を読んでいたいけど、父さまの仕事の邪魔をしては悪いのです。今世では、父さまにも母さまにも嫌われたくありません。本を読んでいないときは、庭で走り回ったり、誰もいないことを確認して柔道、空手道の型を確認したりしています。あと、長い棒があれば薙刀の型も確認していきたいですね。



父さまの執務室から本を借りてこの国について知った事は、この国がアースガルド王国という名で代々国王の直系の王子が国を動かしていること。数年前まで戦争をしていたこと。隣国はまだ豊かな大地を持つこの国を狙っているということ。前の戦争で父さまが活躍したから、男爵から伯爵へ昇格したことは寝たきりの母さまに聞いた。

父さまの治るこの辺境は隣国と隣合わせになっていて、すごく狙われているらしい。それを止めるのは父さまが率いるツェーヴェルト私兵団と間にある『魔の森』。ツェーヴェルト私兵団はうちの領内の治安維持と魔の森の魔物の殲滅が仕事。強さは平均でA級冒険者くらいで、この国の軍の中では最強だそうだ。『魔の森』はそのまんま、魔物の多く出る森。ただ、弱いものでBクラス、強いものになるとSSクラスだと言われている。というのもS級冒険者が探索してボロボロで帰って来て「SSクラスに近いSクラスの魔物が居た」と報告したから。それでも奥まで進めていないとも言っていたからSSの魔物もいるだろうってこと。実際はSSSがいてもおかしくない。ちなみに魔物の最高ランクはSSSで最低はF。スライスとかゴブリンとか、大人ならよっぽどのことがない限り勝てる魔物はF。



そういえば、母さまが寝たきりだってこと言ってなかったね。母さまは元々そんなに体の強い人ではなかったの。それが私を産んでから目に見えて酷くなって、今じゃ寝たきりの生活をしているってわけ。母さまは優しいから私が行けばいつも構ってくれる。それに賢いから、私のする質問にもよどみなく答えてくれるの。おかげで本だけでは知れない、この国やツェーヴェルト伯爵領内の現状についても知ることができる。少し情報は古いけど、役には立つよ。



今日は魔術系の本を借りて来ました。この世界には魔術というものがあるのです。魔術は想像と魔力によって顕現します。魔術を使うのにほとんどの人が詠唱するのはイメージを固めるためであって、詠唱は必ずしも必要というわけではないらしい。あと、魔力は使えば使うほど多くなる。魔術を行使しなくても体の外で魔力を錬って体内の魔力を無くしても魔力は増えるらしいから今日からは魔力を錬ることも暇なときにしようと思う。自分の体の中の魔力の感じ方は本だけではわからなかったから母さまに見てもらいながら教えてもらった。途中までは微笑ましそうにしてたのに、私が魔力を錬りだしたらすごく驚いた顔をしていた。魔力を錬れるようになるのが早くて驚いたらしい。その後で母さまに褒められた。褒められることがこんなに嬉しいことだとは思わなかった。

1歳の間はずっとこんな生活です。

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