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冒険者ギルド<冒険者登録と小さな葛藤編>

いい感じのペースで投稿できてると自画自賛してみる作者ですが、物語の展開は相変わらず遅いですm(__)m

今回の話では、元現代人らしい事で主人公が少し悩みます。いくら異世界に来たからってそんなにすぐにはいろいろ割りきれない面倒な主人公ですが、頑張っていきます。

そんな感じで、はじまり、はじまり~♪

さて、やってきました冒険者ギルド。思いっきり武装した厳つい人達が出入りしているから、多分間違いないだろう。

薬草の加工作業中、アンナちゃんから冒険者ギルドについて聞いた話によると、どうやらこの世界では旅をする人の大半は冒険者ギルドで冒険者として登録しているそうだ。そこで身分証のようなものを発行してもらったり、ギルド経由でいろんな依頼を受けて稼ぎを得られるらしい。依頼内容はいろいろあるみたいだけど、詳しくは分からないとのこと。

また、冒険者ギルドは世界中のあちこちにあるらしく、魔法で連絡を取り合って有事の際には連携も取っているのだとか。実際に、4年前の魔族との戦いでは遠方から来ていた人も大勢いたらしい。


しかし・・・出入りしている人が厳つい人ばっかりで入るのが躊躇われるんですが・・・

ぶっちゃけ、怖いっす。この怖さ、大学生の頃に初めて大学の喫煙所に入ろうとしてた時に似てる。あそこ、雰囲気悪かったんだよなぁ・・・今はもう禁煙してるけど。


などと、現実逃避をしている間にも人の出入りはあるわけで、入り口の端っこで立ち尽くしていたら、悪目立ちもするわけで

「どしたぃ?あんちゃんよ。」

こんな風に声を掛けられる事も当然あるわけだ。

「あ、え、え~っとですね・・・」

怖ぇよ!見た目、スッゲェ怖ぇよ!身長くらいありそうなデッカイ剣背負って、顔には爪で切り裂かれたであろうデッカイ傷に、迫力満点の髭と顔付き!!声を掛けてくれるんなら、せめて笑顔でお願いしたい!!

「冒険者登録だろ?んなトコで突っ立ってても仕方ねぇぞ。」

「あ、はい。なんだか気後れしてしまって・・・」

「まぁ、ルーキーにはありがちな話だわな。ほれ、とっとと入って奥のカウンターで登録してこい。」

「は、はい。」

ぶっきらぼうな言い方だけど、いい人なのかもしれない。促す為にわざわざ声を掛けてくれたっぽいし。怖いとか思ってごめんなさい。


おっかなびっくり中に入って、髭のおっちゃん戦士に言われた通り、奥のカウンターに足を運ぶ。

「すみません。冒険者登録ってここでお願いしたらいいんでしょうか?」

カウンターに座っている受付係と思われる青年に声を掛ける。

「はい。こちらで受け付けております。初めての方ですね?」

よかった、受付の人は怖くない。

「はい。右も左も分からないくらいでして。」

念押し気味に初心者アピールをしておく。

「お一人ですか?」

「はい。」

「そうですか。」

なんだか難しい顔をされた。一人はマズイんだろうか?

俺の疑問を察してくれたのか、受付青年が話を続ける。

「あ、勿論、お一人でも問題は無いんですが、初心者の方は初心者同士でパーティーを組まれる事が多いんです。腕に自信のある方でもないと、依頼内容によっては危険が大きいものもありますので。依頼の度に臨時でパーティーを組まれる方もいらっしゃいますが、やはりある程度の実績がないとパーティー組みを断られる事も多くありますしね。」

言われてみれば、それはそうだろう。腕が未熟だと大した仕事はできないだろうし、危険性のある仕事で使い物になるかどうか分からない初心者と好き好んで組みたがる人間はいないだろう。己の命が懸かっているのだから。

「残念ながら、今は初心者のパーティー募集というのは無いんですが、気長にお待ちいただければ、そういったパーティーを組む事もできます。あ、懐に多少余裕がある方の場合は奴隷をパーティーに加える方もいらっしゃいますね。」

奴隷?この世界は奴隷制度があるのか。

「奴隷をパーティーに加えるのであれば、分け前の面で揉める事がありませんので、時間を掛けて奴隷を買われる方もいらっしゃいますね。まぁ、戦闘力のある奴隷は高いので、一般的に最初はやはり初心者同士でパーティーを組む方が多いみたいですが。」

「なるほど。」

奴隷制度の是非については思うところがないわけではないけれど、それはこの際置いておく。俺一人がどうこう言ったところでどうにかなる物でもないし、この世界の奴隷制度がどういったものかも分かっていないのだから。

「いかがされますか?パーティーの募集をかけられますか?」

「あ、いえ、募集はいいです。分け前の話とか大変そうですし。」

よく分からん奴とパーティーを組むなんて御免被りたい。普通の人ならともかく、こちとらこの世界に来てまだ1日も経っていない異世界人なのだ。常識面についてだけでも余計なトラブルを引き起こしかねない。

「とりあえず、一人でやってみて、無理そうならまた相談させてください。」

「分かりました。では、こちらの用紙にお名前や特技などの必要事項をご記入ください。」

げ。字を書かなきゃならないのか。

「文字の記入が難しい場合は10エニーで代筆も承っております。」

まるで、俺の戸惑いを見抜いたかのように話を続ける受付青年。

「また、全ての欄を埋める必要はございません。ただ、太枠内については必ずご記入ください。」

見抜いたってよりも、通常説明の一端っぽい。もしかしたら、この世界の識字率はそんなに高くないのかもしれない。

「ご記入いただけましたら、明日には専用の冒険者証を発行いたしますので、ギルドの依頼を受けられる際には必ずご提示ください。また、これは紛失されると再発行に非常に時間がかかり、再発行完了までギルドの依頼が受けられなくなりますので、くれぐれもご注意願います。」


続いて受付青年がしてくれた説明はこんな感じだ。

・冒険者には実績に見合った階級(クラス)が存在する。

階級(クラス)は《(ウッド)(アイアン)(ブロンズ)(シルバー)(ゴールド)白金(プラチナ)》の6段階。

階級(クラス)差は身分の上下を示すものではないが、受けられる依頼の難易度に影響する。((ウッド)の冒険者は鉄級(アイアンクラス)の依頼は受けられないが、(シルバー)の冒険者は木級(ウッドクラス)の依頼も受けられるという感じ)

階級(クラス)アップはこなした依頼の回数や内容でギルド側が判断する。

階級(クラス)アップすると、冒険者証も階級(クラス)に合った物に切り替えられる。

・依頼途中における安全の保証は無い為、身の丈に合った依頼を自己責任で選ぶ必要がある。

・依頼が未達成に終わった場合の罰則は基本的には無い(未達成=死の場合がほとんどだからだそうだ)が、依頼内容によっては罰則が定められている場合もあるので、依頼内容は受ける際に自己責任の下で随時確認が必要。

・依頼を完遂したら、ギルドに報告する事で褒賞金が支払われる。

・依頼の難易度や内容によって、褒賞金額も異なる。

・依頼遂行時の態度や依頼主、同依頼遂行中の他パーティーとのトラブル頻度によっては冒険者資格を剥奪する場合がある(過去にそういった事例はほとんどないそうなので、普通にしていればあり得ない話らしい)。


結構いろいろ言われたけど、内容自体はファンタジーのテンプレな感じだから、スッと頭に入った。

で、肝心の依頼は冒険者証が発行されてからということだそうなので、今日は正式には受けられないそうだ。だけど、ギルドが一応の依頼元となっている恒常的な依頼については先に依頼内容をこなしておいて、正式に受けると同時に褒賞金を受け取るというのも有りらしい。


その依頼というのが、街の近くや街道沿いに出てくるゴブリンやコボルト退治。

テンプレ、キター。

まぁ、一般人の道中や街の治安維持というのが目的らしいので、アンナちゃんが薬草採集に行ってる森にも出てくるくらいだからそういう依頼があっても何の不思議もないけど。

ちなみに、ギルドが依頼元なのが<一応>というのは、褒賞金の資金源は国やその土地の領主となっているからだそうだ。治安維持の為とはいえ、危険度が高くないものについてまで常に正規の兵隊を動かしていられないから、冒険者ギルドに資金提供をして丸投げしているとの事。責任という観点からではそれでいいのかと思うが、まぁ、それで食い扶持を得ている人もいるそうなので、問題は無いんだろう。




というわけで、一応ゴブリン退治の依頼を仮受けして、冒険者ギルドを後にしたんだが・・・

装備が手元に無いのにゴブリン狩りなんてできるはずもなく。

受付青年が言うには、少数なら大人が素手で相手をしても勝てるらしいんだが、それ、もし大勢に囲まれたらどうすんのよって話なので、当然やらない。

いや、仮に少数しか出てこないって保証があったとしても、素手とか怖いから無理。


と言うか、討伐証明としてゴブリンの右耳を持ってこいって、猟奇的過ぎる・・・つい昨日まで流血沙汰には無縁な現代社会で生きていた俺にはハードルが高過ぎやしないかぁ?生き物を殺すのだって、最近は台所に出てくる黒光りしたアイツとか部屋にたまに出てくる小さい蜘蛛くらいしか記憶にないのに。子どもの頃はバッタとかコオロギもちょっと残酷な感じに殺してた気はするけど、それでも虫が限界。


じゃあどうして受けたんだっていうと、まぁ、自分の金稼ぎついでに、恩返しの一環をと考えての事だ。ゴブリン狩りをするつもりなのは、薬草採集に行った森までの道周辺と、森の中。そんなに奥までは行ける気がしないけど、少しでもゴブリンとかコボルトの数を減らしておけば、この先のアンナちゃんの安全性は増すだろう。気休め程度の事かもしれないけれど。


それに、正直に言えば、自分が生き物を殺す為の正当な理由を付けやすいからでもある。いや、まぁ、治安維持ってだけでも正当な理由になるのかもしれないけど、まだ襲われたりしてないせいか、見も知らない人の為の治安維持ってだけではどうにも自分の中で納得がいかないのだ。それなら、世話になっているアンナちゃんの為と考えた方が罪悪感が少ない。我ながら自分勝手極まりないとは思うけど。


ゲームなら雑魚を倒しての経験値と金稼ぎにこんな事考えないでいいのになぁ。




そんな若干の陰鬱な気持ちを噛み殺しながら、冒険者登録を終えた事を伝える為にアンナちゃん宅に足を進めていった。

最後、主人公が重たい感じになってますが、基本的に最初の内だけです。モンスターの実態を体験したら、当然そんな事は言ってられなくなります。感覚的には、自宅の近くに雀蜂の巣があったら壊したりするのは可哀想なんて言ってられるか!って感じでしょうか。

気が付いたら、ブックマークしてくださっている方が!!感想までいただいていて、もう恐悦至極でございます。ご期待にお応えできるように全力を尽くしますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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