古代遺跡 ヴェルデ・パレス ~双子の告白編~
素直な一言が引き金となって、思わぬ展開を見せてくれます。しかし、今回も空気の甘さが限界値を記録しそうですので、壁殴りの準備をお勧めしておきます。
第三章 第二十五部<古代遺跡 ヴェルデ・パレス ~双子の告白編~>是非最後までお付き合いくださいませ。
「ご主人様は格好など付けられなくても、充分過ぎる程に素敵な方ですよ。お優しくて暖かくて、それでいて、お心は深く広くて・・」
うっとりした表情と口調で言うセレア。
フォロー、ありがと。セレア。でも、そういう顔で言うのは止めよ。物凄く照れくさい。
「はい。なのに、毅然として凛々しい姿は筆舌に尽くし難い程に格好良くて・・・」
セレアと同じ表情で、セレアに続くリア。
ちょっ!?重ねられると、マジでムチャクチャ恥ずかしいんですが!?どんだけ評価上げまくってるんだ!?一瞬、誰の事言ってるのか分からなかったぞ!?
「うんっ。主さま、戦ってる時とかスッゴくカッコいいっ。なのに、他の人と違って、全然怖くないのっ。主さま、大好きっ♪」
ギョッとした顔で、シャーネと俺はシャーンに視線を向ける。
「あ、大好き、です?」
言葉遣いを注意されると思ったのか、言い直すシャーン。
いやいやいやっ!そっちじゃなくてねっ!?
「ちょっ!?シャーンッ!失礼な事を言うんじゃないのっ!!すっ、すみませんっ!」
大慌てで頭を下げてくるシャーネ。
「あのぉ。シャーンさん?その<好き>っていうのは、どういう好きなんでしょーか?」
ジト目で言うリア。声がちょっと怖い。シャーンがビクッとなったぞ。
「あっ!あたし、ちょっと用事を思い出しちゃったっ!じゃねっ!!」
言うが早いか、ジェラルリードちゃんは影に潜って姿を消す。
あ、アイツゥゥゥッ!不穏な空気を察して逃げやがったなぁぁぁぁっ!?そもそものキッカケはテメェのツッコミだろ!?
「まさか、抱きつきたいとか抱き締めたいとか抱き締められたいとか、そういう<好き>、ですか?そうなんですか?やっぱりタカシ様の魅力に気付いちゃったんですか?」
「あぅぅぅ・・・リアさん、怖いぃぃ~・・・」
シャーネの後ろに隠れるシャーン。
「ハァ・・・だから、リブラレールに着くまでは黙ってようって言ってたのに・・・・」
ジロッとリアの視線がシャーネに向いて、シャーネは失言に気付いたかのように口を押さえる。
「<黙ってようって言ってた>、ですかぁ?」
凍えそうな程に冷たい声音で言うリアに、ビクゥッと体を震わせるシャーネ。
「<黙ってるように言ってた>じゃなくて、ですか?それって、つまり、シャーネさんも同じ気持ちって事ですよねぇ?」
うわぁ・・・メチャクチャ怖ぇぇぇ・・・・これって、間違いなく嫉妬からだよな?でも、なんで?自分以外がいるのが嫌なら、セレアにも同じようになりそうな気がするんだけど・・・
「そうですよねぇ。タカシ様に守ってもらってた時、最初はビックリしてただけだったのが、物凄く嬉しそうな顔に変わっていってましたし?抱き上げてもらって助けてもらった時なんて、すっごく嬉しそうに笑ってましたし?索敵なんて危険な事も進んでするようにもなってましたし?褒められて頭を撫でてもらってる時なんて、凄く幸せそうに頬を緩ませてましたし?タカシ様の心配なんて、奴隷としてだけお仕えしてるんだったら、普通はしませんもんねぇぇぇ。」
「お、落ち着いて?リア。そんなに圧力掛けたら、否定したくてもできなくなるだろ?」
「う・・・」
涙目で俺を見上げるリア。
「だって、タカシ様ぁぁぁ。あたしはまだ正式な契約ができてなくて、リブラレールまでまだ時間がかかってぇぇぇ。」
泣き出してしまうリア。
「でも、でもぉ・・リアはタカシ様の2番奴隷でいたいんです・・・あたしが2番じゃなきゃイヤァ~~~」
俺に抱きついて、腕に顔を埋めて泣きじゃくるリア。
そこか!?それが理由!?増えるのが嫌なんじゃなくて!?
「え、えっと。リア?何があっても、リアが2番奴隷なのには変わりないよ?」
「グスッ・・・ホント、ですか?」
リアは涙を拭いて、また俺を見上げる。
「うん。正式な契約ができてなくても、俺との約束をしたのはリアが2番目だろ?何があっても、生きて一生俺を守ってくれるってさ。」
俺の言葉に、一気に表情が明るくなるリア。
「はいっ。リアが2番目ですっ!」
言いながら、リアはおもいきり俺の腕を抱き締めて、頬を擦り寄せる。
「じゃあ、シャーネさんとシャーンさんがタカシ様を好きになっててもいいです。すみません。」
さっきまでと打って変わって、サラッとご機嫌な声で言うリア。
思ってたよりも正式な奴隷契約ができてない事が、リアにとっては引け目と言うか、何と言うか、負けたような気にさせられるものだったんだな。しかし、増えるのはマジで全然平気なのね。
「え、えと、いいんです?」
シャーネの後ろから少しだけ顔を出して、恐る恐る言うシャーン。
「はい。私が2番だって、タカシ様が仰ってくれましたから♪」
リアの言葉に、セレアがクイクイと俺の裾を控え目に引っ張ってきて、耳をピクピクさせながら上目遣いで見つめてくる。
う~わ。やっぱりこの子の破壊力はパネェっす。
「ご主人様。セレアはご主人様の1番奴隷ですよね?」
「うん。セレアが1番奴隷だよ。絶対に。」
「はいっ♪」
耳をパタパタと起こしたり倒したりしながら、メチャクチャ嬉しそうに笑って俺の腕を胸に挟んで抱き締めるセレア。
耳技が進化してるぅぅぅっ!?絶対に狙ってる!これで狙ってやってないとか有り得ん!!だって、コレ、可愛すぎだろ!?
「えと、主さま?あたしも主さまの事、好きでいていい?」
頬を少し赤くしながら、指先だけを合わせるように手を合わせて上目遣いで俺を見ながら言うシャーン。
あ、あざとい!この子はあざと過ぎる!!何、この愛らしさ!?
「ん、うん。いいって言うか、嬉しいよ。」
俺の返事に、花が咲くように嬉しそうな笑顔を浮かべるシャーン。
「えへへ。嬉しいって言ってもらっちゃったよ♪お姉ちゃん♪」
「あ、そ、そぉ。羨ましッ!じゃないっ!!よかったわねっ!」
顔を真っ赤にして、慌てて言い繕うシャーネ。
「? お姉ちゃんは主さまに好きって言わないの?今朝もあんなに主さまの事カッコいいとか素敵とか」
「わぁぁぁぁぁっ!?ちょっ!?何をおもいっきりバラしてくれちゃってんのよぉぉぉぉぉっ!!」
倒れるんじゃないかという程に首筋まで赤くして、絶叫と共にシャーンの口を塞ぐシャーネ。
うわぁ・・・シャーンは天然だな・・・っつーか、シャーネさん、マジっすか。そういうの、スッゲェ照れくさいんですが。
「何も不自然な事ではないですよ。シャーネさん。ご主人様のお側に置いてもらっていたら、お慕いするのは女性として当然の事です。」
「はい。だから、初日の夜に、私が正式な奴隷になるまではって言ったんですし。もう全然構いませんけどね。」
セレアの言葉に続きながら、頬を俺の肩に擦り寄せるリア。
いやいやいやいや。セレアもリアも、俺に対する評価の異常な高さと認識がオカシイ。なんであんな警戒心最高潮な状態の2人に牽制なんかしてたの?っつーか、セレア?女性としてって言った?奴隷としてじゃなくて?物凄く嬉しいけど、過大評価も甚だしいぞ?セレアに好意を寄せてもらうまでは、年齢=彼女いない歴の、完全な中の下のモブ男その1だったんだぞ?
「う、うぅ~・・・好きですよぅ。大好きですっ。もう、好きで好きでたまんないんですっ。」
俯きながらも言い放つシャーネ。もう耳が破裂せんばかりに赤く染まり上がっている。
うわ。こやつも大概にしてくれってくらいに可愛いな。そこまで言われると、こっちも物凄く嬉し恥ずかしいんですが。
「ぷはっ。あぅ~・・・苦しかった・・・」
なんとかシャーネの手から逃れて息をつくシャーンを、シャーネはギロッと睨み付ける。
「・・・あんた、後でお説教だからね。」
「なんで!?お姉ちゃん、お説教になったら怖いからヤダッ!」
「自業自得よっ!反省なさいっ!!」
「え、えぇ~~?」
「ま、まぁまぁ。シャーネ。シャーンに悪気は無いんだろうしさ。」
カァァァッとまた真っ赤になり、俯いてしまうシャーネ。
「は、はい。主様。」
うん。まぁ、ダメージはデカいよな。
「では、これからは、やはりご主人様とご一緒に休まれたいですか?」
「は、「はいっ。」」
セレアの物凄い問いかけに、動揺しながらも首肯するシャーネと嬉しそうに返事をするシャーン。
いや、シャーンはホントに意味が分かってんのか?
「お2人の希望はこの通りだそうですけれど、よろしいですか?ご主人様。」
「セレアとリアが問題無いんなら、俺に断る理由なんか無いけど・・・ホントにいいのか?セレアもリアも、それに、シャーネもシャーンも。」
「「「「はい。」」っ。」」
セレアとリアの平静な返事と、シャーネとシャーンの勢いのある返事が重なる。
おぅ・・マジでハーレム結成しちまったぞ、おい。夢じゃなかろうか?
「ん、んん。んじゃ、まぁ、何て言うか・・・・・よろしくな。シャーネ。シャーン。」
「「はいっ。」」
嬉しそうに表情を輝かせるシャーンと、死ぬ程照れくさそうに頬を緩ませるシャーネ。
「えと、その、あの・・・・・あ、あたし達も、くっついても、いい、ですか?」
もじもじしながら、上目遣いで俺を見ながら言うシャーネ。
グハッ!?な、何だ!?この破壊力は!?コレが照れ屋の積極発言の威力だと言うのか!?
「う、うん。おいで。」
俺の返答に、照れながらも嬉しそうにベッドに上がってきて、2人して後ろから左右にそれぞれ顔を出すように抱きついてくる。
ぬおぉぉぉぉっ!?背中に柔らかい感触がぁぁぁぁっ!?理性の崩壊する音がぁぁぁぁぁっ!?
「えへへ。主さまの背中、おっきい。」
俺の頬に頬擦りをしてくるシャーン。
「ご主人様ぁ。」
甘えた声を出して、俺の唇を塞ぐセレア。
「出発は明日、でよろしいんですよね?」
セレアが潤んだ瞳で俺を見つめながら言い、俺が頷くと、もう1度唇を塞いで舌を絡ませてきた。
その瞬間、理性が完全に崩れ去った。
開戦時間が早かった事と明日が出発な事もあって、それなりの時間までで終了にしたけど、やっぱり連戦になりました。
シャーネとシャーンは初めてだったから、初戦のみになるかと思いきや、セレアとリアとが3回戦目に突入した時に、本人達が旅の邪魔にはなりたくないとリアに頼んで受胎制御の魔法をかけてもらってから、戦線復帰。それから、シャーンがいつか俺の子どもが欲しいという爆弾発言をした事で、セレアとリアが言いたくても言えなかった事なのにと対抗心を燃やして、積極性がさらに加速。結果、最短連戦記録を更新しました。
シャーンよ。素直で愛らしいのは君の長所だと思うけど、基本的に控え目で遠慮がちなセレアとリアを焚き付けないで。この2人は箍が外れると、可愛いとか綺麗とかの臨界を軽く突破してくるんだから。いや、メチャクチャ嬉しいんだけどね?身が持たないの。物凄く照れくさいから。
終了してからになったけど、シャーネとシャーンにも俺が異世界人だという事を明かした。2人共、やっぱり驚いていたけど、あっさり納得。この世界の人間族と、態度も考え方もあまりにも違い過ぎる理由に合点がいったそうだ。
でも、何故かシャーンが少し泣きそうな顔をしている。
「どうした?シャーン?」
「・・・主さま、いつか主さまが元いた所に帰っちゃうの?」
あぁ。そう言えば、セレア達もそんな事を心配してくれてたっけ。
「その時はあたしもついてっていい?」
「あ、あたしも、その・・・お願いしますっ。」
不安気に問うシャーンと、遠慮がちに、でも真剣な顔でいうシャーネ。
こ、こいつら・・・セレアと言いリアと言い、なんで<ここにいろ>じゃなくて<連れていけ>って方なんだよ。健気で可愛いにも程があるわっ。嬉し過ぎて、なんか泣きそうだぞっ。
「ん。分かった。シャーネとシャーンも、もし、そうなる事があったら一緒に行こう。置いてったりなんかしないよ。」
「「はいっ。」」
2人の嬉しそうな声がハモる。
「でもまぁ、帰りたいとも思わないし、俺はこの世界で生きてくよ。一生な。こうして旅をしてるのも楽しいからな。」
「「「「はい。」」」」
「しかし、よろしいですか?その・・・ご主人様のご家族やご友人の方々が・・・・」
「あぁ。まぁ、全く未練が無いって言えば嘘にはなるだろうけどな。俺にはどうやらこっちの世界の方が性に合ってるらしいからな。向こうに戻っても退屈なだけさね。」
「はい。」
「それに、な。」
4人にそれぞれ軽くキスをする。
「セレア達が一緒にいてくれるんなら、どっちでもいいよ。」
4人が一気に真っ赤になる。
「「「「は、はいっっっ!!」」」」
うわぁ。ハズイなぁ、これ。正直な気持ちだけど、何?このクサさ。ギッ○ルが出現しそう。
そして、セレアとリアは俺の左右に分かれて密着状態で、シャーネとシャーンはそれぞれ俺の手を握ってという形で一緒に眠りに落ちた。
途中で逃げやがったけど、結果としちゃ、ジェラルリードちゃんに感謝かな。シャーネ達の気持ちも早い内に聞ける事になったし。逃げた時は恨んだけど。
それにしても、ここのベッドはかなり大きいサイズだけど、5人はさすがに狭いぞ。次からは風呂付きに加えて、ベッドが大きいのを条件に宿を探さないとなぁ。何にしても、寝返りはなかなか打てそうにありませんが。なんて幸せで贅沢な悩み。昔の俺が聞いたら、死の呪いをかけてるに違いないね。
リアが燃やした嫉妬の炎は、ジェラルリードちゃんが咄嗟に逃げ出す程の物だったようです。大元の原因は主人公にあるんですが。
どんなに相手を大切にしていても、言葉にしないと分からない事はやっぱりありますよね。
では、これにて、甘ったるい空気を漂わせた第三章 第二十五部の幕を下ろさせていただきます。最後までお付き合いいただいた皆様に感謝です。また次もお付き合いいただければ幸いです。




