第7話 えっウソ何その展開
「はぁ…」
オレ・花咲ゆりは考え事をしていた。
遊園地でパイセンに惚れてしまった件についてだ。
マジどうしよ…
はぁぁぁ…
「てんめぇ、この間の事は忘れてねぇよなぁ?」
「おわわわわわ!!」
あー、びっくりした。ん?この男…
「あっ、お前、遊園地でオレとぶつかった…同じ学校だったのか」
「あの男を呼べ」
あの男…あぁ、庭園薔薇パイセンな。こいつからオレを助けてくれたんだもんなぁ。
「…何で?」
「あの男に手首を折られたのは、俺にとって相当な屈辱だった。仕返ししねぇと気が済まねぇ」
「はぁ…」
「じゃ、放課後、林間公園に連れてこい。さもなけりゃ…分かるよなぁ?」
………
「…というわけで、ここにアイツがくるので男に戻って行ってもらっていいっスか?」
「うわー、マジか…」
「すんませ…」
「あーあ…」
オレのせいでパイセンに迷惑かけちまった…
「ゆりりん秋桜先輩に呼び出されてたでしょ」
「わわわ!…何だ陽花か…」
紫陽花。オレの親友だ。
「…秋桜先輩って、あの不良やろうか?」
「そう。知ってるよあたし。その人は秋桜コスモ先輩って言ってね、この街で悪名高いスケバンなんだよ」
「やっぱそうなのk…お前、今、なんつった?」
「悪名高い」
「いやその後」
「スケバン」
…スケバンは、中高学校において不良行為をする女子生徒の事。不良少女の事を指す俗語。
「女ぁ!!?」
えっ、ウソ、何その展開!?
「ゆりりん知らなかったの?」
「分かるかぁ!!あんな男同然のヤツ!」
「確かにゆりりんより男っぽいよねー」
はぁ…
「…女だったのか」
「オレもびっくりしたっス」
案の定、パイセンも知らなかった模様。
「…で、あいつどうなったっスか?」
「肋骨何本か折っといた」
…怖い。
「…パイセンは不良だったことあるっスか?」
そう聞いたらパイセン、急に青ざめて、
「あ、あるわけないだろ、ははははは…」
引きつった笑い方をしていた。
…間違いない、パイセンは元ヤンだ。
あ、そういや…
「そうだパイセン、あの時はありがとうございやした」
「…もう絡まれるなよ」
そういうと、パイセンは俺の頭を撫でた。
パイセン…
アンタの事…
好きでいさせて下せぇ