第5話 どっちもどっちだと
やっぱり「桐生院さんは男の娘」状態に…
「最悪だ…」
「…はい?」
オレ(花咲ゆり)に愚痴をこぼすパイセン(庭園薔薇)。
「…あいつが転校してきた…憎き林屋の御曹司が…まだアイツだという確信はないが…」
「…林…あぁ、もしかしたらあのおばあさんの孫か?」
「…林星蘭の母親の事か?」
「はい、舞台に連れてきてくれたんス」
「…ちょっと来い」
「?」
「おはようございます鈴蘭様ー♡」
「おはようみんな」
「…あの人っスか」
「…あぁ…それで…あいつ、俺を屋上に呼び出しやがった」
「…オレも行けと?」
「あぁ…でも黙ってろよ?」
休み時間、屋上にて。
「庭園薔薇- 私には分かる! あなた、男でしょう?」
「私、女だけど」と庭園パイセン。
「ふっ、とぼけたって無駄よ。私には分かるの」と林さん。
「………」黙っているオレ。
「その腰までの長い金髪!170㎝と女にしては高すぎるその身長! そしてその肌! 何でそんなに白いのかしら! そしてその苗字と名前よ! あなた、庭園屋の人間でしょう!庭園屋が何歳で女装をやめさせるのかは知らないけど、あなたも後数年でこれをやめるのでしょう。…… どう? 完璧でしょう!」
「だから、私はおん…」
「アンタが言うな」
「「!?」」
「アンタだって真っ青な髪の毛を腰まで伸ばして編み込みして、身長180㎝位で、色白で。知ってるっスよ?アンタの親は林星蘭。女形歌舞伎役者っスよね?つまりアンタも林家の…」
「花咲!!お前黙ってろ!!」と、オレの耳元で囁くパイセンの声で、我に返った。
やっべ!!
「…ふぅ…そうさ、俺は林家の御曹司・林鈴蘭だ…庭園薔薇、この少年は貴様の知人か?」
「…そうだ。少女だけどな」
「…何だ、少女か…」
…何だ?
「少女よ、少しばかりこちらに来い」
「何スか」
「………」
オレの顔を眺める林さん。
「綺麗な顔…美しい声…翡翠の瞳…ハッキリ物を言う度胸…」
「?」
「…惚れた」
…今、何て?
ホレタって…掘れた?彫れた?それとも…
「君…俺の女にしてやろうか?」
…はぁ!?
「おいお前、何を言ってんだ」
「おや、別にこの少女は貴様の物ではないだろう?」
「おまっ…性格悪いな…」
「いやどっちもどっちだと」
「はぁ!?」
「あっ、すんませ」
どうなっちゃうんだ…
続く…