第4話 やべぇどうしよ好きだ
「何なんだ、一体…」
オレ、花咲ゆり、16歳、女。もう覚えてくれたか?
庭園薔薇パイセンがあまりにも美少女すぎて「男」と認めない、と本人に言ったら、ここ、愛浜アミューズメントパークに呼び出された。何なんだ、一体…
「花咲」
「ファッ!?」
目の前にイケメンが現れた。
「ふぇ?」
「俺だよ俺」
イケメンはオレの耳元でこうつぶやいた。
「庭園薔薇」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「しーっ!声でかい!」
「やべっ…マジでか?」
「マジだよ。さあ行くぞ」
…信じられねぇ…
「…先行ってて下せぇ。後から追いかけますんで」
「お、おぅ…」
とりあえず、気持ちの整理をつけよう。
数分後。
「パァイセェェェン」
また自分の方向音痴ぶりを忘れたオレ。
果たして巡り会えるかな…?
ドンッ
なんか不良っぽい男にぶつかった。
「おい、いてーじゃねーか」
無視。
「シカトしてんじゃねーよ!」
オレは胸倉を掴まれた。
「病院代よこせ」
「…」
えーと…こういう時どうすれば…
「オイ!聞いてんのか!」
俺は目を逸らした。すると…
パシッ
「…え?」
パイセンが男の手をつかんだ。
「俺の連れに何やってんだ」
「っ、テメェ、離しやがれ!」
ぼきぼきぼき
「アダダダダ、やめて手首そんなに曲がらない!」
「黙れ」
…怖い…
「何やってんだお前…」
「すんませ…」
「仕方がないヤツ…」
そう言うとパイセンは、オレの手を握った。
「………!!」
「今日1日、この手を絶対に離すなよ」
そういうパイセンは、とても格好良かった。
オレの胸が高鳴った。
確かにパイセンは、普段は美少女で、どこか残念なところもあって。
でも本当は男らしくて、厳しいけど優しくて。
心臓の鼓動は治まる事を知らなかった。
やべぇ…
どうしよ…
好きだ
パイセンが
どうしようもなく
大好きだ