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ゆりばらっ!!  作者: フローラブルーム
2/11

第2話 お前が言うな

「おはよう、花咲さん」

「お、おはようございやす、庭園パイセン」

翌日、オレ(花咲ゆり、16歳)は学校で庭園(にわぞの)薔薇(そうび)パイセン(17歳)と会った。

オレが誰かに言わないか見張るらしい。言ったら抹殺されるみたいだし、脅されなくとも言わない、つか認めてなるものか。

「____花咲、言ったら」

「はいはい、分かってますよ」

すれ違い様にパイセンがオレの耳元で男声でささやく。オレはそれに返事をした。

途端に女声でそれじゃ、というパイセンに呆れ、オレも彼女の後を追って昇降口へと歩き出した。


これが、学校一の美少女で「男」な彼と、学校一男っぽい「女」なオレの日常である。


「どういう事?何でゆりりんが庭園先輩と?」

オレの親友-(むらさき)陽花(ほのか)が尋ねた。

志倉芽(しくらめ)がゆりりんの事睨んでたよ?ほら、アイツ庭園先輩にベタ惚れしてるでしょ?」

「…確かに、オレの事男だと思ってるもんな…あ」

「どうしたの?」

そういや庭園パイセンって、オレが女だって知ってるだろうか…


「花咲さん」

「うぉっ」

ビビった。いきなり出てくんなよ、心臓に悪い。

「何スか?あっ、丁度良かった。確認していいスか?」

「何を?」

「あのー」

その時。

「は・な・さ・きぃ〜」

「ギャアァァァ〜!」

後ろから志倉芽がオレの肩に手をかけ、殺気を放っていた。

「?どちら様?」

「う、うちのクラスの志倉芽陣…パイセンの大ファン…」

「てんめぇ、俺の許可もなしに薔薇様に近づきやがって…」バキボキ

「おおお、落ち着けや!」

「落ち着けるかぁぁぁ!!!!」

結局、その時は逃げ回ることに…


放課後、フラワーガーデンに来たオレ。

「…庭園パイセン…」

「さっきの子からは逃げられた?」

「逃げられてたら包帯巻いてやせんよ…」

「………で、さっきは何言おうとしてたの?」

「あのぅ…気づいてないでしょーけど…






オレ、こう見えても女っス」


一瞬、沈黙の時間が流れた。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ?」

「やっぱ知らなかったんスね…」

「分かるか!そんな男同然の格好をして…性別詐欺だ!!!!」

「だとしてもパイセンだけには言われたくないっス」

何しろパイセンは学校一の美少女であるにもかかわらず男…言わせてもらおう。お前が言うな。

「嘘だろ…お前女だったのかよ…」

「要するにパイセンの逆。いや、逆じゃない所もあるけど、とにかく男ではないっす」

「…マジか…」


続く…

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