1輪目 始まりはいつだって突然すぎる
リメイク版1話〜!
「花咲君好きです!私の彼氏になってください!」
…また女子に告られた。
「…あのさ、僕一応女なんだけど」
「だって!花咲君よりカッコいい男なんていないんだもん!」
「えぇ…」
昔からいっつもそうだ。僕を女として見てくれるのは、幼なじみで親友の紫陽花だけ。他はどいつもこいつも男扱いしてきやがる。
確かに僕は短髪だし、背も高いし、おまけに顔も口調も男っぽい。だけど、僕だって歴とした女の子なのだ。
「はぁ…」
ため息をつきつつ家に帰るーはずが、全然知らない景色があたりに広がっている。
ちくしょう!僕め、また方向音痴発揮しやがったな!
「あれ、花咲君?」
声をかけられて振り向くと、同じクラスの庭園薔薇が立っていた。
「ヒェッ」
「あ、ごめんなさいね急に…困ってるみたいだけど、どうしたの?」
「家に帰ろうとしたんだけど、道が分からなくなっちまって…」
「あらら…どこら辺に住んでるの?」
「えーっと、住所が…」
僕はスマホに住所を打ち込んで、庭園に見せる。
「…あら、私の家と同じ方向ね。じゃあ、送っていってあげるわ」
「うぅ…かたじけねぇ…」
僕は申し訳なさを感じつつ、庭園の優しさに甘える事にした。
次の日、僕は家の前で待ってくれている陽花と合流する。
「ゆりりんおはよう、昨日は一緒に帰れなくてごめんね」
「おはよう陽花。部活の練習があったならしょうがねぇよ、それに庭園のおかげで何とか帰れたし…」
「え、庭園って庭園薔薇さん!?何があったの!?」
「道に迷って途方に暮れてたら助けてくれたんだ」
「そ、そっか…気をつけてね?庭園さんに惚れてる男子に嫉妬されちゃうから…」
「あぁ…あいつら下手したら殺しにきそうだな…」
そんな事を話しながら学校に着くと…
「おはよう花咲君」
「ヒュッ」
何と、庭園の方から僕に話しかけてきた。
「お、おはよう庭園…」
うわー!男子たちがあからさまに僕を睨んでいる!怖い!
「ふふ、実は前から花咲君の事気になってたの。だから、話すきっかけができて嬉しいわ」
「は、はぁ…」
ヒィ…遺書書いておこうかな…
「そうだ、花咲君はお花って好き?」
「えっ?好きだけど…ほら、僕の名前も『ゆり』だしな…」
「よかった!じゃあ今度、母が経営してる庭園に来てくれない?」
「!?」
満面の笑みでそういう庭園の誘いを、僕は断れそうになかった。
「…お、おぉ、いいぜ…」
やだー!僕殺されたくなーい!
…この時の僕は知らなかった。この出来事は、これから始まる物語の序章に過ぎない事に…




