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PRTオンラインへの誘い


「PRTオンライン? 聞いたことないな」


喧噪に包まれた昼休みの教室。


俺は、幼馴染でクラスメイト、かつ隣の席と三役揃いつつも、

その他の要素で「あっ、ないわ」と思わせる残念系少女、

もとい一人のゲーム仲間と話をしていた。


「うん、PRT! 今クラスの女子の間ですごく流行ってるMMOなの!」


この残念系幼馴染さん(以下残幼と呼称)は昔からゲームが大好きである。


時間が許せば、あのRPGがどうだとか、このAVGのヒロインの属性は

ツンデレクールだとか、聞く人が聞けば英語より難解な母国語を連発して

いるが、その人当りの良さのせいか、

何故か周囲から浮かずに打ち解けている。


――俺がやったら引かれた訳だが。


閑話休題


それはともかく、大のゲーム好きの彼女が勧めるMMO、

しかも俺のまだ知らないゲームとあっては、先日MMOから泣く泣く

巣立ちを迎えた俺とはいえ、興味が引かれない訳ではない。


「いや、未練とかないけど。全然MMOに未練とかないけど、

 残幼がそこまで勧めるゲームはちょっと気になるな。未練はないけどさ」


「――何で三回言ったのかは聞かないでおいてあげるけど、

 ザンオサって何よ」


あっ、いけね会話に呼称使っちゃったわ。と軽く心の中で謝罪して

俺は幼馴染のほうを見た。


「んー? 聞き間違いじゃね? ちゃんと”名前”で呼びましたよ、隊長」


「隊長じゃないしっ、あと名前で呼ばれたことも一度もないんだけど」


あれ?なかったか。少し考えるフリをして辺りを一瞥すると、

周囲の「もうその辺りにしといてやれよオーラ」に気が付いて、

改めて口を開いた。


「まぁそうだな。これ以上≪ナナミ≫をからかうと後が怖いからな。

 物理的な意味で」


「分かればよし」


残幼さんは、軽く頷くと、次の瞬間には目を一杯に開き、

興奮した様子で俺に詰め寄ってきた。


「話しを戻すねっ! さっきも言ったけど、PRTオンライン!

 最近オープンベータが終わって正式サービスが始まったんだけどさ。

 すごく面白そうなのよ、これがっ」



オープンベータってのは、MMO用語だ。


簡単にいってしまえば試験期間中のことを指す訳で、

MMORPGは、クローズドベータ、オープンベータがあって、

正式サービスの流れが主流となっている。


MMORPGはネットワークを使用しているため、サーバーにアクセスが

集中すると、マシンに負荷がかかりすぎてフリーズする。

そういった性能検証を行うための試験期間、それがオープンベータだ。



「でねっ! 私も今までは、PCのスペック上の都合でオフラインゲーム

 一筋だった訳なんだけど。この度、3か月分のお小遣いを注ぎ込んだ

 ”ニューマシン”が家に届いてねっ! これを機に、ずっと前から

 やってみたかったMMORPGについに手を出しちゃおうと、

 こういう訳なのっ!」


「あっ、田中のサンドウィッチ上手そうだな」


「「聞けよっ(やっ、あと俺は鈴木だっ!)」」


同時ツッコミとは、レベルが高い。

我がクラスの連携技は全校2くらいだな、きっと。1位は知らんけど。


「分かった。分かった。でっ、そのPRTオンラインだよな。

 聞いたことないんだけど、何の略称?


 パンツ・リアル・トレードオンラインとかなら、先日MMOを

 引退したばかりの俺が参加するのもやぶさかではないが」

 

「「「「変態かっ(じゃんっ)」」」」


「「「「てか、オンラインですらねええええ」」」」


今度は近くのクラスメイト全員からツッコミが入った。

俺、人気者すぎて生きるのが辛いな。



「うん、分かったって。で何の略称なの?」


残幼ナナミーンはコホンと一息つくと、零れそうな笑顔で話しを続ける。


「PRT、プリンセス・オブ・ラウンドテーブル・オンラインは、

 アーサー王物語に登場する円卓の騎士をモチーフにした”円卓の姫”

 とその姫に連なる7人の”近衛騎士”から構成される、

 姫と騎士と竜の物語を描いたゲームなのっ」


「すでに会員登録数も50万人を突破していて、注目度No1って

 言われているんだよっ! だから亨が知らなかったっていうことに

 驚きだよっ! あんなにMMO大好きって普段から騒ぎまくっている

 のに……」


――いろいろあったんだよ最近は特にさ。

ネットでも、……リアルでもな。


「だからねっ! 亨もやろ! 絶対後悔させないってっ!」


傍でなおも騒ぎ立てる残幼ナナミーンの話をぼーっとした様子で

聞いていた俺は、この時まだ何も気が付いていなかった。


このゲームに関わることで、俺の人生が大きく変わっていくことに。


そして、廃人としてゲームを一度は退いたはずの俺が、

MMO初心者の幼馴染と共に歩んでいくことになる苦難の旅に。

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