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第五話 頼む 入れてくれ

学校到着~。しかし、中々入れないのであった…。



「だからねぇ…君。学生証がないと中には入れられないんだよ。分かる?」

「何度も言うけど、俺編入することになったから、まだそんなもん持ってないんだって。」

「編入ねぇ~、そんな話誰からも聞いてないし。君、嘘ついてるんじゃないの?その制服の出所も教えてもらおうかなぁ。」

「制服だけはなぜか知らんが、事前にもらえたんだよ…。もういいよ。校長呼んでくれ、校長。」

「君みたいな不審者を、会わせられるわけないよ。ちょっと守衛室まで来てもらおうかな。」


 俺の心境。


 手続きくらいすませとけええええええええええええ!


 口裏ぐらい合わせとけえええええええええええええ!


 制服より学生証だろおおおおおおおおおおおおおお!


 と、いう感じ。

 プチ幸せ感満載な気分で青鹿亭を出て、思ったより遥か遠くにあったローランド魔剣学校に辿りついた俺を待っていたのは、中年太りの脂がのった守衛のおっさんによる洗礼だった。

 学生証なんて持ってねぇよ…。

 なんでおっさんは最初に制服だけ支給したんだよ…。

 怪しさが増すだけじゃねぇか。


「さぁ、来るんだ」

「やだよ。頼むから確認とってくれ。」

「ええい、往生際の悪い不審者め!来るんだ!」

「や、やめろ。脂ぎった手で触んな!」

「何を言うか!艶々の肌だろうが!」

「それはギラギラって言うんだアッーー!」


 気絶させるか…?身の危険を感じた俺が、本気でそんなことを考えていると。


「何の騒ぎですか?ダブリンさん。」

「やや、これはシュリア様。」

「様はやめて頂戴。私はただの生徒ですから。それで…いったい何の騒ぎ?」

「この不審者が制服を着て、学園内に侵入しようとしたものですから…。」

「まずは事情をちゃんと聞いてからにしましょう。名前を教えてもらえるかしら?」


 俺の目の前に立ったのは金髪のちょっときつい感じの生徒だった。顔は申し分ない。若干レイナさんと被る気がするが、こちらは強烈な印象を与える。


「今度ここに編入する予定のアキ・ハルト。」

「編入生…ね。学年は?」

「高等部2年のはず。」


 実際問題俺は自分の年齢を正確に把握していない。

 小さいころ、シュナイダーのおっさんに拾われた時に正確な年を覚えていなかったので、大体○○歳で通している。


「おかしいわね。そういう通達は、生徒会長である私にも入ってくるはずなんだけど。」

「やっぱりこいつは不審者ですよ!間違いない!」


おお、生徒会長だったのか。通りで気品とか何やらがあると思った。


「急な話だったから、知ってる人が少ないのかもしれねぇな。とりあえずバビルとかいう学園長に会わせてくれ。」

「だから!お前みたいな不審者を学園長に…。」

「いいわ、私が連れて行きます。」

「そんな、シュリア様。危険です!」

「たとえ途中で襲われたとして…私が…負けると思う?」


 ざわっ。局地的な魔力の圧力が俺と守衛のおっさんを襲う。腰を抜かして倒れるおっさん。俺は反射的に同質の魔力で打消し、涼しい流れに身を任せる。試されたな…。


「やるわね。」

「お褒めに預かり光栄ですってね。」

「…ダブリンさん。彼は大丈夫よ。むしろ、編入してくれることを喜ぶべきだわ。」

「へっ、へ、はい」

「それじゃあ引き続きお仕事をよろしくお願いしますね。では失礼します。」


 ついて来て頂戴、と腰を抜かしたままのダブリン氏(腹のたるみ具合からつけられた名前だろうか)をしり目に歩みを進める生徒会長。

 気になったんで潜在魔力量を調べてみるが、成程、こいつは強い。さっき出会った連中といいこの学校は人材が豊富なようだ。


「いや、どうもありがとうございます。正直あのおっさんにはビビりました。」

「あの人…仕事は熱心なんだけどたまに行き過ぎるところがあるのよね。あら?敬語使えるの?」

「ええ、まぁ。さっきのおっさんに敬語使うのは癪でしたが、助けてもらった人間に使うのなら抵抗ありません。少し、苦労しますが。」

「別にいいわよ。私は気にしないから。ただ、学校の中には気にするものもいるかもしれないから気をつけるのを勧めるわ。」

「そいつは…どうも。んじゃ遠慮なく。よろしくお願いします。会長。」

「ええ。」


 校舎の中を進んでいると、生徒たちから奇異の目で見られまくった。気の流れで分かる。


 おい、誰だよあれ

 シュリア様と一緒にいるぞ

 何なのかしら

 うらやましい…くそ

 俺も近づきたい…くそ

 殺してやる…ファッキン


 という声が聞こえてくるようだ。


「会長…大人気っすね。」

「確かに見られてはいるけど…あなたが珍しいんじゃない?」

「いやぁ、そんなことはないと思うんだけどなぁ。」


 暫く歩いているとキザッタらしいなりをした優男が話しかけてきた。俺の方を見る目には若干の訝しみがはいる。


「これはこれはシュリア会長。本日もご機嫌麗しゅう。」

「こんにちは、バート君。」

「…お隣の生徒は誰でしょう?」

「編入生よ。校長先生の所へ案内しているの。」

「そうでしたか!それなら私がお連れいたしましょう。シュリア会長のお手を煩わせるまでもありません。」


 キザ男(仮)がしきりと俺の案内をしようとしてくる。…まさかこいつそっちのケがあるのか?やばい、なぜか臀部が緊張する。


「大丈夫よ。彼は私が案内するわ。」

「しかし、会長はお忙しい身。やはり私が…。」

「あ~、どっちでもいいが、この喋ってる時間の方が無駄なんじゃなかろうか?」

「それもそうね。早く行きましょうか。またねバート君。」

「あ、会長…!」


 俺と会長はさっさと進む。キザ男(仮)が壮絶な目でこちらを見てた気がするが、無視無視。俺にそのケはありません。

 その後は特に声をかけられたりすることなく、綺麗に掃除された校舎内を進む。土魔法と水魔法の保護のおかげで、古い建物のはずが新品同様なほど輝かしい。金かかってんなぁ。

 おっと、どうやら校長室は学校の中心部にあるらしい。どんどん奥に進む俺たち。

 他の部屋とは、少し違った装飾のある部屋の前で会長が止まる。


「ここよ。準備はいい?」

「任せてくれ。腰の低さにかけては折り紙つきだ。」

「とてもそうはみえないのだけど…まぁいいかしら。」


 こんこんこん


「校長先生、セリス・シュリアです。編入生を連れてきました。」

「入りたまえ。」


 中々に年季のはいった爺様の声が聞こえた。うぅ、なんか緊張するな。

 先に入った生徒会長に続き、俺は部屋の中へと足を踏み入れたのであった。





最近文字数が増えてきた気がします。この先増えるのか…。どっちがいいかな?

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