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第十六話 呼び出し くらう

お気に入り10人ありがてぇっす。

 



 その後の授業は至って平凡に進んだ。

 平凡とは言っても、それはあくまでも剣士にとっての平凡である。

 

 腕立て、腹筋に始まる筋トレ

 素振りなどによる反復練習

 反応速度を高めるための回避訓練


 はっきり言ってスポーツマンがやるような地味な訓練ではあるが、魔剣士として将来を嘱望され、魔法を重視してきた連中には辛いことだったに違いない。

 甘やかされて育った貴族の方々はぶつぶつ言いながら訓練を続けていた。

 ま、目の前で魔剣士が魔法を使わないおっさんに、完膚なきまでに叩きのめされたのを見ればやらざるを得ないか。

 俺はというと、この手の訓練は昔死ぬほどやらされたので、ぶーたれることなく難なくこなしていく。

 んしょ、んしょ、どっこいしょ。

 え、おっさん臭いって?…気苦労が多いんだよ。まぁ許せ。

 近くでは個人的に友人と呼ぼうと思っている連中も訓練に打ち込んでいた。


「明日は、はぁ、筋肉痛になりそうね。」

「そうか?俺はこれくらいなんでもないが。」

「ウォード君は肉体派だからね。」

「褒め言葉として受け取っておこう。」

「ガチ…ムチ…。」

「アリスちゃん、それは危ない気がするからやめよう。」

「どう…して?」

「お、大人の事情だよ。」


 ふむ、まだ浅い付き合いだが、何となくルイスはアリスちゃんを気にかけている雰囲気がある。まさか…いやどうだろう。…まぁいいか。

 おや?先ほどまで他の連中をどやしつけていたゴリン教官がこっちへ来たぞ。


「おう、お前らはこの位のメニューを軽くこなせるみたいだなぁ。」

「軽くは、ないです、けど。」


 腹筋をしながら答えるクレア。ちょっとえっちだと思ってしまったのは俺だけだろうか。

 く ぅ、これが年齢=彼女いない歴の悲しい性だろうか…。俺も腹筋しよ。

(おい、お前)

 今まで仕事ばっかりだったから、誰かとお付き合いする機会もなかったしさ…。

(そこのお前だよお前)

 顔はそこそこいいと思うんだよ。でも経験値が圧倒的に足りないというか。

(…この野郎、いい度胸だ)

 任務と並行して、薔薇色の学園生活が送れればいいなぁ…。


「そこの白髪野郎!」

「誰が白髪だぁあ!」

「ほぅ…、教師に口答えするか。」

「あぁ、いやぁ、今のは何かの間違いで…。」

「アキ・ハルト。後で教官室に来い。」


 恐ろしい顔で、そういう発言をするゴリン教官。

 今の俺の状況を文字で説明するならこれだな。


 orz


 いや


 OTL


 か?


 腹筋の姿勢から情けない腕立ての姿勢へと移行すると。

 ルイスの野郎が笑いながら


「1名様ごあんなーい」


 とかほざきやがった。うるせぇこの野郎。あることないこと言いふらしてやる~。

 おや?何だか分からんが、クレアが心配そうな顔で俺のことを見ている。


「どした?クレア」

「あ、いや、大丈夫かなぁって。」

「…まぁ死にはしねぇだろ。」

「ぼうっとしてたみたいだけど何考えてたの?」

「女の子のことを考えていた。」


 正直にいった途端、クレアの顔が急に不機嫌になる。

 な、なんだ俺何かしたか?はっ、えっちな目で見てたのがばれたのか!?

 いやいや、そんな不純な動機で見てたわけでなく単純かつ複雑な学術的視点に立って君の姿を見てから生まれた欲求が俺を狂わし、意識をはるか遠くへと…。

 などと一瞬のうちに意味不明なことを脳内で形成するが、口に出すことはなかったので


「へ~、注意力がなくなるほど女の子のことを考えてたんだ。そう。」


 不機嫌な顔をしたままどこかへ去って行ってしまった。

 不慮の事故から庇った時には好感度が上がったような気がしたが、俺の迂闊な発言でむしろマイナスにまで下がってしまったのかもしれない。あぁ、憂鬱。

 …それもこれも訓練中に話しかけてきたあのゴ○ラが悪いんじゃなかろうか。

 そうだよ。あの時俺の妄想がひと段落するまで気を使ってくれていれば、俺は呼び出されることもなかったし、好感度を落とされることもなかったんだ。ぷんぷん。

 まぁ仕方ねぇ、騒ぎを大きくするわけにはいかんからなぁ。しぶしぶだけど、いくかぁ。


 授業が終わり、長い休み時間が始まる。

 俺はクラスメイトに教えてもらった実技教官室の扉を叩いた。

 こんこん


「授業中に呼び出し食らったアキ・ハルトです。ゴリン教官はいらっしゃいますか?」

「おう入れ。」

「失礼しま~す。」


 ごちゃごちゃとした物置といった感じの室内にはゴリン教官その人しかいなかった。

 にやにやとした笑みを浮かべているのが気になる。

 なんだろう…俺何されるのかな。怖いぜ少し。


「さて、お前を呼んだのは他でもない。授業中に教師に暴言を吐いたことはもちろんだが…。別の用事があってな。」

「はい?何ですかそれ?」


 何を言うつもりだ?このゴリラさん。

 心なしか圧力が増してる気がしないでもないが…。


「とぼけるこたぁないぞ。なぁ、聖王国特務騎士団の小僧よ。」


 言葉が終わるよりも早く俺はゴリン教官に向かって駆け出した。






まさか!教官!?

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