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第十五話 教官 すげぇ強いな

よし、宣言改め通り夜には書けたぞ~

 



 デジャヴ気味ではあるが、先ほどの約3倍の距離をとる2人。

 かたや真剣かたや素手。

 不公平この上ない勝負ではあるが、素手のおっさんの方が余裕で笑っていた。

 真剣を持って、魔法を使う気満々のキザ男の方が気色ばんでいる。


「では、行きますよ。」

「おう、かかってこい。お前が攻撃を始めたら俺も動くからな。」

「風よ!」


 おお!実戦さながら、相手の話を最後まで聞かずに攻撃を始める姿勢には賛同するよバート!

 ゴリン教官に向かって縦向きの風の刃が襲い掛かる。

 あら~、あれ当たれば死ぬレベルだぞ。いいのかね?

 一瞬で迫ってくる風の刃を笑いながら避けるゴリン教官。よかったよかった。

 ちなみに2人は魔法を無力化する部屋の様なものの中で戦っているため、風の刃は見学者に当たることもなく消える。

 これを作ったローランドはすげぇな。


「ほれ、どうしたどうした!次の攻撃はまだか?」

「くっ」


 おお、今度は横向きの風の刃か。避けづらくしたのを放つのね。でもそれだけじゃ無理そうだぞ~。


「まだまだ!」


 一本だけじゃなく、縦横無尽に放ち続ける。連発できるだけの実力はあるわけか。

 どうやら彼は風属性の魔法が得意なようだ。

 しかし、制御が甘いのか所々に隙が見える。避けれるだけのスペースがあるのだ。


「がっはっは。そんな打ち方じゃ当たらんぞ。」


 飛んだり跳ねたり、しゃがんだり。見事な体術で次々と攻撃を躱していく教官。じりじりと距離を縮めていく。

 まさに風のジャングルジムで遊ぶゴ○ラ。

 中々当たらない。


「これなら…どうだ!」


 業を煮やしたキザ男は戦法を切り替え、威力を落とした広範囲の突風を放つ。確かに、これなら避けようがない。

 ゴリン教官ついに終わりか!


「甘いわ!はっ!!」


 何と教官、風の塊に拳を叩き付け魔力を拡散させてしまった。

 あまりに常識外な展開に一同言葉を失う。


「いいかぁ!いくら魔法とはいえ、魔力によって引き起こされている物理現象にかわりはない。弱い魔法ならば、気によって魔力の構成を乱すことで打ち消すことができる!覚えとけ!」


 いやまぁ、それはその通りなんだけど、そんなことができる剣士なんかほとんど存在しないわけで…。

 あのおっさんも大概化け物だな。常識ってもんが欠けてやがる。

 解説しているうちに互いの距離は5メートル近くまで来ていた。

 ここまで来れば魔法に頼る意味は最早ないといえる。

 焦った表情を浮かべ詠唱を早く終わらせようとするキザ男。

 だがしかし、おっさんは余裕しゃくしゃくでそれが終わるのを待つ。

 舐められていると分かったのか、顔を憤怒に染めキザ男は詠唱を終える。


「…形をなせ!炎刃!」


 生み出されたのは火の力。

 魔力はキザ男の持っている刀身に纏わりつき、赤く染まる。


「バート君…あれ使えたのね。」


 ぽつりとクレアがつぶやく。

 そう、キザ男が使ったのは以前クレアが傭兵を捕えるのに使用したのと同じ魔法だった。


「まぁ、いいんじゃないか?魔力密度はクレアの方がずっとでけぇし。」

「そうなの?そこまで違いがあるようには見えないけど…。」

「なんとなくだ。なんとなく。」


 危ない危ない。普通の奴にはそうそう違いが分からないんだった。

 見た目こそ似ているが、そこに込められている魔力の濃さに大きな差がある。

 これを俺は魔力密度と言ったわけだ。

 同じ炎でも温度で威力は変わるだろ?

 砂や岩にしても、種類によってその硬さは全然違う。

 表面は同じでも中身が違うとはこのことだ。

 普通は外面しか見えないし魔力はうっすらとしか感じられないから、よっぽどの差がない限り試してみるまで分からないが、俺は分かるんだなぁこれが。


「正直…あれは…危険。」

「大丈夫かなぁ?先生」


 アリスちゃんとルイスが不安そうにつぶやく。(ルイス~しらじらしいぞ~)

 でもまぁ、一体どうする気なのかねぇあの先生は。


「行きますよ!」

「いちいち言わなくていいって。見りゃわかる。」


 あくびでも浮かべそうな顔で、相手の攻撃を待っていたゴリン教官。

 振り下ろされる赤い剣。当たれば死ぬのは免れない。

 目の前に迫る死に対して、教官の取った行動は…。


「温いわぁ!」

「いぃ!!??」


 手刀でたたき折るでした。

 真上から振り下ろされる剣の横っ腹に、剣速以上の速さの手刀を叩きこんだゴ○ラ。

 すげぇことするなぁと思った矢先、鍛え抜かれた俺の目は信じられない光景を目にする。

 なんと、叩き折られた剣先とキザ男の手元から吹き飛ばされた柄と残った刃がこちらのほうに飛んでくるじゃねぇか!

 瞬時に軌道を計算。

 当たるのはクレアとアリスちゃんだ。

 このスピードに反応するのはそこそこ強い二人でも厳しいだろう。

 ちぃ、ダメだ!位置的に近い方しか止めらんねぇ。

 俺は心の中で何とかしろよ、昼行燈!と叫びながらクレアの方に飛んできた剣先のみを片手でつかみ取る。

 うし、上手くいった。怪我でもしたらカッコ悪ぃからな。

 隣を見るとルイスが痛がっていた。

 あぁ成程。柄の方に偶然を装ってぶつかったのね。その根性に敬服するぜ。

 アリスちゃんに『助かったけど…カッコ…悪い』と言われているのはご愛嬌だろう。


「あ、あの…ありがとう」


 びっくりした顔でクレアがお礼を言ってくる。


「あぁ、気にすんな。成り行きだ成り行き。」


 同じようなセリフを最近言った気もするがまぁいいか。好感度が少しでもあがるといいなぁ。

 こっちに剣を飛ばしてきた張本人(超犯人ともいう)ゴリン教官が近づいてきた。


「すまんすまん。ほんとなら真上に飛ぶはずだったんだが、あいつの握力が弱くてな。吹き飛んじまったんだ。」

「あ~、いいっすよ別に。怪我なかったんで。」


 遠くを見ると憮然とした顔で剣の破片を拾っているキザ男・バートがいた。

 かわいそうに…みんなの前でぼこぼこにされて剣まで折られて。よよよ。


「よぉし、分かったなお前ら!大事なのは体術だ!これができとらんと魔法を使う間もなく殺されるからな。」


 どうやらこの肉体派の先生からは学べることもありそうだ。

 授業に対する意欲を高める俺がそこにはいた。




そろそろ主人公戦うのかなぁ。

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