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第十四話 教官 強いな

忙しかったので、しばし空いてしまいました。

 



 

 床にひかれた白線を挟んで対峙するゴリン教官と男子生徒。その距離約10メートル。

 互いに木刀を持っているが、この距離を指定したのは教官その人だった。


「いいんですかゴリン教官?」

「何がだ?」

「この条件は自分に有利すぎる気がします。」

「おいおい、何言ってんだ自分に有利な条件だったら嬉しいはずだろ?」

「それは…そうですが。」

「がっはっは!言いたいことはわかるわかる。その気概も認めるがこれは授業だ。先生の言うことを聞いとけ。…構えろ。」


 瞬間あたりに殺気が満ちる。大半の生徒が無意識のうちに一歩身を引いていた。

 魔力の様に直接的に体に影響のないはずの力なのに、これだけの人間を動かす殺気に俺は感心する。

 隣のルイスをちらっと見てみると、大半の生徒と同じように一歩身を引いていた。

 なんちゅうか、律儀に演技する奴だなぁ。何があってこんな奴になったんだか…。

 ちなみに、教官と対峙している男子生徒は殺気をその身に受けながらもしっかりと前を見据えていた。

 構えは正眼。どんな状況にも対応できるようにする腹積もりらしい。

 その姿を見て、教官も満足そうな笑みを浮かべる。


「いいぞ。若いもんはそう来なくっちゃなぁ。」

「いつでも…どうぞ。」

「そうか?んじゃ」


 んじゃ、と軽くつぶやいた瞬間、教官の体はすでに男子生徒の後ろにいた。

 男子生徒が反応しようとしたときには背後から首に木刀を突き付けられている。


「ほい。これで死んだな。」


 男子生徒は何が起こったのかわからず、必死に頭を働かせようとしていたが、動けないでいた。頬を汗が伝っている。

 そのまま固まってしまった生徒に向かって教官が優しく言う。


「さ、こういう時はなんていうんだった?」

「ま、参りました…。」

「そうそう、いい子だ。がっはっは。」


 辺りにざわめきが満ち溢れる。


 いつ動いたんだ?

 早すぎるぞ…。

 魔法使ったのかしら?

 いや、魔力は感じられなかった。


 などど言った声。

 そして一歩踏み込んだ声。


「純粋な素早さかしら?」

「それだけではあるいまい。」

「一瞬…気が…高まった…。」

「ルイスとアキはどう思う?」

「僕には見当もつかないよ。何が起きたかもさっぱりだ。」


 しらじらしい!しらじらしすぎるよこの人!

 まぁいいや。俺なりの結論を述べておくことにしよう。


「素早さを上げたのは気によるものだろうが、目に映らなかったのは多分『歩法』だな。」

「歩法?」

「簡単に言っちまえばただの歩き方だよ。教官がやったのは、飛ぶようにして近距離をくそ早く移動する歩き方。多分1歩であそこまでいったな。」

「そんなものがあるのか…。便利だな。」


 俺の発言に食いつくウォード。どうやら戦闘に関することについては目がないらしい。


「他にもいろいろあるぜ。重心まったく逆に見えるようにして、相手の予想と反対に動く移動法とかな。」

「よく知ってるな。独学か?」

「いんや、師匠の受け売り。いくつかは俺もできる。」

「今度教えてくれないか。出来るようになりたい。」

「教官に頼もうぜ。先生なんだから。」

「それもそうか、いやすまなかった。」


 礼儀もしっかりできている。今時の帰属には珍しい若者か?いや老け顔だから若者は違うか…。


「何か失礼なことを考えていないか?」

「いや全然。」


 ふと、中央に目を向けると何やらひと悶着ありそうな雰囲気が漂っていた。

 中心にいるのは…キザ男のバート君だよ。

 クラスの連中にいいところでも見せたいのかねぇ。


「教官、僕も一手ご指南いただけるでしょうか?」

「おう、構わねぇぞ。条件はさっきのでいいか?」

「いくつか変更をお願いしたいのですが。」

「好きにしていいぞ。」


 にやりと笑うキザ男。

 こいつぁ何か良からぬことを考えてるなぁ。


 キザ男が追加した条件は複数。

 どれもこれも自分に有利になるものばかり。


 1つ。彼我の距離は30メートル。

 2つ。攻撃は自分行うから。

 3つ。自分は真剣を使う。教官は木刀のまま。


 といった内容だった。

 よくもまぁ恥ずかしげもなくこんな条件を提示できるものだと思うが、キザ男本人の弁を借りていうならば


「僕は魔法の方が得意なので、その位の距離は欲しいですねぇ。勿論、詠唱には時間がかかりますから攻撃の開始は僕からで。あぁそうそう、いつも使っている真剣の方が何かと都合がいいので使わせてもらいますが、よろしいでしょうか?」


 対等の人間だったら笑ってしまうような条件だったが、向こうは教官、自分は貴族で生徒ということから正当化を図っているらしい。

 この発言に教官は笑いながら


「構わんぞ。何ならもっと有利な条件をつけてやろう。俺は素手でいい。」


 これには生徒一同(俺も含め)びっくりしてしまった。

 いくらなんでも素手は危険すぎるのではないだろうか?そんな考えが皆の頭をよぎる。


「きょ、教官がそうおっしゃるなら僕は構いませんが、怪我をしても知りませんよ?」

「別に殺してもいいぞ。がっはっは。」


 さて、名もなき男子生徒と教官との対戦から今度は一転して、名のある男子生徒キザ男・バートと教官の模擬戦となってしまった。

 どうなるどうなる?




今日は夕方にもう一つ、投稿しましょう。(やっぱり夜にしようかしら!)

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