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第十三話 実技 どんなんでしょ

そろそろまた戦闘がおこる予感です




 校舎を出て、約5分程度移動した先は広大な敷地面積を誇る建物だった。

 建物の壁面には複雑な紋様が掘り込まれており、魔的な防御が施されている模様。

 ぱっと見た限りでは主に内から外への力を封じる感じか。

 物珍しそうな俺の様子が気になったのか、クレアが説明してくれる。


「実技の授業はここで行うわ。初めて見たときは紋様に私も驚いたわよ。中の影響が外に漏れないようにするための物らしいわね。あ、ここは一応修練場って名前ね。」


 そう言って指差した場所には古めかしい汚れた文字で『修練場』と書かれていた。


「いやぁ、汚ねぇ字だなぁ。」

「…創設者のローランドその人が書いたそうよ。」

「いやぁ、こんな霊験あらたかな字見たことねぇよ。記念に持ってかえりてぇ。」

「変わり身早いわね…。」

「長いものには巻かれましょう。Byアキ・ハルト」

「君はそんな人間には言えないけどね…。」

 

 ちゃっかり拝みつつ修練場の中へと歩みを進める俺たち。

 その過程で話を聞いたところ、この施設は創設当時から存在しており、創始者であるローランドが積極的に関わって作ったものらしい。

 魔法の訓練は命に関わるし、周りにも影響が広まるのは自明である。

 そのため学校を設立するに際し、この修練場にはそうとう気を使ったそうだ。

 質素な扉をくぐり抜け中に入る。

 ふむ、外から見た通り、中も広い。

 おや?てっきりただ広いだけの空間かと思いきや中が透明な部屋で小分けされてるぞ。


「中は区分けされてるんだな。」

「授業は…うちのクラス…だけじゃない…から。わけられ…てるの。」

「おお、そうかそうか。長台詞喋らせて悪かったな。」

「…ぶい」


 かわいいぞこいつ。お持ち帰りしたくなる。

 そんなある意味よこしまなことを考えていると、続々とクラスメートが集合しだした。

 どうやら授業が始まるらしい。

 控室らしきところから、毛むくじゃらのおっさんが現れた。…獣人?


「おう!ウォードがいるってことはトリプルのヴァイスだな。いいなお前ら!気合い入れて行けよ!」


 大音量のがらがらの声が修練場に響き渡る。思わず俺は顔をしかめるが他の連中は慣れた様子で平気そうだ。小声でルイスに聞いてみる。


「あのおっさん獣人?」

「本人にいったら間違いなく殺されるから注意しようね。あの人はれっきとした人間のゴリン教官。実技担当。」

「あれで研究職だったら悪夢だぜ」

「実技の教官はもう1人メイボル教官って人がいるんだけど、ゴリン教官が教えてくれるのは実は今日が初めてなんだ。普段はメイボル教官の隣で授業の補佐ばかりしてたんだけど。」

「へ~。」

「こらそこぉ!何をくっちゃべっとるかぁ!」


 やべ!?小声のおしゃべりが見つかっちまった。

 ルイスは苦虫をかみつぶしたような顔をしている。

 心の準備をする暇もなく獣人ゴリンが現れた!(嘘)


「ん~、貴様見ない顔だな…。もしやスパイか!」

「短絡的すぎるわ!」


 思わず突っ込む俺。だがまぁ、私語をしていたのは事実。謝罪はせねばなるまい。


「今日から編入することになったアキ・ハルトです。修練場について分からないことがあったので、質問していました。申し訳ありません。」

「あ~編入生。確かにそんな話を職員会議で聞いた気がしないでもない気がしないでもない。」

「どっちだよ!」


 いかんいかん、思わずまた突っ込んでしまったではないか。このおっさん本当に大丈夫か?


「まぁそんな細かいことはどうでもいい。重要なのはお前がここで俺の授業を受けようとしているということだ。編入生だろうが新入生だろうがスパイだろうが、お前が今までどこでどんな訓練をしてきたかは知らん。だがここにはここのルールがある。従ってもらうぞ。」

「うぃっす(もう敬語めんどいや)。」

「ふぅむ、重心のバランスや体つきを見る限りそうとうやりそうだが…。詳しいことはよく分からん!後でたっぷりと見せてもらうぞ…」


 不吉なことをいいながら遠ざかっていくゴリン教官。

 ほっと一息をつく。

 よかった。


 『後で教官室に来い…。大事な話がある。』

 『せ、先生何を!?』

 『よいではないかよいではないか。』

 『あーれー』


 な展開にならなかったことに感謝をささげる。神様ありがとう。信じちゃいないけど。

 下らない妄想をしている間に皆の前へと戻ったゴリン教官が叫ぶ!


「今日からメイボル教官にかわりしばらく俺が教鞭をとる!いいかぁ!今日の授業は魔法を使わん。魔剣士は己の身体を十全に扱えて一人前になれると知れ!3流の魔剣士と1流の剣士がぶつかれば剣士の方が勝つ。そういうものだ!」


 この発言に違和感を覚えたのか、生徒の1人が手をあげる。


「教官。質問があります。」

「なんだ。いってみろ。」

「いくら相手が1流の剣士とは言え、魔剣士が負けるとは思えないのですが。」

「ほぉ。」


 にやりと笑うゴリン教官。


「いい機会だ。試してやろう。」


 ざわざわとしだす周り。突然ではあるが教官と男子生徒の模擬戦が行われることになってしまった。

 模擬戦に使われるのは修練場内部小分けにされた部屋の一室。

 ギャラリーが多いのを考慮してか割合広めの部屋で行われることとなった。

「お前は真剣を使え。俺は木刀で構わん。」

「しかし、教官。それではそちらがあまりに不利では…。」

「俺が構わんと言っているんだ。ついでにいうと殺す気でこい。それでちょうどいいだろう」

「…分かりました。本気で行きます。」


 それでいい。がっはっはっは。と笑っているゴリラ教官。あ、ゴリン教官。

 学生たちは興味津津の様子だ。その顔を見ると、一様にどうやって魔法を使う相手に剣士が戦うつもりなんだという表情が見てとれる。

 キザ男が周りの連中にこんなことを吹聴している姿が見えた。


「いやはや、ゴリン教官も何を考えているんだか。剣士が魔剣士に勝てるわけないじゃないか。大人と子供が戦うんじゃあるまいし。」


 大半はこのキザ男と同じ意見か…。いや、そうでもなかった。


「どう思う?ウォード」

「普通に考えたら、魔剣士の勝ちだろうが。あの教官が伊達や酔狂でこんなことを言うこともあるまい。」

「…きっと…ゴリン教官の…勝ち」

「やっぱりそうなるかしら。」


 横合いから聞こえて来る馴染んだ声に微笑みを浮かべながら、ルイスに聞いてみる。


「なぁルイス。お前はどっちが勝つと思う?」


 すると呆れた顔で一言


「分かってるくせに。」


 気持ちは同じのようだった。





主人公が戦うんじゃないんかい。

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