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第九話 協力 頼むわ

次くらいから学園生活始まりますよ~




「はい?」 


 こいつは何を言っているんだろう。急に襲ってきておいて、俺の仕事を手伝わないかだって?ふざけているのにも程がある。

 何となく危ない雰囲気がしたから警戒はしていたけど、まさか本気で殺傷力のある攻撃をしてくるとは誰も思わない。

 軽く試されるだけなら、大人しくやられようかとも思ったけど…。

 最初の掌底。

 当たれば気絶して病院に運ばれる威力だった。

 躱さないわけにはいかないでしょう!

 後はもうなし崩し的に戦闘突入。多少の本気を出しつつ峰で切りかかったが、ものの見事に躱される。

 それに、逃げながらこんな室内で火炎魔法なんて使うなんて何を考えてるんだ。

 とっさに風を展開して酸素濃度を調整して鎮火させる。ええい、忌々しい。

 段々腹が立ってきたので、目にものを見せてやろうと思って『力』を導入。どうせ勘付かれているなら構わないだろうと思った。

 しかし、それすらも動物的な勘で避ける。何だよもう。

 ようやく片をつけられるとやっとこさ剣を突き付けたら、急に動きが加速して相打ちに持ち込まれた。

 理不尽さで僕の心は反感いっぱいだ。びっくりしたけど返事は決まっている。


「断るよ、僕は普通が大好きなんだ。君みたいな怪しい奴の仕事なんか手伝わない。どうせ正体は学生じゃないんだろうし。」

「あれだけ俺とバトっておいて、何が普通だよ…」

「ぐっ。そ、それは…」

「じゃあ妥協案。俺は信用してもらうために素性と任務内容を全部話すから、それを聞いて判断してくれ。手伝えば学園の平穏は守れる。仮に手伝わなくても、お前さんは平穏を好むなら黙ってればいい。どうだ?」

「…任務っていうのは、失踪した生徒たちについてのことかい?」

「お、興味わいたかい?」

「話してみて。一応聞くだけ聞いてみる。」


 話を聞いて驚いた。

 何とここにいるアキ・ハルトは、聖王国特務騎士団の一員だというではないか。しかも、噂だけでその存在が明らかにされていない第零所属。一瞬嘘かと思ったが、先ほどの動きを鑑みるにあながち嘘とは言えそうにない。

 さらに、2年である僕は3人しかいなくなったことを知らなかったが、実際には1年と3年でも失踪者が出ているとのこと。

 校長がこれを事件だと認め、解決に動いてアキ・ハルトを呼んだこと。

 機密情報のオンパレードだ。


「ねぇ、アキ。…そんなこと普通の生徒である僕に話していいの?」

「まだ普通とかいうかこいつ…。問題ねぇよ、きっと。」

「あのねぇ、僕が話を合わせてるだけで実際は失踪事件に関わってたらどうするつもりなの?」

「大丈夫大丈夫。俺の勘がそう告げてるさ。お前は違うってな。で、どうする?手伝ってくれるか?」


 いたずらっぽい彼の視線を受け止めながら、瞳を隠す眼鏡の奥で考える。僕が望むのは普通。そして平穏。

 この状況はそれとはまったく別のものだ。はっきり言って好ましくない。

 しかしこのまま失踪事件が長引けば、僕の秘密を知るこいつが居座り続けることになる。それに学校の治安も乱れたままだ。…本末転倒になってしまうかもしれない。

 早いとこ解決してもらっていなくなってもらおう。それがいい。

 そのためには自分の手を汚さなくちゃいけない…か。


「分かった。引き受ける。」

「マジか!やったぁ。」

「ただ条件がある。」

「何だよ~、潔く受けろよ男なら。」

「やっぱり、断ろうかな…。」

「あぁ冗談です。ハーヴィッシュ様お願いします。」

「仕方ないなぁ。

1つ。君は僕が特務騎士団と戦える魔剣士だということをクラスメートや先生に言わない。

2つ。事件を解決したら速やかに学校からいなくなること。

3つ。僕が平穏に学園生活を送れるように便宜を図ること。

以上、これが守られることが前提で引き受けるよ。」

「はいはい、了解了解。じゃ、よろしく頼むな。ルイス。」

「ずいぶんあっさりしてるな。まぁいい…よろしく。アキ。」


 あぁもう。何で僕がこんな目に合わなきゃいけないんだ。

 ため息をつきながら、この先のことを考えて憂鬱になった。






 やったやった!ぶっちゃけ正体は分からねえが、心強い協力者を得ることができたぞ。

 こういう任務の時に大事なのは、やっぱり現地の人間だよなぁ。

 それに何より


 ルイス・ハーヴィッシュ


 こいつはとても面白い。


 剣士と魔法士を超える異端の存在である魔剣士。


 そんな中において、魔力と気以外の力を操るその特殊性。


 俺みたいなやつをこんなところで見つけたのが堪らなく嬉しかったんだ。




「ところでさぁ、ルイス。俺実は学校通うの初めてなんだけど、学校ってどういうもんなんだ?」

「どうって言われても…。普通に先生の話を聞いて、普通に実技をやって、普通に課外活動をやって…。」

「それって楽しいのかね?」

「これが普通だったから君にとって楽しいのかはわからないよ。」

「そか、何にせよ色々教えてくれると助かる。」

「それは任務の手助けの一環かい?」

「いやいや、あくまで友人としてのお願いさ。」

「友人ね。急に殴りかかってくる人間を、友人として扱うのは難しいと思うけど努力するよ。」


 ベッドに転がって反対側に顔を向けるルイス。

 とりあえず話はいったんこれで終わりらしい。

 はははは。

 こんなやり取りが続くのであれば、学校というのは楽しいものなんじゃないかと俺は思うのであった。





続きはいつ書こうかしら。

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